第九話 叡智さん
今回少し短めです。すみません。
「もう俺働かなくてよくね?」
「何言ってんのよ!ニートでいいの?」
「う、それは…。てかなんでお前がその単語知ったんだよ⁉︎」
俺がこんなことを言っている理由。それは、王からもらった金貨が意外と多かったからである。
この世界の金は銅貨、白銅貨、銀貨、白銀貨、金貨、白金貨がある。日本円で言うと、銅貨が十円、白銅貨が百円、銀貨が千円、白銀貨が一万円、金貨が十万円、白金貨が百万円となっている。
そして王から渡された袋の中には、金貨が五百枚ほど入っていたのだ。日本円で例えると、約五千万円持っていることになる。
そして俺は考えた。当分働かなくてよくね?と。
するとアリスが、
「そういえば私、明日から三日間依頼でこの家に帰れないわ。」
「マジで?」
「だから私が帰って来るまでに、指名手配も取り消されてるのだから働きなさいよ」
そう、指名手配は取り消された。もはや王が哀れだ。
この国守ってあげたくなるわ。
というかなぜここまでアリスは俺を働かせるのだろう?
世界七不思議の一つだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜
翌日、アリスは行ってしまった…。
なんか捨てられたようで切ないんだが。
あ。
ヤバイ。アリスに伝え忘れた。
俺が全く家事が出来ないことを。
飯は外食で済ますとしても、洗濯とか死ぬぞ?
服が腐るわ。
でもまあどうしたものか。
この場しのぎでいいのなら、宿に行けばいいのだが、そろそろ俺は王国を離れようと思っている。
なぜなら王国には特になんもなかったからだ。
異世界にはありそうなダンジョンなども、隣の帝国にはあるそうだが、この国にはないらしい。
メッチャ暇な国でした。
なのでどこかに行こうかと思ったのだが、アリスはこの国の人間だ。
多分ついて来てはくれない。
つまりだ。家事をしてくれる人がいなくなるということである。
自分で家事が出来るようになるよう、『操作』でスキル『家事』を習得しようとしたのだが、なぜか習得できなかった。
多分、この世界にはないスキルは習得出来ないのだろう。ありそうなもんだけどなあ。
まあいい。困ったら叡智さんだ。
「『叡智』発動。この場において最適な手段は?」
叡智はこういった使い方も出来る。
そして返ってきた答えがこちらだ。
『奴隷はいかがでしょうか?』
奴隷…。なるほどこの世界には奴隷がいるのか。
まあ確かに良い手かもしれない。
家事ができ、ついて来てもくれるのだ。
金には余裕があるし…。
よし決めた。奴隷を買うか。
流石叡智さんだ。惚れてまうやろ。
「『叡智』発動。奴隷を扱っている店はどこにある?」
『ここから北に二千六百メートル先です』
そして俺は『転移』を使った。




