第四話 操作の新たな使い道
窓から見える景色はとても幻想的で、地球でいう月のようなものが二つある。やっぱり異世界に来たんだなと思う。辺りも随分と暗くなってきた。
ーーよし決行だ。
〜〜〜〜〜〜〜
「止まれ!そこの奴!」
「おい、そこの怪しい奴!」
助けて下さい。騎士団に追われています。いや、ちょっとなめてたわ。深夜もバッチリ厳重警備でした。気配遮断書いとくべきだったわ。
「おい待て!この騎士団長ロイスが許さんぞ!」
うわ、もうシツコイなあ。てか今思い出したけど、今俺、化け物じゃん。忘れてたわ。
俺はステータスを開き、『操作』でスキル欄に柔術と書き込み、スキルレベルを最大にする。
そしてニヤリと笑うと、Uターンする。
「やっと観念したか」
「ちょっと来てもらおうか」
騎士団が剣を片手に持ちながら、囲んでくる。良い連携だ。普通の奴ならばここで諦めるだろう。普通の奴ならな。今の俺は化け物級だ。
俺は近くにいた騎士の腕を掴み、その隣の騎士にぶん投げる。続けて屈強そうな男を掴み、背負い投げの要領でそれまたぶん投げる。
分かる。どう動けば良いか、どうしたら勝てるのかが分かる。これがスキルか。
「なんなんだ⁉︎お前は⁉︎お前ら引っ捕らえろ!」
一斉に俺に群がってくる。だが無意味だ。騎士団員達はもう連携がうまく出来ていない。ステータス最強の俺の前ではゴミに等しい。
どんどんと気絶させていく。最後に残ったのは騎士団長だ。
「お前はなんなんだ⁉︎あの伝説の勇者でさえ、レベルは486と言われているのに⁉︎」
ん?俺のステータスが見えているのか?
というか他人のステータスって見えんの?
スキル『鑑定』を使い、騎士団長のステータスを見るようにイメージした。
名前 ロイス
性別 男
種族 人間族
年齢 35
レベル 42
体力 85
筋力 86
耐久 90
敏捷 65
魔力 35
〈スキル〉
剣術LV5、柔術LV2、弓術LV1、火魔法LV3、鑑定LV3
〈称号〉
騎士団長
ああなるほど、つまりだ。スキル『鑑定』は、脳内で相手のステータスを見ることが出来るのか。
ちょっと待て。もしも、『鑑定』と『操作』を組み合わせれば、相手のステータスも操作出来るんじゃないか?そして良い実験体が目の前にいる。一回やってみるか。
『鑑定』を使い、脳内で浮かんだ騎士団長のステータスを操作するようにイメージする。そして、『操作』と念じる。
「あれ?急に力が⁉︎」
成功だ。そう、今俺は騎士団長のステータスを操作し、レベル1にしてやった。
なるほどこういう使い道もあるのか。やはり強過ぎるスキルで、何かありそうで怖い。
「あばよ」
脱力している騎士団長を殴り、意識を奪う。
とりあえず、追って来ていた騎士団員は全て無力化したようだ。
まあこのまま騎士団長のレベルを下げたままにしておくのは後味が悪い。
騎士団長は仕事でやったんだ。
社畜は辛いな。
俺は気絶している騎士団長のレベルを元に戻してやる。
ていうか、スキル鑑定で俺のステータスを見られるのはヤバイ。エグすぎるしな。怖がられてさらに、ぼっちが加速するわ。それにあまり手の内は明かしたくないし。
俺はスキル欄に『操作』で、隠蔽と書き込み先に進んだ。
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