第1話:入学式
遅くなってしまい、申し訳ありませんでした;;
"語彙も文章もダメダメ"と言われてしまっても言い返せないほどの拙文ですが、全て書き終わり次第修正していくので、なにとぞご容赦ください....。
ー待ちに待った学院入学式当日ー
陽光がさんさんと地に降り注ぎ、空は雲一つない青空で、涼しいと感じるほどのそよ風という....体感的には、まさに絶好の入学式日和となった。
当日までに幾らか困るような問題もありながらも、なんとか入学式の日を迎えることが出来たというわけだ。
一番の心配事であった検査の方は、母さんとフィーナさんの2人がなんとか学院 (おもに学院長と信頼できるとされる一部の先生) に掛け合って、皆が検査する日と一日ずらして貰うという、申し訳ない処置を施してくれた。
協力して下さった先生には謝罪と感謝を言いまくった。
それで、協力してくれた先生の中に若い女性の先生がいたのだが、その先生がこちらの方を、まるで獲物を狙うような目で見ていたのを未だによく憶えている....一体あれはなんだったのだろうか?
クロト姉さんにそれを言ったら「ソノセンセイノナマエヲオシエテクレル?」とだけ呟かれ思わず答えてしまった。
その後、クロト姉さんは教えてくれず、リエン兄さんに聞いても苦笑するだけで答えてくれなかったのだ。
未だに答えがわからない....
これはこれで問題があるような気もしたのだけれど、心配事を解決することが出来たのだから、困るほどの問題ではない。
しかし何故、検査という一番の心配事 (というよりも心配事はこれだけだった) を解決したにも関わらず、困るような問題が起きてしまったのか....
それは主に母さんが原因といえる。
その問題とは・・・
学院の入学式の前日、つまり昨日になって母さんが「やっぱりリヒトを学院に入れさせるのやめる!リヒトと一緒に居れないなんて耐えられないわ!」と言って、即座に僕を抱え家を飛び出し、入学をキャンセルしようとしたのだ。
これにはうちの家族 (母さんとクロト姉さん以外) も瞬時には反応を返すことが出来なかった。例外として、クロト姉さんはそれを聞いた瞬間、母さんに向かって飛び掛かっていたけれど....
僕は思わず「オイオイ」と突っ込んでしまったが、それに対して誰も返答できる人は居なかった。
呟いた時には家の外に連れ出されていて、母さんは僕を抱きかかえながらクロト姉さんと闘っていたから・・・
とりあえず2人が怪我をしない様に2人それぞれに常時展開型の防御障壁を張って静観していたのだけれど、いつまで経っても決着がつかない....兄さんや父さん、それにメイドさん達が必死に止めようとしたが、一向に収まる気配がなかった。
長時間の死闘の末、最終的に僕が言葉でなんとか説得することで2人の闘いを終わらせることが出来た....という、なんともまぁ入学式の前日としては、言葉にし難い事態が引き起こされてしまったのだ。
そんなこんなで、迎えた学院の入学式の日。
うちの家族は皆 (母さんとクロト姉さん以外) 疲れていないはずは無かった....
準備があるからといって校門のところで別れたリエン兄さんがその場で合流した友達から心配されていたことがそれを如実に表しているといえる・・・
今になって思ったけれど、昨日のあれは、身体的にも精神的にも検査なんかよりよっぽど大変だったと思う。
離ればなれになるとは言っても、学院は自分の家から馬車で2時間ほどの、案外近いところにあるのだ。
いつも学院が終わった後、姉さんや兄さん達は皆で集まって毎日一緒に帰ってきているのだから、僕も帰ってこれない理由は無いだろうに.....
説得した上で母さんと色々約束する事になったが、それほど無理なものを約束したわけでもなく、それによって学院に通えるならば安いものだ。
母さんも悪気があったわけではないのだろうし、皆が協力して行ってくれた事を無下にしないためにも、これからを無駄にしないようにしなければ....
その思いを胸に入学式の行われる建物へと向かった。
◇◇◇
目的の建物はとにかく大きかった。
前世の記憶にある通常の学校の体育館のおよそ6個分 (縦3個・横2個) はありそうな、特殊な材質で作られた巨大なドームのようなものだ。見たところ中に入る入り口は7つあり、そのうち1つの大きな扉が新入生が入場する入り口のようだ。
その入り口を使用し、建物の中に入ると幾人かの新入生と親、それと誘導をしている上級生達が見えた。
まだ、新入生はそれほど来ていないらしい。
新入生とその親が座る場所は、この建物の大きさに見合うだけの大きさである壇上の目の前の箇所で、それをコの字型で囲むような箇所はそれぞれ席の色が違っていて、上級生の座る....いや、座っている場所のようだ。
なんともまぁ恐ろしいことに視覚で捉えられないだけで、本当は上級生全員がきちんと座っているのだ。
先生の誰かが施したのだろう....中々高度な隠蔽魔法が使われているみたいで、視覚に加え、気配、視線の類を遮断するほどのものなど、並の術・並の術者ではない・・・
新入生の親で少しは魔法術をかじっているだろう人もまったくもって気づいている様子はない。まぁ、ただ単に今いる人の中で使える人がいないだけかもしれないが....
(とてつもないサプライズショーだな....)
