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情報に関するエッセイ集

情報の価値判断

作者: 日比野庵

 今の時代は、情報に溢れている。しかも、爆発的に増大する一方。だけど、その情報そのもののの精査ということになると、まだまだ不十分というか、あまり意識されていないように思われる。


「情報」を辞書で引くと、次のように定義されている。


 ・じょうほう[情報]

(1)状況や事情の知らせ.

(2)判断や行動のための知識.インフォメーション.


 情報には、現実の事象を知らせる「報」の部分と、それに対して、何がしかの価値判断を行なう「情」の部分とで構成されている。


 前者が辞書で定義されているところの(1)状況や事情の知らせ、に該当するし、後者は(2)判断や行動のための知識に対応する。


 これは、まったく同じ事実である「報」があったとしても、それをどう位置づけるかという「情」によって、全く正反対の結論が導き出せるということをも意味してる


 作家の三橋貴明氏が、よく指摘されているけれど、日本のメディアは、いかなる経済指標が出ても、常に「日本は破滅する」というの記事を書く場合が多い。


 たとえば、円高になれば「輸出企業壊滅で、日本は破滅する。」といい、円安になれば「円安からドル建てGDPが減少して、日本は破滅する」という具合。


 これなどは、円高と円安という正反対の事実を「報」しながら、その価値判断である「情」は常に破滅になっている。


 実際には、円高にも、円安にも、良い面、悪い面共にあるのだけれど、都合の悪い部分には触れない。これもソースディバイドの一種。公平を期するのであれば、できる限り多角的に分析を行い、それを記事にすべきなのだけれど、もしも、それを十分理解していながら、そうしないのであれば、それは、メディアの怠慢か、自分達の主張を言いたいだけだということになる。


「情」の判断は個々の記者や新聞社の判断もあるだろうから、「情」の部分については、あまりどうこうできるものではないかもしれない。だけど、そうであるなら、せめて「情」と「報」で字体を変えるとか、色を変えるとかして、「情」と「報」の区別を一目で分かるようにしてはどうか。


 個人ブログなどでは、特に強調したい部分は赤字で書くとか、フォントを大きくするなどの工夫をしている人もいる。


 逆にいえば、読む側としては、記事の中で、どこまでが「報」でどこからが「情」なのかをしっかりチェックしながら読んでゆくようなリテラシーが求められるということでもある。


 情報における「情」とは、要は価値判断。何がしかの事実に対して、それに価値判断を下すということ。


 もちろん物事には、色々な面があるから、見る視点・座標によっていろいろな意味づけが可能になるのだけれど、大切なのは、その情報を得ることで、如何なる効果を生みだすか、如何なる結果をもたらすかということ。


 たとえば、経済状況ひとつとっても、好況であるとか、不況であるとかどう見るかという価値判断があるけれど、好況である、という見方をすれば支出や投資を増やすだろうし、不況であれば、その反対。その見通しが正しかった場合は、当然利益を得ることになるけれど、見通しが間違っていた場合は被害を被ることになる。


 この見通しの確かさ、又は甘さというのは、その立場が上になればなるほど、どんどん重要になってくる。それは、その下にいる人の生活に直接響いてくるから。


 世の多くの人々が未来を知りたがる、という原因もここに帰着するように思われる。予め未来を知っていれば、対策を講じることが出来、それだけ生き残る可能性が高まるから。


 だから、何かを報道したとして、それに対する「情」の部分、価値判断が間違っていて、それが広く社会に知らされてしまうと、個人はもとより、社会全体にも大きく悪影響を与えることになる。


 日本のマスコミが悲観論しか言わないのも、実は自分の価値判断に自信が無いが為に、たとえ外れても責任を取らなくてもいいように、いつも悲観論しか言わないのかも知れない。


 我々は時に、そうしたことも念頭において、ソースディバイドに対応しなくてはならない時代にいる。


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