蒼天の空~心も晴れた。
強い雨が、魔子と陽子を隔てた。
トーフのオヤジは、しばらく横に立って遠くの方に目をやる陽子にポッリと呟いた。
『陽子ちゃん、あの子のことが気になるのかい~』
『そのうち電卓を、忘れたこと思い出して直ぐに戻ってくるて~心配ないよ~』
陽子はトーフのオヤジを見て軽く頷(うなず
)き
黒い木の箱にスマホを、大事にしまいこみ小走りに自宅へ向かった。
雨の町にその姿は吸い込まれて、やがて見えなくなった…
魔子の目に雨で霞む向こう側に、トンネルの入り口らしきものが見えてきた。
『仔猫ちゃんートンネルよ!、わたしたち、元いた世界に戻れるのね~♪』
笑みを浮かべる魔子。
入り口のところで、止まった仔猫を抱き上げ魔子は、トンネルへと足を踏み入れた。
仔猫が魔子に話しかけた。
『もう、トンネルの出方は、知っているよね~☆』
魔子は、軽く頷うなずき仔猫の首の鈴を3度鳴らした♪♪♪
チリンチリンチリン
たちまち、出口が目の前まで迫ってきた。
『あー!!、スマホ、陽子ちゃん、に渡したままだぁー!』
そう言って魔子は、後ろを振り向いた。
仔猫は魔子の不安を察して、一言
『だいじょーぶだよ、お家に帰ったら、お母さんに黒い木の箱の中身をを見せてもらったら~』
『幼い日の、お母さんは、あなたが、必ずスマホを取りに戻ると信じて、きつと、大事にしまってあるよ~☆』
『このトンネルの出口を出たら、わたしは、もう話せなくなるからね~』
『わかったよ、仔猫ちゃん』
『あなたと、話せて?とても、楽しかったよ~♪』
『この思い出は、一生忘れないから…』
そう言うと魔子は、トンネルから元いた世界に戻った。
周りを見渡すと、河川敷の水はスッカリ引いている。
強い雨と風も止んで、心地の良い涼風と、暖かな陽射しに変わっている。
仔猫はスルリと魔子の腕をすり抜けて、河川敷の昇り階段をピョンピョンと走って
しばらく、立ち止まり、魔子の方を振り向くと『ニャー!』と、一鳴きして、姿が見えなくなった。
慌てて魔子は、仔猫を追ったが、橋の上に辿り着いた時には、もう、仔猫の姿はなかった。
その時、後ろからポンと、魔子の肩を叩く手があった。
クラスメイトの友姫が、笑って魔子を見ている…
無言で顔を見合わせていた2人だが交わす笑顔がすべての答えだと悟った…
遠くの方で小学校の帰宅を促す鐘が鳴った。
『キンコンカンコーン~♪』
魔子はよく晴れた蒼天の空を見上げて一言呟いた。
『わたしの心も晴れました♪』




