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ー 加護する異界の転生者 ー  作者: 徒木之信
第2章 ー学院編ー
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第3話:平穏な日々

どうも!珈琲を飲みながらお気に入り件数を見て噴き出しそうになった作者であります。


書きたいことを書いていたのに一体なにがあったのか?という疑問は尽きることはありませんが、読んでくださる皆様のためにも、とにかく書き続けていきたいと思います。


まぁ....展開は超絶遅すぎるかと思われますが、許して頂けると嬉しいです。


入学式の日から一ヶ月....つまりライナを泣かせてしまった日から一ヶ月が経った。


一ヶ月前のライナが泣いてしまったあの時.....

教室内には僕とライナの2人しか居なくて、騒ぎ?を聞きつけたフィエリ先生などの数人の先生が"何事だ!?"とすぐに駆けつけて来てくれたのだけれど....



いきなりフィエリ先生に怒られた・・・


「女の子を泣かせるとは何事か!」と。


泣かせてしまったからには、とりあえず "僕が悪い!“ のは分かっていたのだが、その時はライナが泣いてしまった原因はよくわかっていなかったのだ。


だから、ライナが泣いているところ申し訳なく思いながら、僕が理解を得るためにも今までの経過を先生方にきっちり話したら、今度は暖かい視線を送ってきたのである....


そうして僕たち2人を生暖かく見守りながら先生方同士で "若いっていいわね~" やら "6歳で青春かよ!チィッ!" やら "俺は30歳で究極の魔法使いになった...." など、この学院大丈夫か?と思わざるをえないようなフリートークをカマしていたのだ。


つまりはあの場において、駆けつけた教師達はまったくもってーー使えな....んんっ、存在理由が不明だった。


結局振り出しに戻ったということで談話している先生らをスルーして、ライナに "僕の行いの何がいけなかったのか言ってほしい" との旨を伝えたのだ。


すると、気持ちが落ち着いたのか泣き止んだライナは、僕に向かって微笑みながら "友達になってくれて、ありがとう" とーー


その時の僕はぽかんとした表情をしてしまっていた・・・


転生前の生きてきた世界で "ありがとう" という五文字の言葉を言われることはよくあったと思うけれど、この時の "ありがとう" ほど自らの理解が追いつかないものは無かっただろう....


ライナの言葉をしっかりと噛み締めていく内に心が暖かくなり、微笑みながら思わずライナの頭を撫でていた。


精神年齢は20歳を優に越している僕だけれど、やはり"ありがとう"と言われると嬉しくなるものだと感じたものだ....。


ーまぁ....そんなことがあって以降、ライナは僕と隔たりを作るようなことも無く、毎日登校してから帰るまでと常時一緒に過ごすという日々を送っていた。


そうして、今はお昼時。


今日もライナと一緒に昼食をとっている。


いつもライナとは一緒に食べたりするのだけれど、クロト姉さんとも一緒に食べたり (ほぼ毎日) している。


ーーのだが、2人でいつも睨み合っていたりと、あまり仲が良いようには見えない・・・いつからこうなのかと言われたら、会った時つまり最初からそうだったのだ。


何度もどうにかしようとしたけれど、どうにもならない....


この前、"なら何故2人一緒にいるのか?" という質問をしたら、2人から同じように呆れ嘆かれたのだ・・・以来あまり言わないようにしている....僕になんかしらの原因があると思うから、まずはそれが分からないことにはどうしようもないと思ったわけだ。


学院生活も中々大変である。



「リヒト!前の席空いてるか?」


「うん、空いてるよ」


食べながら考え事をしていた僕に話しかけてきたのは、僕の友人のラルフ....世間で言われるような庶民の子だ。

入学式の次の日にあちらの方か話しかけてきて、それから意気投合して友人となった。

気さくで中々面白い奴である。


「こんにちは!クロト先輩!」


「こんにちは。リヒト~この卵焼き食べてみて?また美味しく出来たと思うの~」


「・・・・・」


毎回クロト姉さんに挨拶しているようなのだが、本人は姉さんの返答に関してまったくもって納得がいかないらしい。


「もぐもぐ.....うん、美味しいよ」


「そう?良かった~じゃあ今度はこれはどう?」


「「・・・・・」」


さっきから2人が無言かつ半眼でこちらを見ているのだが....


