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ー 加護する異界の転生者 ー  作者: 徒木之信
第2章 ー学院編ー
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第4話:迷惑な騒動

感想を書いて頂いた皆様、本当にありがとうございます!


豆腐メンタル以下の精神を持っている自分ですが、ご指摘頂いた点は仰られる通りでありますので、それを糧に精進して逝k...行きたいと思います。


なんとか面白くできたらいいんですけどね....『別の世界で生きていく条件』....を更新された招きダンボー先生最高すぐるッ!(話違う


自らの糧とするための魔法術の鍛練、そして基礎体力の向上、魔法術の基礎を固め応用またはさらなる発展へと繋げるための図書館での独学....など自分の能力を少しでも上げるよう邁進していた。


ライナやラルフも途中から加わり、まだ授業の範囲でやらないような魔導書の内容を、毎回四苦八苦しながら理解していったりと、皆で切磋琢磨して過ごす日々を送っていた。



だが、その日々の中で学年内、もしくは学院内で最近感じる小さな違和感・・・


その違和感はすぐに知れた。


その正体は僕を見る皆の目だ。

皆とは言っても大多数は貴族が占めていて、あまりいい感情ではない。

その視線に含まれるものは" 侮蔑 " " 嫌悪 " "忌避 " という負を連想させる感情。


貴族側からの干渉は、よくわからない勧誘以降度々(たびたび)ネチネチとされていたが、違和感を感じた時はこの干渉とは時期が異なり、尚且つそれほどの負の感情を向けられるほどのものでもなかったはずなのだ。


故に、ここで一つの可能性が浮上する。


自分に使用できない術があると分かった時、実技の授業内での僕の状態....


これらが行われた時から、自分の中で想定していた可能性が現実に起こってしまったと言うわけだ。


最初の頃は視線だけであったが、最近では貴族達に会うたび、すれ違うたびに、ぼそりと囁かれることも少なくない。


「・・・落ちこぼれ 」「 能無し 」

「面汚し 」「劣等が....」

「本当にあの兄弟姉妹と同じ家族なのか?」


まぁ言うわ言うわ、罵倒の嵐。

蔑んでくる貴族の子供 (ほんの一部) には、遠慮とか配慮ってものがほとんど無いから僕に対して言いたい放題な訳です。それにしても最近の子供は凄いとも思ったが、たまにクロト姉さんと同じ学年の人も言ってくる....学年が変わっても中身は変わらないのだと理解した。


だから、お兄さんの脆弱すぎる豆腐メンタルはあっという間に崩壊した・・・



訳がない。

これくらいの罵倒でへこたれているような僕ではなく、気にもしてない奴らから何を言われようと気にする筈がない。


【攻撃魔法術】が使えないくらいで何をいうのか。

攻撃は最大の防御と言われる....が本当にそうか?

あらゆる場合を想定した上でそれが言えるか?


否。断じて否。

戦えない、護れないと言うならば、不敗(・・)、絶壁となろう。

全てを切り裂く斬撃、全てを滅する魔力の奔流、それらを凌駕し消し去るものとなろう。

全てが永久に敵ならば、永久に絶対に存在する護りの盾となろう。


"力"はある....ならば気にする必要は・・・



っと....内心少しは気にしていたみたいだ....ふぅー反省反省。


まぁ、お兄さんが絶望するのは、己が本当の無力ゆえにすべき事が何も出来ない時と家族・友人・知人から蔑ろにされた時くらいなものです。


誇れるほどではないメンタルですね。はい。


自分のメンタルなんてものはどうでもいいのだ・・・今はそれどころではない.....。


隣に座るライナを見てみる。


入学した当初からいくらか伸びた赤色の髪は変わることのない鮮やかな輝きを放ち、いつもなら幼いながら均整のとれた顔で微笑んでいるのだが、今その顔は授業中にも関わらずムスッとした表情で何かを耐えているように見える。


