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トンネル、見っけたー!
仔猫は、お腹がいっぱいになったのか、スヤスヤと寝てしまった。
魔子は、その様子を見て安心し、ふと目を上げると、足元まで川の水が迫っていることに驚いた。
仔猫を、しっかりと抱き上げ橋の根本まで後退りする。
ジワジワと水が嵩を増してきた。
ポケットからスマホを取りだし肩を落とす魔子。
『なんで~こんな時に限って壊れてるの!』
やむ終えず、大きな声で助け呼ぼうと声を張り上げた。
『だれかー!助けてー!』しかし、強い雨と風に声がかき消されてしまう。
橋の根本の石壁に寄りかかるが、もう、後がない。
靴は川の水でスッカリ浸ってしまった。
魔子は、仔猫をポケットに入れて顔だけを出させ、石壁によじ登ろうと手を掛けた。
『おかぁさーん!』
泣き出す魔子、その声に仔猫も目を覚まし『ミャーミャー』となき出す。
その時、ちょうど小さな子供が通れる位の穴が石壁にポッカリと開いた。
『あー!トンネル、見っけたー!』




