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ー 加護する異界の転生者 ー  作者: 徒木之信
第1章 ー幼少編ー
8/15

閑話:兄弟姉妹達

開いていただきありがとうございます。


学院の前に閑話を入れましたー

■[ クロト視点 ー始ー ]



3人目の弟が生まれた。


これで下の子は4人。


家族が増えるのは嬉しい。


賑やかにもなるし、皆が今よりさらに明るくなるから。


けれど、それは、今までの下の弟や妹が生まれた後に立ち会っている私としては、またか....とほんの少しでも思ってしまうのもまた事実....だから今回も立ち会って、とりあえず顔を見てからすぐに立ち去ろうと思っていた。


私はあまり下の子と触れ合わず、いつも大人が読むような本を読んだりしていたなど、普通の子に比べて達観していると会った人によく言われる。

私自身としては、そんなことはないと思うのだけれど、他の子が遊んでいるようなことにあまり興味が持てなかったのだ・・・


だから、とりあえず会った後の予定など立てていたのだが....


その子に会った瞬間、そんな物事は全て吹き飛んでしまった・・・


まだあまり髪の毛は生えていないが、将来は綺麗な黄金色になるであろう産毛に、碧色の瞳。

将来が楽しみだと言える顔立ち、そして見る者の心を奪うような愛らしい表情....


それに、いきなり涙を流したりニコリと微笑んだりなどしたりと....


この時、私は悟ったのだ。


ーこの子は人を癒し、助け、導くものだとー


その日から私の生活は一変した。


訓練の合間に会いにいったり、本を読む場所を自室ではなくリヒトのいるところ場所にしたりなんかした。


それに母さんがリヒトと寝るようになってから、毎日私もリヒトと寝るようになって....

一度寝顔のあまりの可愛さにリヒトの頭を抱えてしまったら、それが病みつきになってしまい....

もうリヒトがいないと生きられないかもしれないと思ってしまった。毎日リヒト養分でいっぱいなのだ。


それにこの前なんか....


リヒトがいつものお礼だと言って、自身が作った『魔導具』を皆それぞれにプレゼントしたのだ。それは指輪型の身体能力が上昇させるもので、性能は一般的なものよりも中々良く、それ自体は嬉しいことだけれど、そんな良し悪しはどうでもいい。


ーリヒトが私に指輪型のプレゼントをくれたー


それだけで、もう何ものにも一切侵されることのない幸福感を得ることができる!

私はこの時あまりの嬉しさに似合わずわんわん大泣きしてしまったのだ....


それを見て、リヒトが心配そうに「クロト姉様?どうして泣いてるの?」と言って覗き込んで来た時は、襲おうかと思ったくらいだ。


母がリヒトと私の間に割り込んできて実行は出来なかったが....(チッ)

と、とりあえず指輪(型の魔導具) は夫婦がするように人差し指にしているけれど。


・・・


まぁ、色々とあって・・・今、家族 (おもに弟達と妹) との関係はリヒトが生まれる前よりずっと格段に良いものになったといえる。


リヒトのおかげで。


リヒトがなんであろうと関係ない。


私はリヒトとずっと一緒にいると決めたのだ。


幸いリヒトも学院に通うことになるようだから、学院でも毎日逢えるようになる....。

・・・ただ、まぁ....私がいない間に悪い虫がつかないか心配なのだけれど・・・


毎日が幸せでいっぱいだ。


こんな幸せな毎日をくれたリヒトをなにがあってもどんなことがあっても必ず護ってみせる。


それが私の使命であり、私の意思なのだから・・・




■[クロト視点 ー終ー ]



◇ ◇ ◇


■[リエン視点 ー始ー ]



弟ができた。


始めて見たときは凄く可愛らしいと思った。


それと同時に思っていたとある思いが大丈夫であろう気がした。



最初に言っておくと、うちの家族は皆どこか少しおかし...んんッえ~個性的で、それぞれあまり周りと触れ合わないのだ。


母さんや父さんとは普通に話すのだけれど、まぁ姉上はもはや子供に見えないとして、弟や妹なんかとは必要最低限のことしか話せない(・・・・)


・姉は自身で固有結界を張っている。


・弟は剣の訓練や食事の時以外はいつも熟睡。


・妹は無表情で尚且つ無口。


これでどうやって話せというのか....


だ か らッ!皆に失礼かもしれないが、今度こそは!という思いが大いにあったのだ。


・・・


生まれた弟、リヒトと名付けられた弟は皆から愛され、すくすくと成長していった。


まぁ、それでもリヒトに対する母さんの溺愛具合には思わず苦笑してしまったが、その時それよりも驚愕したのが姉上のリヒトに対する接し方だ。


・・・もはや姉と弟と分けられるものではないだろう....。


あれはまだリヒトが一歳になって少し経ったある日のこと・・・

休日に母さんが忙しく、姉さんも訓練をしなければいけない時に、一日中リヒトの子守をしていた。

あまり苦でもなく、本を読んだりリヒトと遊んだりとしたのだが、少しした時間の合間に姉上がやってくる...。そう暇ではないはずなのだが、やってくるのだ。

来る度来る度に「リヒト~」やら「リ・ヒ・ト」など“リヒト”を連呼し、額や頬にキスをするのだ。

その回数およそ100回以上....