気づかないのか、はたまたあえて気づかないようにしているのか分からないが、いくらこちらに意識を向けさせようとしても、黒板を睨むように見ているだけで反応がない.....。


こうなってしまったであろう原因はつい先程の、とある出来事にあるーー・・・



最初の頃は通り過ぎる間際での呟きなどで済ませていた貴族達だったが、僕が何も反応を示さない事に業を煮やした何処ぞの伯爵の子のなんとか君 (運悪く聴き取れなかった) が調子にのって、公衆の面前で僕が無能であるということを堂々と言い放ったのだ。


僕が1人であった時やラルフと一緒の時 (不機嫌になりながらも理解してくれる) ならば、まだ、良かった。


だ、が....僕に隣にはライナがいた。


最近、一部の貴族から僕に向けられる目がおかしいとは思っていたのだろう....「だいじょうぶ?」「なにかあったの?」と心配してくれたのだが、僕は"なんでもない"と言ってライナからこの事態を遠ざけようとしていた。


けれど、ライナはいつも僕と行動していると言っても過言ではない。


いつかライナの耳にも入るだろうと思っていたのもあって、大した事ではないが自分から話そうと思い立ったのだが・・・


それよりも前になんとか君が大々的に暴露してしまいましたとさ。


「攻撃できない劣等が!」

「ライナには僕こそがふさわしい!」

「貴様のような無能にはふさわしくない!」

「どうせ弱みなどでも握っているのだろう!今すぐ解放しろ!」


などなど。


そのなんとか君 (13歳らしい) は以前ライナに高圧的な態度で迫った挙げ句、相手にされずに思いっ切り振られた子のようで、プライドがどうだの言って未だにライナをモノにしようとしている.....。


それでいつもライナと一緒にいる僕が邪魔だったのだろう....これを機にライナを失望させたりして離れさせようとしたというわけだ。


僕は確かに、能力が無い=無能とは言えるなー....とボケたことを考えてはいたが・・・


ライナは口を閉じながら頬を引き攣らせ、両拳をキツく握り締めている。


なんとか君は効果ありとみたのだろう....どんどんエスカレートしていった。



でも、彼は誤解している。


彼はライナが知らないとでも思っていたらしいが、ぶっちゃけ僕が【攻撃魔法術】が使えない事など、とうの昔に知っているのだ。

少し詳しく言うならば、友人になってからすぐに、だ。


ライナとの付き合いも一年以上になるから、僕の為にふつふつと(いか)ってくれているのが分かるため、嬉しいと言えば嬉しいのだが、それとは半面僕は気が気ではなかった。


いつライナの感情が爆発してしまうのかとーー

ライナは時々僕の家に来て母さんに(しご)かれ鍛練したりと、今ではラルフと同様にもはや同じ学年には敵無しとなり、なんとか君の実力の程は分からないが、万が一何かあった場合でもライナは一切傷を負うことはないだろう。



それよりも問題は、大変遺憾ではあるがなんとか君が貴族であること。


親が途轍もない馬鹿だった場合、もしも何かをあったら権力に物を言わせてライナやライナの家族をどうにかするかもしれない・・・


過剰な反応かも知れないが、何かあってからでは遅いのだ。


だから、ライナの前に立ち、両肩に手を置いて今必要である事を言う。


「ライナ、僕は気にしてない。なんにも気に「.....が気.....の」・・・え?」


「わたしが気にするの!友達を馬鹿にされてだまってられるわけないよ!そんなの友達じゃない!リヒトはすごいんだってあいつに教えてやるの!だから...モゴっ」....」


手のひらでライナの口を優しく塞ぐ。

ライナから言葉は、思わず苦笑してしまうほど嬉しいものだったけれど、それでも言わねばならない事もある。


「ありがとう....ライナ・・・僕の分まで怒ってくれて本当に感謝してる....でもねライナ、まだ駄目だよ。僕たちにはまだ力が足りない...権力に振り回されないほどの力が必要なんだ....。だから、こんなつまらない事でライナのこれからを失わせるようなことはしたくないんだ。・・・だから、分かってくれない?」


