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ー 加護する異界の転生者 ー  作者: 徒木之信
第2章 ー学院編ー
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第2話:先生と友達

えーとですね・・・


一体何が起きてしまったのか、全くわからないんですが!なんと!なんと!なんとぉぉ!


お気に入りが360件を突破するという、とてつもない事態になりました!

登録して下さった皆様....本当に!ありがとうございます!


作「全話書き終わって、登録してくださる方が100人いれば嬉しいな~」


とつい最近思っていたのが、信じられないくらいです....思わず夢だと思ってしまいました。はい。


ちまちました拙文ですが、これからもなにとぞよろしくお願いいたします。


入学式が終わった後、一度外の広場に集まりクラスごとに整列してから、先生の誘導により自分のクラスに向かうことになった。


事前にクラスを教えられたわけでもなく、建物の中では皆バラバラに座っていたため、どうやってクラス分けをするのか疑問に思っていたのだがー....

なんと、配置された席それぞれにクラスの振り分けがされていたらしく、その座った席によってクラスが決められるのだ。

どうりで保護者は保護者用の席に座るように指示されていたわけだ.....となんとなく納得した。


めんどうなやり方だな~とも思ったけれど、この国随一の学院がそうしているのなら、必ず何か意味があるのだろう.....そう、たぶん。


僕には必要無かったことだが、同伴していた保護者は、自分の子のクラスが終わるまで別室で待機してもらうことが出来るようで、皆集まってしっかりと待っているらしい....もし母さんが居たら教室までついて来そうでコワイが、まぁ現在保護者はいないし、どうでもいいか....


今、誘導している2人の先生は、僕のクラスを担任する人とそれを補佐する人で、1人は一番前で先導していて、もう1人は一番後ろで誰かが(はぐ)れたりしないように見守っている。

検査の時の、あのギラついた目をした綺麗なお姉さん先生では無かったようで、失礼かもしれないけれど「良かった」と少し思ってしまった....もしそうなったら、なにか大切なものを失ってしまう気がしたのだ・・・


ついでに、この2人は、(おおやけ)には秘密にされている僕の特殊な力の事を知っていて、検査の時も手伝ってくれた先生である。


「リヒト君って全くもって6歳には見えないわよね~」


新入生の列の一番後ろにいたことや検査の時に顔と名前を覚えられてしまったこともあってか、突然名前を呼ばれ、何故か失礼なことを言われる。


「そんなことないですよ。身体的にも精神的にも実際に6歳なわけですし....どこが6歳に見えないんですか?」


先生、サイラ先生という名前なのだが、サイラ先生は僕の返答に、肩を下げながら大いに呆れたように息を吐き、よく分からないことを言った。


「はぁー....そういうところよ」


「....?? 姉さんや兄さんは皆こんな感じだったと思うのですが....」


「あー....うん。貴方達の御一家は、なんか良い意味でおかしかったわよね 」


「・・・・・」


失礼なことを言われた。

だが、まったくもって言い返せない....僕も前々から思っていたことだったから。もちろん良い意味でだけれど・・・


「まぁ....いいわ。それより、こちらとしてはあの隠蔽魔法に気づけるとは思っていなかったわ。一体何をしたの?」


意外としっかりとしてる先生みたいだ。

マズい内容と判断したものは、きちんと遮音の術を施してから、話を振ってきた。


「えーと、ただ単に人の姿が確認出来ない所に人の魔力があったので、おかしいなーと....」


「・・・なるほど、ね....とりあえず、リヒト君があまりにもおかしいのはわかったわ」


「酷いッ?!」


「だって、そうでしょう?相手の魔力を測れる・魔力がわかるなんていうのは、そこらの魔法術師には到底真似出来ないことなのよ?この学院でもほんの一握りだけなのに、それを"自称"6歳のリヒト君が出来たことの異常さがわかる?」


確かに母さんから、そう聞いてはいたけれど....

それにしたって、6歳の子供にここまで言いますかね?

"自称"って・・・がくり。

この先生....本当に遠慮無しにズバズバと毒を吐いてくる。

下手な貴族にこんなことを言ったら、何されるかわかったもんではないと思うのだが....


まぁ、学院は一応基本的には『貴族も平民も学ぶ者は皆平等』となっているし、この学院の先生はその下手な貴族より強いといえるから大丈夫なのだろうとは思うけれど、少し心配になったので聞いてみた。

僕個人としても好感を持てる先生だと思ったのも要因だ....マゾではないよ?


「先生って、貴族とかに対しても、いつもそんな風に話すんですか?」


「あら?気に障ったかしら?リヒト君はそういうことを気にしない"人"だと思ったのだけど?」


"人"って....今まだ"子"なんですけど....

そう心の中でツッコミながら、目を若干細めてこちらの返答を待っている先生に向かって先ほど思ったことを言う。


「あー....そういうことではなくてですね・・・僕なんかは先生のありのままの方が全然いいんですけど、それを容認できない下手な貴族なんかに目をつけられないのかな~と思いまして....」


先生はそれに対してキョトンとした表情になると、次の瞬間いきなり「アハハハハッ」と笑い始めたのだ。

呆然とする僕.....何かおかしいことを言っただろうか?


