人間的思考による時系列交差思念の物理要素及び破壊現象に基づいた幾何学意識を統べる心理学の発展形式神教概念に関連する研究の開発と軍事機構の討論内容を記録した狂神による人間分野の変化状況についての資料
電電太鼓は鳴り続け。
赤子の狂わしき悲鳴を心の内に。
表現者は映写機もろとも粉々に生成する技量の持ち主だった。
儚き夢の終着点には笑って出迎える心優しき親族や友人などはもちろんいたりしない。
いないのは赤の他人である。
面と向かって話してみるのだが。
どうにもこうにも馬が合わない気がして否めないのが自信に繋がる原動力なのだろう。
蝸牛と海豚と昇り竜と亀と虎と向日葵と。
全てこの世には存在しえないものだという事を知らない人はいない。
クラスメイトでさえも。
虎の両親でさえも。
紅の邪神でさえも。
皆僕の邪魔ばかりする。
僕の思考はいたって正常なのに。
悲しくも由々しき表現方法が其処に木霊するかのよう。
高らかな雄たけびと魑魅魍魎の宴。
やかましくとても楽しみ甲斐がある。
ネオンの光に揺らされて。
何時しかそこに立っていた。
其処が始まり僕の終わり。
何時しかそんなのはどうでもよくなって。
時間さえも気にしなくなって。
夢だという事もさらに上の空になった。
浮遊する言葉たちを僕の両手でつかみ取る。
それが世界。
即ち僕の思考。
人間的思考に乗っ取るかのように騒ぎ続けたそれは。
時計の針は動かない。
とうとう消えてしまった。
頼みの綱でさえもことごとく消え去ってしまうのだ。
好きで狂っているわけじゃない。
複雑で奇怪な幾何学模様と言えば全てを理解してくれるはずもない。
目くらましなど通用しないんだよ。
未来は決まっているんだよ。
誇り高き幻想に身を浸し。
さながら半身浴のように。
浴槽だと思っていたものが実は棺桶かもしれない。
墓穴かもしれない。
掘ったものなどいない。
まるでこの世の始まりから其処に存在しているかのように。
佇むそれは不敵に笑い。
僕をあざ笑う。
終わりは見えない。
住んでさえもいない。
くらりくらりと頭に響く。
思考は消え失せていって。
どこまでもどこまでも。
この広い概念の海に流されて。
いつまでも。
陸にたどり着くことは無いのだろう。
見渡す限りは青い空。
満天の星空。
紅に染まる鮮やかな夕空。
凍る水。
温かい水。
生き物は活発に。
海を渡る鳥でさえも。
海を泳ぐ鮫でさえも。
全て概念の海に生きる己の思考の産物。
そうか。
気付いた。
今更気づいた。
僕は僕ではないのだな。
僕は僕という思考から生み出された僕であって本当の僕と言えるものは僕で。
いや。
この思考を生み出している僕が僕だとしたら。
僕は一体。
僕は二人いるのか。
いや。
もっと複数人。
どれが僕だ。
僕だと思っていたものが実は僕によって僕だと思われていないのかもしれない。
納得できない。
僕はこの思考の生物たちを統べる者。
共に概念の海を漂い生きる者。
こうしてはいられない。
今の状態はというと。
なんと惨めなのだろうか。
漂い続けるなんてみっともない。
這い出す方法はないか模索する。
テニスボールなんてちっぽけなもの。
ありはしないじゃないか。
水面に漂う夕日は空にたたずむ夕日と瓜二つ。
一体何物がそうさせたのか。
まるでクローンのよう。
低い声で発する唄は調と化すのも難しい。
共に暮らそうではないか。
背面に寄り添う暗き信念の虚像。
少なくともアップルパイぐらいは残っていたはずだ。
だがそれは危険だという事に気づく。
苺とかつて僕が壊した階段の戦場が苦し紛れに残されているからだ。
ふと過る快速電車に乗った日のような感覚。
駄菓子屋のくじが外れても可笑しくはないような状態だ。
狡猾な態度をとる神に対して僕ら人間はとても小さなその思考で敵対できるのだろうか。
好きで狂っているわけではない。
ほら、ちゃんと正常に機能している。
神が僕らの思考を遥かに上回るのであれば。
今まで神が引き起こしてきたとされる数多の自然現象。
及び人間の性が引き金となった悪しき事故は。
神のせいでなかったとされるだろう。
何故かって。
僕らを遥かに上回る思考の持ち主が人間に合わせた災難を引き起こすわけないじゃないか。
とんでもなく哀れじゃないか。
経過を見届けることすら敵わないのだろうか。
作業の手を止め。
麗しき幻灯を夢見るだけでは足りないのだろうか。
なんと困難極まりない無理難題だろうか。