そうして、ライナの口を塞いでいた手のひらをそっと放し、ライナの言葉を待つ。


「.......わかった 」


理解はしたが、納得はしていないと言ったところだろう。

ライナは渋々といった様子だったが、なんとか引き下がってくれた。


後は....伯爵家のなんとか君だけなのだが・・・


そう思って彼の方を向いたのだが、どうやらあちらは諦めるつもりはまったく無いらしい。


今まで、ラルフが言葉巧みに抑えていてくれたみたいだが、それももう限界のようだ。


次の瞬間にはラルフを押し退け、すぐさまこちらに向かってきた。


ライナを彼から遠ざけたかったのだが、騒ぎを傍観していた学生によって行く手を阻まれていた。

すぐには通れそうにない・・・


「き、貴様ッ!一体何を吹き込んがぁぁ!?」


面倒な事になるな....と彼と事を構えるつもりで体制を整えていたのだが、腰まで伸びる滑らかな黒髪をした美少女が突如乱入し、迫ってきていた彼に衝突したのだ。


彼は思いっ切り吹っ飛び、野次馬に突っ込んだが、意識はきちんとあるようで "うぅ....." と呻いていた。

少女は、衝突した彼を一瞥(いちべつ)することもなく、僕の方へとすたすたと歩いてきて、いきなり抱き付いてきた。


「あ~リヒトぉ~会いたかったわぁ~」


「えーと......姉さん・・・」


その美少女の名はクロト・ローゼンベルク....学院史上最強にして最高の僕の姉さんであった。


姉さんは人目を憚らず僕を撫で回してくる。


撫で回されること数十秒、まったく離してくれる気配がない。

いい加減離してほしいのだけれど、助けてもらった?こともあって言い出せなかった・・・


このままされるがままかと思いきや、どうやら吹っ飛んだ彼がふらふらとしながら立ち上がったようだ。


「ぐぅ....お、俺はシルメイル伯爵家...の次男....カーダー様だ、ぞ!どう責任をとってくれる!?」


名前はカーダー君だったようだ。

カーダー君が何やら色々と言っている (次男の辺りで声が小さくなっていた) ようだが、姉さんは彼に背を向けたまま完全に存在を無視して僕を撫で回していた。


「おい!!聞いているのかッ!」


姉さんは完全にスルー。

だが、無視された彼が引き下がるはずがない。

彼は重い足を引き摺りながらこちらに来て、姉さんの肩を掴もうとした。

「.....私に、(ふれ)るな」


「がああッ!?」


彼は、膝からがくりと崩れ落ち、肩を掴もうとした腕を抑えて、苦痛に顔を歪ませた。

姉さんが何をしたのか速すぎて見えなかった。姉さんが凄まじいのはいつもの事です。


「私に触れていいのは、友と家族とリヒトのみ....」


「なぁ!?ク、クロト先輩!?」


振り返りながら言葉を発する姉さん。

カーダー君は乱入者が姉さんだとは思わなかったのだろう....先程までの偉ぶった態度はもはや消え去り、いくらかの怯えと困惑した表情を浮かべていた。


「・・・お前は私のリヒトを侮辱した....これは神さえ許されぬーー万死に値する行為だ。あのまま、のこのこと引き下がっていれば良かったものを....今ここで痛い目に、」


「ちょ、ちょっと待ってください!幾ら貴方でもそれは横暴でしょう!!そ、そうだ!しょ、勝負だ!勝負させてください!その落ちこ....ひいぃぃ!そそ、そいつとだ!そいつと勝負させてください!ど、どちらが上の立場かそれで分かるでしょう!は、話はそれからだ!」


姉さんが途中で睨みを効かせたが、カーダー君はなんとか言い切ったようだ。

彼は僕の方を震えた指でさしながら決闘を申し込んできた。

しかし、こんな訳のわからない話を姉さんが受けるわけな....