そう思いながらも、新入生が座る場所の適当な席に静かに座る。
本来は先ほど言ったように親が同伴してもいいのだが、僕の場合、両親共々忙しいとのことで1人で入学式を迎えることになったのだ。
母さんは、急遽 (3日前) 決まり呼ばれたお偉いさん方の会合をすっぽかして、入学式に行こうとしていたけれど、それに対しなんとか説得し続けて、大いに不機嫌になりながらも、渋々納得してもらった....。
これも昨日の母さんの暴走に大いに関係があるような気がするのは思い違いだろうか・・・
まぁ、とりあえず親の同伴については、気にしていないから置いておくとしてーー
まだ入学式が始まるまで少し時間もあり、暇をだいぶ持て余していたので、こちらが驚くより先に、あちらを驚かしてやろうと少しいじわるな思いが湧き上がった。
だから、中に入った時から感じていた姉さんの魔力の所に向かって、にこりと微笑みながら軽く手を振ったのだ。
揃いつつある周りの新入生とその親は不思議そうに僕を見ていたけれど、手を振られたあちらの人達は驚いたことだろう・・・
ざわりとした気配から驚いたことを感じたけれど、姉さんからは驚いたというよりも喜んでいるような魔力が感じられた....何故だ。
まぁ、今のままではこの術を破ることは出来ないだろうし、驚かせることが出来たのであればそれで満足としよう。
・・・
新入生全員が、皆遅れることなく入学式を迎えられたようだ。
最後の最後で危うく遅刻しそうになった、赤髪を肩まで伸ばした活発そうな女の子が僕の隣に座ったけれど、話しかける間もなく俯いてしまった。
よほど急いだのだろう....呼吸が乱れて汗が滴り服が肌にはりつ....
ハッ!?今一体なにを思っていた!?
いや何も思っていない。僕は正常だ。僕は正常だ。僕は....
ふぅ・・・落ち着こう。
今のは気の迷いだ。
これからのことに集中しよう。
僕が邪念を祓っている間に、時間通りに始まる入学式。
壇上には長い白いひげを生やした学院長が現れた。
それと同時に今まで座っていた上級生全員の姿を目視できるようになる。
術者は学院長だったようだ・・・ひげで口元が見えないが絶対にニヤけている....歳の割にはやる事が凄まじい....
知っていたほんの一部の人達は平然としていたが、知らなかった新入生と親には突如周りに人が現れたように見えたのだろう....パニックを起こしていた。
そうなることがわかっていたので、始まる前に遮音の術を施していたのだが、検査の日に会った学院長がこちらの方に視線を向けてきたので、とりあえず頭を下げておいた。
学院長はそれに対して"うむ"というようにしっかりと頷くと、声をあげてなにかを言った。
「静まれええーーぃ!!」
術の施しによって僕には聞こえなかったが、周りが騒がしくなくなったことから、静かにするように言ったのだろう。
とりあえず術を解除する。
「驚かしてすまんかった。じゃが、これは諸君らが将来必要に迫られることを軽く想定したものなのじゃ。こんなことで驚いてはいけぬ。何が起こるかわからぬのじゃ....いかなる時も最低限の気をしっかりと持っておらねばならぬぞ・・・よいな?」
それに対し勢いよく首を上下に振って頷く新入生達。
それを見て"よろしい"という様に頷き、学院の事について話をしていく学院長。
話を聞きながら周りを見渡して見ると、他の子供達はだいぶ緊張しているみたいで、ガチガチと身体が強張っているようだ。
まぁ、あんな事態にいきなり陥ったらそうなるのもわからなくはないが、こちとら年季が違うので、全くもって問題ない。
後ろの方から「リヒトぉー!」とクロト姉さんの声が聞こえたが、スルー・・・今だけは他人とならなければならない。3000人はいる人の中で晒し者にされるのは勘弁してほしい....これについては年季は関係ないのだ。関係ないったら関係ない。
そうして幾らか時間が経ち、学院長の話が区切りの良いところで途切れる。
静まり返る空間....
学院長の「では・・・」という声とほぼ同時に一斉に立ち上がる上級生達。
これには流石に驚いたけれど、先ほどのようなパフォーマンスではないようだ。
そして、上級生と何時の間にか壇上の上に現れた先生方は、全員で声を合わせて僕たちに向けて言った。
「「私達は未来に羽ばたく君達を歓迎する!ー
ーようこそ、セレクラース魔法術学院へ!」」
生徒一丸となっての想いの籠った合唱。
沸き起こる歓声。
今現在から新入生は学院の生徒となったのだ。
誰も例外はない....なんの力を持とうとも学院にとっては関係ないのだ。
僕は心の内で穏やかに小さく喜びながら、歓声の中、天井を見上げ佇んでいた....。
こうして、僕の学院での生活が幕を開けた。
読んで頂きありがとうございます。
早く主人公覚醒させたくて堪らないんですが、自分の場合...文章を書くと物語をよちよちと進めることしか出来ないという能力を保持していまして....
脳内で話が終わるまでを話数で換算してみたところ、100話くらいになりそうで怖いです....orz
なんとか頑張って逝きますで、よろしくお願いします。
「未来は見果てぬ旅路の先」が面白すぎて、自分の文章から目を背けますねー
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誤字の指摘を頂き、修正しました。
独言様ありがとうございます。