少し経ってから笑い終わるサイラ先生。

最後尾とは何時の間にか逸れてしまったけれど、まぁ...ここに先生がいるから良しとする。


「はぁ....久しぶりに笑えたわ。でも....フフ、リヒト君....やっぱり貴方はおかしな"人"よ 」


もう何も言うまい・・・


とりあえず、納得出来ないので拗ねておく。


「もー拗ねないでよ~馬鹿にしたわけじゃないんだから~」


そう言いながら、豊満な身体を密着するように寄せ付けてくる。

ふぅ....僕の鋼鉄並の理性はそんな(やわ)ではないのだ・・・あっ、崩壊しそう。


これはマズイッ!と理性が悲鳴?をあげる....

なんとか抗おうと、あまり意味の無さそうな抵抗の言葉を叫ぶ。


「せ、先生!僕6歳ですよ!?6歳!!冗談も程々にしてくださいって!」


「えー冗談なんかじゃないわよ~本気も本気よ~? あ!そうだわ!なんなら私を..痛ッ!?」


「一体何をやってるんですか!!」


目の前に仁王立ちする般若....。

新入生を先導していたフィエリ先生が、いつのまにかここまで戻ってきて、教職簿でサイラ先生の頭を思いっ切り叩いたのだ。


助かったと思いつつも、涙目になりながら(うずくま)ってしまった先生がちょっと心配になって、声をかけようとしたのだが、それよりも早くフィエリ先生に手を掴まれてしまう。


「まったく!姿が見えないと思ったらこんなところにいて!しかも6歳の子にちょっかい出したりなんかしてるなんて、あなたはこの学院の先生としての自覚はあるんですか!?....リヒト君行きましょう?」


サイラ先生の返答を待つつもりも無く、僕の手を掴みながら、さっさとその場を立ち去ってしまおうとするフィエリ先生。


気になる気持ちはまだあったけれど、先生の手を振りほどくわけにもいかず、そのまま教室まで連れて行かれてしまうのだった....。


・・・



2人が居なくなった廊下で先程まで蹲っていたサイラは何も無かったように"すくっ"と立ち上がる。


リヒトが立ち去った方向をなんらかの想いを含んだ目で見ながら、サイラはひっそりと言葉をつむいだ。


「....優人君、貴方はいつも変わらないのね....これからも....変わらないんだろうな・・・愛し愛される者としてー....」


そう呟き、2人が向かったであろう教室の方へと歩き出してた・・・



◇◇◇



教室に入ると、新入生は皆きちんと揃っているようで、僕が座るであろう一つの空いてる席以外全て埋まっていた。


ぐるりと教室内を見渡してみたところ、入学式の時に隣に座ったあの赤髪の女の子もいるようで、こちらの方を"じぃー"と見ていた....。

どうやらまた隣の席のようだ。


とりあえず、フィエリ先生の指示に従ってそこの席に座る。


その時、ちょうどタイミング良くサイラ先生も着いたようで、フィエリ先生は教壇に、サイラ先生は教室の後ろに立った。


フィエリ先生は、僕と同じようにぐるりと生徒を見渡してから、口を開いた。


「これから一年、もしくはそれ以上になるかもしれないけれど、みんなの教鞭を取らせてもらうフィエリ・アルフレードと言います。呼び方は、フィエリ先生とでも呼んでください。えー....後ろに控えているのはサイラ・フォーレン先生....サイラ先生?」


「サイラ・フォーレンです。これからよろしく。何かわからないことがあったら言ってください」


そう言って、銀色の髪を肩からさらりと落としながら、軽く頭を下げるサイラ先生。

ついでに僕をちらりと見てウインクするのはヤメテください....


「サイラ先生も言って下さったように、何か困ったことがあったら、遠慮無く私かサイラ先生のどちらかに言ってくださいね?」


そう言った後、生徒達が頷いたのを確認し、フィエリ先生は次の話に入った。


「はい!では、明日から皆を教えていくわけだけれど、その前にみんなに自己紹介してもらいたいと思います.....それじゃあ、先生が名前を挙げていくので、呼ばれたら立ち上がって、名前と趣味と一言何かある場合は言ってください」


そうして、フィエリ先生から名前を呼ばれた生徒がどんどん自己紹介していく。

1クラス大体約40人ほどで、僕は最後から数えた方が早い席に居るのだが、先生に呼ばれた順に自己紹介することになっているので、席の位置は関係ないようだ。


バラバラに右・左と呼ばれるもんだから、まったくもって覚えられない....

もし順番通りに呼ばれたとしても、どうせ変わらないけれど....