「ほぅ....いいだろう。日時はそ「ちょっ...もごぉ!?」....日時はそちらで指定してくれて結構。わかったか?理解したなら、さっさと此処から立ち去ることをお勧めする 」


「んんーッ!」


自分の目の前で事柄を勝手に決められていくという恐ろしい展開。

姉さんは僕が何か言う前に口を塞ぎ、発言権を奪っていた。


それからすぐに先生 (ご飯粒を口につけていたフィエリ先生) が駆け付けたりしたが、トントン拍子でこの場の事態は収拾され、僕は決闘することになってしまった。


カーダー君は立ち去る前に 「勝負を受けたことを後悔させてやるよ....落ちこひぃぃ!?」と言ってから、僕が何か言う前に逃げるようにこの場から去っていってしまった。


そうして、騒ぎが収まると野次馬はすぐさま消え、残っているのは姉さん、ライナ、ラルフ、僕の4人だけだ。


「ネエサン....?」


「ま、まぁ決まってしまったものはしょうがないじゃない....リヒトぉーあんまり怒らないで~」


先程までの威厳のある声とは打って変わり甘えるような声を出す姉さん。

いつもお世話になってるから強く言えないが、事実確認だけは必要だ。


「ハァー....決まってしまったものはしょうがないけど、何であんなこと了承したの....?」


「悔しいからに決まってるでしょう?リヒトを馬鹿にされて黙ってる訳にもいかないじゃない?だから、わからせてやるのよ・・・誰が本当に愚か者なのかを、ね.....そうよね?ライナちゃん?」


「............. 」


決闘するのは僕なんだけど....とついつい突っ込んでしまいそうになったが、今は僕の事は置いておく....。

それよりも、ライナが姉さんの言葉にも反応せず、さっきから黙りっぱなしであったため、どうしたのかとライナの方を向いたのだが、どうやら虫の居所が悪いようだ・・・"不機嫌です!"といった顔で姉さんの方をじっと睨みつけていた。


姉さん今度は一体何をしたのぉぉ!?と僕は冷や汗をダラダラと流しながら、頭の中で姉さんが登場してから今に至るまでの事を振り返っていたのだが、回答になるようなものが見当たらない・・・


「ラ、ライナさん....?」


「............. 」


無言。

ライナの反応はない。

僕が行動を起こせずに固まること数秒....ライナは姉さんの方を睨みつけた後、僕やラルフが居るのも構わず、自らの教室の方へと1人で歩き去ってしまったのだ。


ライナが去ってしまった後、どうすることも出来なかったため、僕とラルフの2人は"ライナ何であんなに不機嫌になったん?"という疑問を抱いたのだが、僕もラルフも見当が付かなかった・・・


姉さんは解っているようだったが、"力だよ" と一言言っただけで、いくら僕達がその以上の事を追及しようとしても、はぐらかして教えてくれなかったのだ。


それから授業が始まる頃となったため、姉さんに助けてもらった御礼?を言い、別れてから慌てて教室に戻り、ちょうど授業が始まったとなって、回想の前に至るという訳だ。



ライナは未だにムスッとした顔をしている....。


ライナの機嫌が明日にはなおっていることを祈るが、原因を解らないことには何も解決しない気がする・・・


姉さんが言っていた"(ちから)"って何を意味してるんだ....?


力....力....力.....。


姉さんのヒントらしきものが曖昧すぎてまったくわからない.....。



カー....えーと....なんとか君との決闘もあるというのにどうしたらいいんだ....


読んで頂き、ありがとうございます。


次は、別視点かリヒトの決闘に持ち込みたいと思ってますー


ストックなんて最先端なものは無いので申し訳ないですが....orz


誤字脱字などありましたら、教えて頂けると嬉しいです。

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