もしかするとクロト姉さんが作ってきてくれた昼御飯を食べたいのだろうか?


でもこれは、姉さんが折角作ってくれたものだから....


「リヒト~はい、あ~ん」


「あ、うん....もぐもぐ....姉さんの料理はどんなものでも美味しいね」


"ブチッ" そんな音が聞こえたような気がした。


「クロト先輩!!なんでいきなりお弁当なんて作ってきたんですか!?」


食堂の一年生専用席のテーブルを"ダンッ!"と叩きながら立ち上がり、姉さんに向かって憤るように言うライナ。

そして、それに賛同するが如く勢い良くライナの言葉に乗っかるラルフ。


「そうですよ!俺の分とかはないんでしょうか!?」


「あんたは静かにしててよ!!」「はい.....」


ラルフ撃沈....。

無言で麺を啜るラルフ・・・

今回いきなりの事で多少は驚きもしたが、姉さんとライナがこんなように言い争うことになった場合、僕は最後まで静聴することにしている。

言いたいことがあるならば言った方が良いのだ....まだ子供と呼べる時なら尚更その方が良い・・・


「な~に?作ってきちゃいけないの?」


「そういうことを言ってるんじゃないんです!それは先輩自身のお弁当じゃないんですか!?それをわざわざ、リヒトに、た、た...食べさせたりなんかして!」


え....?僕、食べたりしたら駄目なの....?


「このお弁当はリヒトのために作ったものよ?なら食べさせてあげるのも当たり前のことじゃない 」


「〜〜〜ッ!」


そう言って食べさせてくれる姉さん。


あ、どうも・・・


落ち込んだ気持ちが回復した。

とりあえず、いつまでも食べさせてもらうのも悪いから、姉さんに言いフォークを貸してもらうとする。


姉さんは幾らか渋ったけれど、姉さんから提示したーーとある条件を呑んだら潔くよく貸してくれた。

ただ、僕からも "ライナを落ち着かせること" という条件を出したので、とある条件はそれが出来たらになる。


姉さんは喜々としたような表情で、拳をキツく握り締めながらワナワナと震えているライナの隣へ行き、ライナの耳元へ自身の口を近づけ何かを囁いていた。


「....たが、.....作れ....じゃ....。そ....れば、....もリヒ....食べ....あげ....かもし....わよ?」


「!!な、なるほど!それなら....自分で....いや....時間が....」


姉さんの言葉により、ハッ!とした表情をしてからみるみるといつもの活気を取り戻すライナ。

仲良きことは美しきことだな~そう思いながら、姉さんが作ってくれた弁当をもぐもぐと食べる。


「リヒト....お前って奴はなんて幸せ者なんだ!」


「?? もちろん皆のお陰で幸せだと実感してるよ?」


「・・・すまん、そんなふうに言った俺が愚かだった」


「???」


幾ら感謝してもしたり無いほど、皆から暖かい想いを注いでもらっている僕は相当の幸せ者だと自分自身で思っているのだが、どうやらラルフの望んだ答えではなかったらしい....。肩を落とし "がくり" と項垂れた。

ラルフは時々良く分からない言動をする時があるからな~時々心配になる・・・


項垂れた頭を戻し、感慨深そうに僕を見てくるラルフ。


「しかし、まぁ....本当お前はお前だよな〜・・・」


「うん?どういうこと?」


「いや、さ....こんな言い方失礼かもしれないけど、お前は貴族でも貴族っぽくないと思ってな....」


「そう?うちの家族は皆こんな感じだと思うけど・・・」


「確かに、そう言われるとそうかもしれないな....やっぱりお前ん()は本物の貴族だよ 」


自分の家族が褒められるのは嬉しい。

僕からいくら厳しく見ても母さんと父さん、姉さん達も兄さん達は皆誇れる人達ばかりだからーー


それにしても、本物の貴族か....