とりあえず、周りの子から覚えていこうか....と諦めた。


「次は~リヒト君!」


どうやら僕の番が来たようだ。

先程までのクラスメイト達の自己紹介では、皆緊張しながらも、名前に加えて自分の爵位などを挙げたり、うんたらかんたら何か言っていたりと「さすがは貴族だな~」と思ってしまうほどの熱弁を奮っていたが、僕は言われた通りに自己紹介する。


「リヒト・ローゼンベルクです。趣味は....今のところ読書です。皆さんには、色々ご迷惑をお掛けしてしまうかと思いますが、これからよろしくお願いします」


そう言って頭を下げたのだが....


後ろの方でサイラっていう名の人が吹き出しやがり、顔を上げるとフィエリ先生がぽかんとした顔で僕を見ていたのだ・・・

何か変な事をしてしまったのだろうか?

どこにも笑える要素は無いと思うのだけれど....


「あのー....どうかしましたか?」


「へ?あっ、ああ、な、なんでもないわ!少し考え事をしていただけよ。本当ごめんなさいね....どうぞ座っていいわよ」


「はぁ....?わかりました....」


原因がよくわからないので、後でサイラ先生にでも聞いてみるとしよう・・・

いきなり吹き出したなら原因が分かるはずだ。


そう考えながら、とりあえず紹介できたので、言われた通りに席に座る。


「え、えっと、じゃあ次はーー」


再び名前を呼ばれていき、自己紹介していくクラスメイト。

平民の子もいるのだけれど、一部の貴族の子からは蔑むような視線がその子達に向けられていて、僕としては気分が良くない。

今まだ6歳という年齢の子供のどこに、平民や貴族なんていう違いがあるのだろうか....


・・・今この紹介の場で言っても仕方がないか....逆にそんな違いを気にしない貴族の子もいるようだし....


そうして数人自己紹介が終わった後、隣の子が"はい!"と声をあげた。


どうやら赤髪の子の番が来たようで、この子で最後のようだ。

その子は席から立ち上がり、元気よく言った。


「ライナです!趣味は剣術です。みんなと仲良くなれたらいいなと思ってます。よろしくお願いします! 」


頭を下げるライナさん。

なんてええ娘なんや....僕の隣の席だし、名前を忘れないようにしないと。


「はい!みんな紹介が終わりましたね。本来ならば授業の後や帰りに連絡事項を言ったりしますが、今日はそのようなことはありません。それと....明日からの授業で必要なものはこちらで用意しますので、各自必要だと思ったものだけを持ってきてください。何か質問はありますか?」


誰も何も言わない。皆、疑問などはないようだ。


「・・・無いようですね。それではこれにて今日のところは終わりです。明日から大変になると思いますが、みんなで実りある学院生活にしていきましょう!」


実りあるなんて言われても、まだ皆わからないんじゃないだろうか?

首を傾げてる子がちらほら見える・・・


先生は慌てたようにしていたが、サイラ先生が何か伝えたのだろう、すぐに持ち直したようだ。

そういえば、サイラ先生....最初の紹介しか喋っていないような....


「で、では、帰りも誘導が必要な子は私のところに集まってください。それ以外の子は解散してください」


解散していいらしい。

とりあえず先生に言うべきことを言わねば。


「「ありがとうございました 」」


・・・・・


言うべきことを言ったのは僕と隣の子とあと3人の子だけらしい。

まぁ、6歳なら言わなくてもしょうがないか~~....うん。


クラスが静まり返ったが、静まり返ったのは一瞬だけで皆すぐに解散して教室から出ていってしまう。


姉さん達を待たせてしまうかもしれないけれど、皆と出るのも憚れたので、もう少し経ってから出ることにする。


そうして待っていると隣にいた赤髪の女の子がいきなり"アハハ"と笑い始めた。


なんだ?と思い、目をぱちくりさせながら女の子の方を見ていたのだが、笑うばかりで反応が返ってこない。


仕方ないので、事情を聞くまで少し待っていると、いくらか落ち着いたようだ。


どうやら笑い過ぎたのか、目尻に涙を貯めながら僕に言う。


「ごめんね!いきなり笑い出したりして....リヒト君があまりにもおかしくて....」


・・・あれ?なんかデジャヴが....

目の前が霞んで見えないや・・・目から汗が出るなんて・・・


そして、彼女は....


「ねぇリヒト君....私と友達になってくれない?」


こちらの目の汗に気づかずに、僕に想いを告げる....


彼女の声は不安に彩られた声で、瞳は不安で揺らいでいる。


不安、不安、不安・・・


そんな感情が彼女から伝わってくる。


まさか僕が断ると思っているのだろうか....?

ならば、その感情・思いを彼女から消し去ってしまわなくてはいけないな・・・


だから、僕はしっかりと彼女の瞳を見て、にこりと微笑みながら、はっきりと彼女に伝わるように言葉をつむぐーー



「僕で良ければ、是非お友達になりましょう」



彼女は喜びながら泣いてしまった。


読んで頂きありがとうございます。


自分的に学院編が1番難産ですかね....

自分の幼少期なんて一切覚えていないのが辛いところです....


・・・頑張ります。


誤字脱字などありましたら、教えていただけると嬉しいです。


3/31 脱字修正しました。独言様、ありがとうございます。

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