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リーナとルシフェルの結婚式⑤

「おっ、いよいよ始まるみたいだな」

少し離れた所で真由美と話していた綾子は、壇上に登るラファエルを見て言った。

「そうだね。それにしてもラファエル様、すごく楽しそう…」

ペンダントのそばで、幻影のヴァイスが意外そうな顔をする。

「本当。あんなラファエル様見たことない…」

同じく幻影のシェルが、彼の隣で驚いていた。

「いい事じゃん。ラファエル様もずっと、気張ってたんだろうし。てか、せっかくだからもっと近く行こうよ」

真由美が下ろしていたリュックを背負い、歩き出そうとするが

「僕は、いいよ。ここで」

ヴァイスは顔を曇らせた。

「はぁ?なんで」

真由美と共に行こうとした綾子が足を止める。

「…なんていうか…、僕があそこでみんなと喜んだり楽しんだりするのは違う気がするんだ。今回の戦いは元々僕が原因で起きたんだし…」

「ヴァイス…」

うなだれるヴァイスにシェルが寄り添い、手を握ろうとする。が、幻影なので通り抜けてしまった。

触れたいのに触れられないなんて。こんな時、一体どうしたらいいんだろう。

「…気にいらねぇな。そういう考え方」

綾子が眉間に皺を寄せた。

「もう終わったことだろ。終わって、みんなで祝ってんだ。水差すようなこと言うんじゃねぇ。大体、そういう風に思ってんのはお前だけだろ」

綾子の剣幕に飲まれ、黙り込むヴァイス。

「おーい、ちょっと言い過ぎじゃねーの、綾ちん」

突然、綾子の肩が重くなった。見ると博が腕を乗せている。筋肉があるせいか、妙にずしっときた。

綾子はイラついて博の腕を振り払った。

「なんだよ、急に!」

「まぁまぁ。ヴァイス、そういう気持ちを持つなとは言わない。けどな、今日はあいつらのお祝いなんだ。お前も、ちゃんと祝ってやれよ」

博が、諭すような優しい顔でヴァイスを見た。

ヴァイスもそんな博を見て、ハッとした。

「あ…。そうだよね。僕、自分のことばかり考えてて…。二人におめでとうの一言も言ってないや…」

「そうだよ!二人共喜ぶよ!」

真由美が懸命に、場の空気を変えようと明るく笑った。どうにも、こういう空気は耐え難いのだ。

「うん、ごめんね、みんな。二人の所に行こうか」

ヴァイスも顔をあげてにこりと笑った。

「シェルも、ごめん。ぐじぐじしちゃって。僕、もっとしっかりするから。いつまでもシェルに甘えてたら、カッコ悪いもんね」


「ううん、いいの」

シェルのほっとした顔を見て、真由美は壇上に向かって歩き出した。


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