第十五話 女の闘い?
暗闇の中でふと後頭部に暖かみを感じる
なんかこの前も似たようなことがあったような…。
そして目を覚ますと、そこにはマーラの顔があった。
「おはようございますご主人様」
ん?この状況はなんだ?
マーラの顔が目の前にあり、後頭部に極上の感触を感じる。
これはあの伝説の膝枕か?
膝枕なんてされたことがないだろう。
昔に母親にやられたことがあるかないかだ。
童貞ぼっちなもんでね。
だが昨日は普通にベットに一人で寝たはずなんだが。
そのことをマーラに聞くと、
「早くに起きてしまったので…」
ともじもじしながら言ってきた。
メッチャ可愛いな。
それにしても膝枕がこんなにも気持ちがいいとは思ってもいなかった。もう少しだけこのままでいたい。
「なあマーラ、もう少しこのままでいてもらってもいいか?」
「喜んで!」
俺が頼むとマーラは嬉しそうに答える。
尻尾が四方八方に大きく揺れている。
幸せだなあ。
そんな時だった。
アリスが帰ってきたのは。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「ただいま夜ぞ……って誰その女!」
見覚えのある声が聞こえてきたので、俺は膝枕に名残惜しさを感じながら、起き上がる。
そこには赤髪ロングの美女、アリスがいた。
なんかかなり久しぶりな感じがするな。
「おーおかえりアリス」
「おかえりじゃないわよ!誰なのその女は⁉︎」
「あーそれは…」
「貴方こそ誰なのですか?」
俺が説明しようとしたがマーラによって遮られる。
待て何だこの空気は。なんで修羅場みたいになっているんだ?
というかなんでアリスは剣を抜こうとしているんだ。
そしてマーラもなんで手に火を浮かばせているんだ。
しかもマーラが浮かばせてる火、あれガチで死ぬレベルのやつじゃないか。
マーラは俺の次に化け物だ。
このままではアリスが死んでしまう。
なので止めようと思ったが、アリスが先に声を発する。
「私は…夜空の同居人よ!そうよね夜空?」
「同居人…ですか」
「貴方こそ誰なのよ!」
「私はご主人様の奴隷です」
「奴隷⁉︎夜空なにやってんのよ!働くどころか奴隷を買っているなんて!」
そういえば働くことすっかり忘れてたな。
すまぬアリスよ。俺はニートから抜け出せないようだ。
まあ奴隷を買った説明ぐらいはしておこう。
「いやそろそろ俺はこの王国を出ようと思っているんだ」
「出るって…どこに行くの?」
「獣国に少し用があってな」
「……まさかこの子と?」
「そのつもりだが?」
するとなぜかマーラはアリスに勝ち誇った顔を見せる。
アリスはというと顔を赤くさせてワナワナしている。
ギシギシと歯ぎしりもしている。
ヤバい、これはヤバい。
女心が全く分からない俺でも分かる。
するとアリスは隣の家にも聞こえそうな大きな声で、
「夜空の馬鹿ー!」
そう言うと、家から飛び出していった。
待て、俺なんかしたか?
説明しようとしただけだよなあ。
駄目だ。考えても分からないので、未だ勝ち誇った顔をしているマーラに聞いてみる。
「なんでアリスは出ていったんだ?」
「大丈夫です。これは女の闘いです。ご主人様は気にしなくていいんですよ」
女の闘い…?
駄目だもっと分からなくなってきた。
まあマーラはそう言うが一応アリスは世話になった奴だ。
放置はできない。
はあと溜息を吐くと、俺はアリスのところに転移した。
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