今までの姉上を見てきた私としては、この時思わず頬が引き攣ってしまったのはしょうがないことだろう・・・


『魔導具』をリヒトから貰った時なんかは、何も見なかったことにした。

その後、なにやら母さんと姉上が睨み合っていて、とりあえずこの家族がおかしいのを再認識したりしたものだ・・・



それと弟や妹に関しては・・・


弟は相も変わらず毎日熟睡しているようだが、妹の方は良くリヒトに会いに行っているのをちらちらと見かける。

姉上ほどではないだろうが、リヒトを十分に可愛がっているようだ。

これまた考えられなかったことだが、良いことには変わらないので、良しとする。


自分も良く話をしたりして、訓練したり、時々遊んだりした時などに、リヒトに「兄様!」と呼ばれた時は思わずにやけてしまうものだ。だから何も問題ない。



そんなこんなで、リヒトが生まれてから家族は吃驚するほど明るく賑やかになり、毎日幸せに満ち溢れている。


何やらリヒトには人にはない力があるらしいが、そんなことどうでもいい。


リヒトはリヒトなのだから、なにも変わりはしないのだ。


それでも何か言うような奴がいれば、土に還らせるだけだ・・・


学院にも通うようだから、何があってもしっかりとリヒトを護らねばいけないな!




■[リエン視点 ー終ー ]



◇ ◇ ◇


■[シュリオ視点 ー始ー ]



弟が生まれたらしい。


可愛かった。


眠い・・・Zzz


姉さんと剣の訓練をしたいのだがいない。リヒトのところだろうか?

ならしょうがない・・・寝よう・・・Zzz


リヒトと訓練をした。

こっちが剣を振り、それに対してリヒトが防御障壁を張るというもの....

なかなか有意義な時間だった。


リヒトが『魔導具』をくれた。

腕輪型の身体能力上昇のもの・・・ありがたい。リヒトに感謝した。


リヒトがもう少ししたら学院に通うらしい。

学院でも訓練できるだろうか・・・?


学院生活がちょっと楽しくなりそうだ・・・



Zzz ・・・Zzz・・・



■[シュリオ視点 ー終ー ]



◇ ◇ ◇


■[ルミス視点 ー始ー ]



私に弟ができる・・・


そう母さんから聞いた時、その子が生まれるまで一番下の子として育ってきた私は、内心大いに喜んだ。


やっとお姉ちゃんになれるのだ・・・喜ばないはずがない。


生まれたあと、その子....リヒトを皆で集まって見に行ったが、とても可愛らしいものだ。

姉さんの様子がおかしかった気がしたけれど、特にその時は何もなかった・・・

私はより一層、お世話したい気持ちが強まったと言える。


クロト姉さんはあまり他人に興味を示さない。

リエン兄さんはまぁ普通だろう。普通?

シュリオ兄さんはいつも寝ている。


だから、私はリヒトの世話をするのは私だろうと高を括っていたのだ・・・


だけれど、その考えが消し飛ばされるのにそう時間は掛からなかった・・・


まったくもって予測がつかなかったことが起きたのだ。


クロト姉さんがリヒトに関心を示した....いやそんな生易しいものじゃない。

もはや、ベタ惚れだったと言える.....。


毎日毎日リヒトのところに会いに行ったり、夜はリヒトと一緒に寝ていたり....


私は大いに慌てた。


私はなにも出来ないのか?資格はないのか?

そんなはずはないッ!自ら行動しなければ結果はついてこないッ!


だから、姉さんがリヒトのところに来る前にリヒトの世話をする。


それだけ。たった、それだけのことだけれど、姉さんには効果テキメンだろう....と思っていた。


だけれど、その考えはまたもや誤りだった。


姉さんはそれを見て、一瞬きょとんしたけれど、次の瞬間には笑顔になり私と一緒にリヒトをあやしたのだ・・・


それで気づいた。



家族を愛するのに“誰が”なんてものはいらない。

誰を気にすることも無く、愛を注げばいいのだ。


まさに姉さんはこれだった。



私は本当に馬鹿だ・・・


自分で勝手に思い込んだりして、自分の物差しで勝手に見てしまった。


だけれど....それはこの時でお終い。


これからはしっかりとした私なりの愛し方でリヒトに接する。


自分の持てる限りの力でー・・・



・・・それでもまぁ、姉さんほどの愛し方は無理な気がするけれど。




■[ルミス視点 ー終ー ]



読んでいただきありがとうございます。


姉妹丼....

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