第十二話 マーラと会話
ふと右腕に暖かい感触が伝わる。
何だと思い、目を開けてみるとそこには俺の右腕に抱きついているマーラがいた。
どうやら起きているようだ。
俺が起きたことに気がついたのか、マーラは俺を見て、
「先ほどは寝てしまってすみませんでした!」
「気にするな。体の調子はどうだ?」
「おかげさまで。本当に本当にありがとうございました。」
「もう一回言うが、気にするな。俺の奴隷だからな」
「フフ、そうですね。ちなみにお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「俺の名前か?黒崎夜空だ」
「私はマーラと言います!これからよろしくお願いしますね!ご主人様」
と言ってマーラは、俺に微笑んできた。
マジでドキッとするからやめてほしい。
惚れちゃうから。惚れちゃうから。
マーラには謎が多いのだが(例えばなぜ王女がこんなところにいるのか、など)耳と腕を失っているところを見ると、あまり聞かない方がいいだろう。
人に聞かれたくないことや言われたくないことなんて、いっぱいあるもんな。
俺だって中学時代の黒歴史を言われたら、ブリッジをしながら大回転して死ぬと思う。
それほど深刻なのだ。
なのでマーラの過去は聞かない方がいいな。
とそんなことを考えているとマーラが、
「そういえば凄いですねご主人様は」
「何がだ?」
なんか俺凄いことしたっけ?
「私が負っていた怪我なんて、並の光魔法じゃ治らないと思うのですが…」
「スキルのレベルはどれくらいが普通なんだ?」
「そうですね〜、LV1からLV2が一般人ですね。LV3からLV5は上級者ですね。そしてLV6からが達人の域と言わておりLV10、つまり最大のレベルなんて神でないと辿り着けないと言われています」
LV10がMaxかー。
待て。神でないと辿り着けない?
俺の化け物っぷりがスキルまで到達していたなんて。
「分かった、ありがとう」
「そんな…奴隷として当然のことです」
と少し顔を赤らめて言ってくる。
そういえば聞いとかないとな。
「それでマーラ、俺の旅について来てくれるか?」
するとマーラは少し迷った表情を見せたが、すぐに、
「奴隷なのですから命令して良いのですよ?まあ取り敢えずついて行かせてください。恩返しもしたいですし」
そしてマーラはまた微笑む。
しかしマーラには何かやりたいことがありそうだ。
恩返しをしたいのであれば迷う必要はないしな。
ダメだ分からん。
童貞ぼっちの俺に女心は分かりません。
こうなったら頭の中で叡智発動である。
『マーラは何がしたいんだ?』
『マーラは国のクーデターに巻き込まれています。おそらく、家族が心配なのでしょう』
クーデターか。
そうか。マーラは王女であるから、父親は獣国の王なのか。確かに心配であろう。
「なあマーラ、お前の家族に会いに行かないか?」
「…!なんでですか?」
「心配だろ?」
「なんでそのことを⁉︎」
「まあそれは秘密だ。行きたいんだろう?」
「それはそうですけど…。これ以上迷惑をかけるわけにはいけません」
「はあ、また言うぞマーラ。気にするな」
「それでも!」
「良いんだよ。俺もちょうど獣国に行こうと思っていたしな」
「…危険かもしれませんよ?」
「大丈夫だ。そして俺の奴隷になったからには必ず守ってやる」
するとマーラはボッーとした顔でこちらを見つめ、顔を赤らめながら、
「ありがとうございます!また甘えさせていただきます」
「ああ」
「そうだご主人様。私の耳を触ってくれませんか?」
「え、触っていいのか?」
触り心地良さそうだからなあ。
一度でいいからモフりたいと思ってたところだ。
マーラは顔を真っ赤にして、
「は、はい喜んで。触ってください」
と許可をもらったので、俺はマーラの狐耳に手を伸ばし、モフりだす。
「あふん、ああん、だめそこわぁぁ」
耳をモフるごとにマーラが艶やかしい声を出す。
マーラは年頃の美少女なのだ。
これは俺の理性が持ちそうにない。
極上の感触であったが、手を離す。
後ろでマーラが「既成事実作成完了…」とか言っている気がするが、気のせいであろう。
「よしマーラ。出発は三日後だ。それまで準備をしよう」
取り敢えず世話になったんだ。
アリスには一言言っておかないとな。
「分かりましたご主人様!」
そして俺達は次の旅の準備を始めた。




