第十四話 強化
俺達はアリスの家に帰ってきていた。
だがさっきからマーラの顔色が悪いように感じる。
さっきのことを気にしているのであろう。
さてどうしたものか、と考えていると先にマーラの方から声をかけてきた。
「申し訳ございません。取り乱してしまって。あそこまでの殺気を向けられたのは初めてだったのです」
「いいんだマーラ。さっきの奴は気にするな。これは戦争をしているから差別されているのであって、お前は何も悪くないんだ。そして言ったろ?絶対守ってやるって」
「ご主人様……。はい、私はもう大丈夫です。ようやく気づきました。もう私はご主人様がいればいいです。他の人間なんて知ったことではありません」
あれ?なんかおかしな方向に行ってしまった気がするぞ?
まあ解決したようだからいいか。
でもまあさっきはカッコ良く言ったはいいが、守るのも限度がある。
ずっとマーラにはついてはいられない。
いつ単独行動になるかも分からない。
そのため、マーラには最低限自衛をしてもらわないといけない。
そのことをマーラに伝えると、
「では私が強くなるしかないですね」
「うーんどうしたものか…」
と二人して悩む。
しょうがない、暇を見て鍛錬するか…。
いや待てよ?なんで俺は気づかなかった。
『操作』を使えばいいじゃないか。
この『操作』は他人のステータスを下げることができた。
つまり、上げることもできるはずだ。
こんなことにすぐに気づけないとは俺も馬鹿になったもんだな。
このままでは、童貞ぼっちに落ちこぼれが追加され、更にキャラが濃くなってしまう。
なんか生まれて初めて勉強したくなったかもしれないな。
そんな馬鹿なことを考えながら、マーラに尋ねる。
「なあマーラ、ステータスを上げてもいいか?」
「ステータスをですか?どういうことですか?」
「まあそれは見てからのお楽しみってことで」
そして俺は『鑑定』を使い、続けて『操作』を使ってマーラのステータスを操作する。
さて、どういう感じにしようか。
悩みに悩みまくって完成したのが、こちらのステータスだ。
名前 マーラ=パレスト
性別 女
種族 狐族
年齢 15歳
レベル 999
体力 99999
筋力 99999
耐久 99999
敏捷 99999
魔力 99999
〈種族スキル〉
変身
〈スキル〉
気配察知LVMax、魔法LVMax、自動回復LVMax、無詠唱LVMax
〈称号〉
パレスト国の第一王女
また化け物が誕生してしまった気がする…。
反省はしてます。はい。
驚くべきことに、マーラはレベル999999まで上げることができた。
今は自衛のためなのでレベルをおさえておいたけどな。
だがどうやらレベルの最大値は、種族ごとによって違うようである。細かい能力値もそうだ。
少しそこらへんは研究してみようと思う。
そしてマーラを何にしようかと迷ったが、最終的に魔法少女にしました。
初めから魔法を覚えていたし、剣術とか覚えさせちゃうと新たな剣聖が誕生しちゃうからな。
そこらへんは自重しました。
この後マーラが自分のステータスを見て、驚きのあまり気絶したことは言うまでもないことである。
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「なんで私を化け物にしてるんですか!」
目が覚めてマーラが言ったことがこれである。
酷い言い草だな。
まあ反省はしているが後悔はしていない。うん。
「ていうかどうやってやったんですか!」
「まあそれは秘密だ。そしてマーラを守るためなんだから仕方ないだろ?」
「少し過剰すぎな気が…。というか守るってこういうことじゃないと思うんですけど…。なるべく私はご主人様に守られたいのですが…。」
マーラが何かブツブツと言っているが、問題は全て解決した。
窓から外の様子を見ると、太陽はいつの間にか沈んでいて(太陽のようなもの)、大分暗くなっている。
今日も一日が終わりそうだ。
明日は剣聖が帰ってくるはずである。
そろそろ出発することになりそうだ。
俺は次の旅を楽しみにしながら、眠りについた。