ラルフがこんなふうに言うには理由(わけ)がある....。


学院内でもそうなのだが、僕の学年内でも早一ヶ月にして徐々に貴族と平民、そして今のところ中立の立場をとっている三つの派閥が形成されているのだ。授業時や休み時間などにそれが表れているのをよく眼にする。


僕自身、分ける必要性の感じられない派閥などに入るつもりもなく、友人と楽しく "やる時はやる!休む時は休む!" をモットーとして学院生活を過ごすことが第一なのだ。


僕もライナもラルフも楽しく過ごしたいのだが、貴族派のリーダーからの "自分の部下になれ!" とのお言葉を僕が丁重に断ったため、今色々と面倒なことになっている.....。


皆に迷惑はかけられないから、なるべく穏便に済ませてしまいたいのだけれどーー


ラルフとそんな事を話し合っている間に、どうやら姉さんとライナのお話は無事終わったようだ。


「問題解決!と・・・リヒト~随分小声で話していたようだけれど、何を話してたの~?」


「魔法術の授業の内容についてです」


「そうなんですよ~俺が授業の内容で良くわからない箇所があったんで、口頭で教えてもらっていたんですよ~やっぱりわからないっていうのは恥ずかしいですから....」


姉さんにいらぬ心配をかけさせたくないため、姉さんの前ではあまりこの話をしない....

その辺りの事をラルフは言わずとも察してくれて、すぐさま話を合わせてくれる....本当良い奴だ。


姉さんはその答えに納得はしていないようだったけれど、あまり追及はしてこなかった。


「そう?ならいいわ。それじゃあ約束の....」


そう言ってもとの席に戻った姉さん。

姉さんは先程以上に喜々とした表情を....ライナはやる気に満ち溢れた表情をしていた。


「了解。はい....じゃあこの卵焼きを....」


「あ~ん....うん!やっぱりリヒトに食べさせてもらうと味が数千倍も違うわね~~じゃあ、次はそのお肉をもらえる?」


「はい、どう「な、な、な、何をやってるのよ!?」・・・」


またもや叫び声をあげるライナ。

先程ぶつぶつと呟いていたようだが、意識がこちらに戻ったようだ。


「食べさせてあげてるんだよ・・・?」


「だから、その事を言ってるんじ「ライナ」...」


厳かな声で戒める姉さん....。


「貴方も作ってくれば何も問題はないでしょう?....だから今は静かに食べさせてちょうだい・・・わかった?」


「....ッ!わ、わかりましたよ!静かにしてればいいんですね!」


口を挟もうとしたら、すぐに収束してしまった....。

挟める勇気もあまり無かったのだけれど。


そうして、食べさせる事を急かす姉さん。

姉さんが作ってきてくれた昼御飯を2人で完食した。


「ふぅ....美味しかったわ。また作ってくるわね?」


「うん、ありがとう。でもあんまり無理はしないでね?」


「大丈夫、いつもしっかりしてるのは知ってるでしょ?はぁぁ~それにしてもやっぱりリヒトは可愛いわぁ~本当食べちゃいたいくらいよぉ~食べていいかしら?」


「僕を食べても美味しくないよ?」


「....ッ!卒業するまでの辛抱ッ!卒業するまでの....(ぶつぶつ)」


「この2人に砂糖はいらねぇなぁ.....」


なんか皆おかしな言動をしているけれど、気にしない....。

姉さんに抱きつかれながら、テーブルの下の荷物入れに入れてあった弁当箱を取り出す。


「「え?」」


姉さんとライナの2人が同時に声をあげる。

"ん?" と首を傾げていると姉さんが困惑した表情で僕に問いかけてきた。


「そ、そのお弁当、い、いったいどうしたの?」


「うん?ルミス姉さんが作ってくれたんだよ?食べ盛りのリヒトが沢山食べられるようにって」


「「「・・・・・」」(1人血涙を流す)」


「どうしたの?」


無言で呆然とした表情をしている2人。

ラルフの目から血が流れているように見える.....一体どうしたのかと再度聞こうとした次の瞬間...


「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」


2人の叫び声が食堂内に響き渡った。



・・・


後日....クロト姉さん・ルミス姉さん・ライナの3人で会議を開き、数時間にも及ぶ議論の結果、3人はとりあえずは休戦したのだとか。


今の僕の昼御飯は皆が作ってくれた弁当であるーー


読んで頂きありがとうございます。


やはり平和な日常は必要だな~と思い、書いた次第です。


ルミスも頑張ってますからね....生徒会長も後から出したいッ!(←もうやめろ


誤字脱字などありましたら、教えて頂けると嬉しいです。感想もお待ちしておりまする!

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