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転生ヒロイン視点

恋愛物としては前回の話で完結してます。

世界観の補完的な話でバットエンドになるので駄目だと思った方はバック推奨です。

ひとつ聞きたい…現実と夢の違いとは何だろうか?

現実の実態が夢であるとしたら?

私に教えて欲しい。



何を間違えたの?



***



幼い頃、自分を迎えに来た男爵を見た時…私は前世を思い出した。今とは異世界だったとしか覚えてなくて、詳しい記憶は曖昧だけれど…ゲームをひたすらプレイした記憶だけはしっかりと覚えていた。

そして自分の名前や容姿、世界観、何より男爵を見て確信する。この世界は私が前世で何度もプレイした乙女ゲームだと。


なんて幸運なのかと有頂天になる。大好きなゲームだったし、実際入れたら…なんて妄想もした。

イケメンに囲まれて逆ハーなんて乙女の夢だし、正規ルートのレイナード王太子はかなりの人気があった。


天然、子犬系のキャラがウリなんだけど…ちょっと強引な所もあるという設定でめっちゃ可愛いの!!

スチルではウルウルの瞳で見つめてくれて…それだけで胸キュンですよ!!

前世の私は断然レイナード推しだった。他のキャラもそれぞれ素敵なのだけど。



社交界デビューと同時にゲームはスタートする。周囲を確認するとレイナード含めてキャラが勢揃いしていて安心した。

やっぱり乙女ゲームの世界なんだ。


攻略は頭に入っている。

他キャラの好感度を八割程上げると悪役が出現して、苛められる。それに耐えているとキャラ達と共にレイナードと会えるイベントが発生するの。


簡単な事だった。

だって、ヒロインに転生している以上は私の為に世界はあるんだし。

イケメンにちやほやされるなんて初めてだし、更に逆ハーなんて美味しすぎでしょ?

悪役令嬢にも意地悪な事言われて、可哀想な自分を演じる。メリッサって本当面倒。毎回どうでも良い話しを説教してくるし…社交界がどうのって知らないって感じ。まぁ、悪役令嬢の役割だから仕方ないかと諦める。

でもこれで全部ゲーム通り。このままならレイナードルート攻略もすぐだろうな。




…ただひとつ気になっている事がある。


世界が完全にそのままなのに何故か悪役令嬢だけキャラが違う。

青い髪と瞳から『傲慢な青薔薇姫』の異名をもった女性設定だったはずなのだ。

どうしてだろうと思ったものの、彼女の役目は少ないし問題にならないから忘れようと思った。



***



全ての準備は整った。

攻略キャラを従えて王城庭園に向かう。ここでレイナードは私が気になり始めてイベントがおこるはず。


レイナードは薔薇園の中央にいた。


「我慢出来なくて…申し訳ありません…メリッサ様は私を目の敵にしていて…」

私は前世の記憶を遡り、そのままの台詞を吐く。



「マリル嬢が可哀想だ」

「メリッサ様は他の者に対しての態度が酷いと思うがね」


「私に何を求める…?」

レイナードが小首を傾げる姿は可愛い。でも、そんな台詞あったかな…


「婚約者殿との関係を考え直されたらと言っております。王太子殿下はメリッサ様をどの様に思われていますか?」



「どの様にって…君達が思うそのままだよ。畏れられる孤高の黒薔薇姫。気位が高く、貴族の頂点に君臨する…名の通りだと思うけど?考え直せって…何を言っているか分かってる?」


「えっ?」

何、この台詞…


「そもそもの話し…男爵令嬢、何で君は私に話しかけているのかな?私は君に言葉を発する許可を与えた覚えは無いよ」


レイナードがおかしい。こんなに冷たい瞳で話すキャラじゃなかったはずなのに…


「周囲の者も何を言っているのかな?私の婚約者は正式に許可が下りていると知っているよね。つまり、もう私の妃に等しい扱いな訳だが…今君達が言った事は私に対しても侮辱だとは気付いているよね」


「そ、それは…」


「騎士団長、以下五名については謹慎を命じる。正式な処分は会議にて決めるから。今まで御苦労だったね」

そう話したレイナードは今まで私が見ていた人物とはまるで別人の施政者の顔をしていた。


「男爵令嬢に関しては…君、養女だね。養子縁組は解消の方向で進めておくよ。それと、メリッサに苛められたなんて嘘だよね。折角咎められない内にとメリッサが忠告してくれていたのに…残念だよ。私への不敬罪と嘘の証言をした偽証罪で君は告発されるから宜しくね」


言っている意味が分からない。


ここは私がヒロインの世界じゃなかったの…?


この世界は私の為にあるんじゃなったの…?


「…私…頑張ったのに…」

思わず言葉がこぼれ落ちる。


クスッ…

何かと思い顔を上げるとレイナードが酷薄そうな笑みを浮かべていた。


「何を頑張ったの?社交界を学ぼうとせず、男を誑かす。知性の欠片も見当たらないけれど」


頭を思いっきり殴られたような衝撃が走る。

ぐらりと世界が傾き意識が遠退いた。



***



結局、禁固は免れたものの狭い部屋から出る事が出来ず、監視された生活を余儀なくされた。



独り、ポツンと椅子に腰掛け自分に問い掛ける。


現実とはなんなの?


これは夢なの?


ゲームって何だっけ?



覚めない悪夢は続いたまま、時間だけが過ぎて行く。これは現実で…私はヒロインなんかじゃなくこの世界の住民だと気付くのは更に遠い未来の話。

ここまでありがとうございました(*_ _)

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