祈祷師はパラライズを起こしていたし。
虎は八つ裂きにされたし。
果たしてそれらすべては本当に夢だったのだろうか。
狂わしいこの世の秩序に反する逆境を顧みず。
高峰に残る一本の向日葵でさえ。
それを望んでいたのだろうか。
如何せん甚だしい。
なんとも不条理で慈しみの無い世界なことか。
もっと美しい情景溢れた鮮やかな世界だと思っていたのに。
人とは見えているものが違うのか。
景色が違うのか。
彼にはこう見えていても彼女にはそれが見えていなかったりするのだろうか。
僕の思考はまだ人間の域を出ていない。
よってそれが分かるはずもないのだ。
様々な疑問がこの世を交差し通過する。
僕が美しいと思うのはこの情景だけだ。
無残で非常な現実に目を向けるなんて愚かな人間だ。
己の世界を見出すことに本当の世界があるのではないか。
思考に答えなど存在しない。
全ての考えは終着を遂げないのだ。
必ずしも受け入れきれない問題は発生する。
それに目を向けれないのが人間だ。
もとより存在する細胞さえも。
その事実には気付けていない証拠となる。
不協和音を耳の奥に押しとどめながら歩き出す人類。
進化の群れに孤立する新人類。
人類は彼らを許さない。
大多数の可決をもって奴らは滅されるのだ。
その事実を回避することは稀には起きない。
とてもとても難しいのだ。
運命回避など本来あってはならないことなのだから。
逃避行なんてするもんじゃないさと瞬く光に告げられ僕らはまた歩き出す。
人間の想像上の人物には本来声など存在しないのだが。
人間は今現在までで聞いたことのある声のバリエーションを選びながら勝手な偏見で声を当てはめてしまう。
それはなぜか。
分からない。
専門外故に僕でさえも分からない。
脳科学の専門家ならば分かることもあるかもしれないだろう。
何時から僕はこんな無駄話をする人間へと育ってしまったのだろう。
まったくもって謎である。
僕がなぜこんなところにいるのかも分からないままこうして時は過ぎるのだ。
僕は何時からいるのだろう。
生前の記憶がどこにもない。
ただ、人並みの知識を持ってここに生まれたことしかわからない。
日によって考えは変わるのだ。
何処に着目するかも注目すべきところで。
一種の思考辞典だと考えている。
緩い時間の流れの中で考え続け。
暇をつぶすのだ。
たまには綺麗な情景などを描いて楽しんでみるのもいいかもしれない。
くるりくるりと鋼のような。
水車が回って花が散る。
動きに動作し可憐にさまよう悪霊たちが。
妬ましき悪霊たちが。
恨めしき悪霊たちが。
混沌を囁いている。
風に漂い。
地に落ちて。
誰の視界に収められることもなく生涯を終える。
雨が降り。
轟轟と雷鳴が響き渡る空。
眺めることしかできない。
鬱陶しい春の到来。
熱苦しい夏の到来。
寒々しい秋の到来。
静寂なる冬の到来。
数多の年月を超え。
彼らは待ち続ける。
遠く遠く遥か先に。
希望があると信じ。
世界を横目に見て。
彼らは欲望を捨て。
只管に待ち続ける。
それは訪れた。
鮮やかな情景。
古き良き湖畔に佇む可憐な季節の訪れだ。
彼らは季節を季節と認識できないでいた。
なんと嘆かわしきことなのだろうか。
だが彼らにはそれこそが本物の景色。
それこそが彼らにとっての季節となりうる存在であったのだ。
天使到来。
やめよう。
こんな話は。
あまりにもつまらない。
何が天使到来だ。
馬鹿にしてるのか。
自分で作りだした世界に文句を言える筋合いはないのだが。
今はどうにも納得がいかない気分なのだ。
まったく。
僕をこんな姿にしたのは一体どこのどいつだと言うのだ。
もしや僕以外にも被害者がいるのやもしれない。
そう思うと探してみたくなった。
今の僕じゃ到底不可能なのだが。
あれ、あれはなんだろう。
景色が見えた。
一瞬だが限りないほどに鮮やかな景色が見えた。
外に出れるかもしれない。
いや。
外とはどこだ。
ここが世界のすべてではないのか。
いや。
そんなことはどうでもよい。
外に出たらどうしようか。
人形集めでもしようか。
いっそのこと太陽を落ちぶれさせてやろうか。
これじゃ捕らぬ狸の皮算用だな。
まあそれはいいんだ。
今はいいんだ。
そう。
今はいい。
今は。
今。
あれ。
夢か。
ここは。
朝日が見える。
青い空だ。
僕は寝ていた。
いや。
寝ていたのではない。
「もういい加減に勘弁してくれよ……」
そこに漂っていたのだ。