ここから青春が始まる
桜が満開に咲き、花々がその美しい姿を表してくる季節。この春高校生になる、青波千春はこれから始まる高校生活に胸躍らせていた。
「ここから、私の青春が始まる・・・。」
ついに、ついに来たわ・・・。私が中学の頃かたずぅーーーーと通いたかった学校。
「千春ちゃん、おはよう。朝から元気だねぇ。」
声をかけられ、声の主のいる方向に振り向いた。
「桜、おはよう!だって今日は入学式だよ。テンション高くなるに決まってるよ!踊りだしちゃいそうなくらい!」
彼女は、花園桜。私の小学校からの親友。2本の太いみつあみがよく似合う。普段は穏やかでおおらかなんだけど・・・。
「さあ、新しい生活のスタートだよ!いこう!」
ここは、私立彼方学園。全国でも有名な部活動が盛んな学校で私もその部活動が目的でこの学校に来たの。
「友達100人でっきるかな~♪」
「千春ちゃんなら、すぐにみんなと仲良くなれるよ。」
「そうかな~。」
友達を作るのは得意だが、やはり最初は緊張するもんだな。桜は、いいこだからみんなにすぐに好かれるんだよなぁ。私も負けてられない!頑張ろう!
「あ、千春ちゃん、みてみて!あの人すごくかっこいい。」
「ええ、どこどこ~?あ、あのひとかぁ。たしかにかっこいいね!」
彼は背は私と同じくらいだが、黒髪が似合っていてすごく大人っぽい印象だった。
「あの人とも友達になりたい!よ~し、ちょっといってくるね!」
「え、いくってどこに!?ちょと、千春ちゃァ~ん!」
私は、走って彼のもとえ向かった。
「おはよう!・・・の前にはじめまして!私、碧波千春っていいます。君も1年生だよね?これからよろしくね。」
「・・・・。」
ん?返事がない。もしかしたら、聞こえなかった?よし、もういちど!
「はじめまして!」
「・・・。」
彼はどんどん歩いていいてしまうもぉ~!返事くらいしたらどうなの!
「は・じ・め・ま・し・て!」
「・・・うるさい。」
はぁ?やっとして返事がそれ!?
「ちょっと、あんた!挨拶もまともにできないの?名前を名乗りなさい!絶対覚えててやるんだから!」
「八雲大和」
「なによぉ!ちゃんと名前は言えるんじゃない!あ、ちょとまちなさいよぉ~!」
もぉ、なによあいつ!ムカつく~~~!!
「まあまあ、そんなに怒らないで。大きい学校だもん、ああいう人もいるよ。」
「桜~、大好き!」
私は桜をギュゥゥゥゥゥっと抱きしめた。
「千春ちゃん、苦しいよぉ~。」
「ご、ごめんごめん。」
「もう、千春ちゃんたらー、あはは」
桜が、花の妖精のような可愛らしい声で笑った。桜があまりにも笑うのでつられて、
「あはははは」
桜と笑ったら、さっきの嫌なことも忘れてしまった。
キーンコーンカーンコーン・・・
「あっ、ヤバイ!チャイムなっちゃた。いこう、桜。」
「うん。」
私は、桜の手を取り、教室に向けて走り出した。初日から遅刻はやばい。そんなことを考えながら、自分たちの教室を探した。一学年十クラスもあるのに奇跡的に桜と同じクラスだったのだ。ああ、やっぱり私って幸せ者だ!
ガラッ 私が教室の扉を開けた瞬間教室の中にいる人たちの視線が一気に集まる。まさか今がチャンス?
「おはよう!!碧波千春って言います。これから1年よろしくお願いします!」
シーン・・・。
あれ?失敗?やっちゃったぁぁ、私が頭を抱えて落ち込んでいると私の前に誰かが歩いてきた。
「おはよう。とても元気がいいね。千春さんだっけ?ここは2年生の教室だよ。」
ま・ま・ま・まじかーーーーーーーーー!やってしまたーーーー!入学初日からこんな恥をかくなんて・・・。てゆうか桜は?後ろを振り向くとクスクス笑う桜がいた。
「なんで教えてくれなかったのよぉ。」
「だって千春ちゃん、止めようとしたのに聞かないで挨拶しちゃうんだもん。」
すると教室から、笑い声が聞こえてきた。さっきの先輩だ。
「あははは、君いいね。ぼくは小熊明。アニメ研究部の部長をしている。」
本当!?私は桜と顔を見合わせた。そう、私たちはこのアニメ研究部に入るためにこの学校に入学したのだ。
私立彼方学園、アニメ研究部は日本一大きいアニメ研究部だ。活動が盛んで、部活でオリジナルアニメを作ったりしている。私と桜は、小さい頃がら根っからのアニメ好きだ。小学校の頃からこの学校に入ると決めていた。
「センパイ!私たちアニメ研究部に入りたいんです!」
「本当かい?ありがとう。ぜひ入部してくれ。歓迎するよ。これからよろしく。」
「はいっ、よろしくお願いします!」
私は桜と一緒に手を合わせて喜んだ。これからアニ研で活動するのか。楽しみで仕方ないよ!期待に満ち溢れていた私は、今のアニ研の現実を知る由もなかった。