第二話 『操作』の使い方
「あれ?」
俺の目がおかしいのか?
一回ステータス表示を解除し、もう一回『ステータスオープン』と念じる。しかし、出てきたのはさっきと何一つ変わっていないステータス。
え、まじで?
ああ、もしかしたら成長チートなのかもしれないな。レベルが1上がるごとにステータスがヤバくなる的な。
すると、周りから声が聞こえてきた。
「スゲー!このステータス!スキル三つもあんだけど!」
あれ?
「うわ凄いわ。さすが私。王女様の十倍くらいのステータスね」
あれ?あれ?
「皆様どうでしょうか?勇者のステータスはこの世界の平均の十倍近いと言われております。また、固有スキルだけでなく、初めからスキルもいくつかもっているとか。羨ましい限りです。」
あれれ?あれれ?もしかして俺勇者じゃない?いやでも固有スキル持ってるしなあ。まさか才能が…
俺が呆然としている中、王女は全員に呼びかける。
「ではこれから父様、つまり国王様に挨拶しに行きましょう」
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あれから城に行き、王に挨拶し、飯を食べ、風呂に入り、部屋に通された。あまり覚えていない。
「はあ…」
何度目か分からない溜息を吐く。このままだと、自由に生きるどころか、この城を出た瞬間殺される可能性がある。抜け出すどころか、城内の警備の騎士に捕らえられて終わりだろう。そして勇者でいたとしても、ただの役立たずだ。
詰んだ気がする…。役立たずとしてこの王国にいるしかないのかもしれない。異世界に行ってもつまらない日々か…。
しかもなんだよ、スキル『操作』って?運転とかが上手くなるのか?
なぜ俺だけが、という心の叫びを抑え、深く深呼吸する。
まだ諦めるのは早い。そうまだ早いのだ。とりあえず冷静に考えてみよう。そう、考えるということこそ大事なのだ。こういうときは自問自答っていうのが俺のセオリーだ。
俺は何がしたい?
ーー王国を脱出し、自由に生きたい。
なぜそうしない?
ーーできないからだ。
どうして?
ーーステータスが低いからだ。
なぜステータスが低い?
待て。ここで引っかかる。なぜステータスが低い?俺は、別に運動神経もそこまで悪かったわけでもない。ましてや俺だけスキルが一つしかない理由にはならない。しかも転移の仕方も他のクラスメイト達と同じはずだ。
ここで考えられるのはただ一つ、
ーーステータスを上げる必要がなかった?
そして俺の固有スキルは『操作』。これがステータスと関係しているに違いない。
待てよ、もしかしたら。何となく希望が見えたかもしれない。
馬鹿げた考えだ。これができてしまったら、このスキルはチートを超えている。だが試す価値はあるはずだ。
そして俺は『ステータスオープン』と念じる。
目の前に出てきたステータス。昼間の頃見た時と何一つ変わってはいない。だがこれでは終わらない。もう一手間。
俺はステータスのレベルの場所に向けて手を広げ、『操作』と念じる。するとステータスが光に包まれた。そして光が収まり、そこにあるステータスを見て、俺は歓喜の表情を浮かべた。ククッと一人部屋で笑う。笑いが止まらなかった。
名前 黒崎夜空
性別 男
種族 人間族
年齢 17歳
レベル 9999
体力 875400
筋力 712846
耐久 698502
敏捷 956850
魔力 548936
〈固有スキル〉
操作
〈スキル〉
異世界文語理解
〈称号〉
異世界転移者
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ちなみに神宮寺勇希のステータスはこちら。
名前 神宮寺勇希
性別 男
種族 人間族
年齢 17歳
レベル 1
体力 120
筋力 150
耐久 90
敏捷 110
魔力 115
〈固有スキル〉
聖剣召喚
〈スキル〉
光魔法LV1、身体強化LV1、自動回復LV1、剣術LV1
〈称号〉
異世界転移者、聖剣に選ばれし者