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遠回り

作者: あくあ

「はぁ…」

気分最悪。暗い表情で教室へ向かっていた。

気付くとすぐ後ろから声が聞こえた。


「よっ美菜!!朝っぱらからしけてんなぁ〜〜」

バシバシッ

テンションの高い井上はいっつも肩を叩きながら声をかけてくる。

「いたっ…朝っぱらからうっさいよ井上。」

「何した!?もしかして振られたとか!?」


「……………」


「図星!?…どんまい!!きにすんなって!」

私はすごい形相で井上を睨んだ。

「んなことできるわけないでしょぉ!!??」

井上のふくらはぎを何回か蹴った。

「いてっいてっ!なんだよ〜俺なりの慰めだろ〜?」

「何よ……むかつく。」

井上とは中学のときからずっと一緒だ。

こいつはいつでももてるのに、私は振られてばっかりの人生。最低最悪…


「あ〜ぁ…今回はかなり良い感じだったのに…なんでだろ。」

「ぅ〜ん…はは。」

「なんで笑うのよ!!ばか!!嫌い!!」


高校に入ってから3回は振られた…


「もぉ!!次ぎ行かなきゃ!次!!」

「えっ!?!?」

「……なんであんたがびっくりするの?」

井上は苦笑いしながら言った。

「そんなに振られてんのに懲りないなぁ…と。」

「だって恋してないと生きていけない!!」

「バカだ…」

「何よ!!井上には関係ないじゃん!!!」

「まぁな。」と井上は笑い4組の教室へ入った。私は隣のクラスに入る。


次の日


朝早く学校に着いた私は真那美がくるのを首を長くして待った。

「早く来ないかな〜……あ!!真那美!!」

「あ。美菜〜おはよ〜」

「おはよ!真那美!!私恋した!!」

私は親友に今回もいち早く相談した。

「何?また?今度は誰。」

彼女もちょっと呆れた顔で聞いた。

「あのね、一個上の先輩!!格好いいんだよ〜」

「…ねぇ美菜?本当に好きなの?その人のこと。」

突然の彼女の言葉に一瞬戸惑った。

「う…うん。な…なんで?」

すると彼女はすこしほほえんだ。

「ならいいんだけど。」


真那美の言葉が全く分からないわけではない…


体育の時間…


「あ。いいな〜男子。バスケやってる。」

真那美が隣のコートを見て羨ましそうに言った。

「本当だ。…」

私の視線は一際目立つ井上へいっていた。

「まだ…引きずってるんじゃないの?」

真那美は私の視線に気付いたらしい。

「べ…別に!!ひきずってないよ!過去のこと何て…」



2年前…

私と井上は中学3年だった。1年からクラスが一緒だったし

好みもすごいあっていたから、私達はすごく仲良くて

いつの間にか私は井上が大好きになっていた。


「もうすぐ卒業だね…」

真那美が外を見ながら私に話しかけた。

私は中学生活最後であろう日直の仕事で、日誌を書いていた。

「ぅん…さみしいね。」

ペンを止めて私は日誌を眺めた。

「井上に…告白しないの?」

「え!?」

2人しかいない教室で、わたしの声は木霊した。

「早く言わないと…誰かにとられるかもよ?井上もてるし。」

「……高校一緒だから安心してた…」

「絶対両思いだと思うんだけど…」

桜の花は、少し開きかけていた…


卒業式終了後、私は井上を呼び出した。


「……あのさ……卒業だね。」

「あぁ…高校もお前と一緒だけどな。」

「うん……私さ。」

「………。」

「井上のこと…好き…なんだ。」

「え……」

「第二ボタン…くれない?思い出に…」

「……ごめん……」


その後のことは覚えてない。

家に帰って真那美に電話して泣きながら結果を言ったのは覚えてる。



「まだ、井上のこと好きなんじゃないの?」

「……しつこいでしょ……そんなの。」

私はバレーボールをついて、授業に参加した。

真那美の目を見られなかった…


その日の昼休み、真那美はどっかいって、しばらく帰ってこなかった。

ガラガラ…

「おかえりー…何したの?」

真那美は何か言いたそうな顔している。

「どう…したの?なんか変だよ?」

「いや……。……うん……。」

「?」

すこしの間、真那美は何やら考え込んでいた。

「やっぱ言う!!!!」

「は!?なに??」

真那美は私の肩を掴んだ。

「美菜?あんたが高校入って何度も振られたのは、井上のせいだよ?」

は???何いってんのこの子…

「さっき井上と話してたんだけど、美菜の今度の好きな奴教えてくれって…

 何でか問いつめたら………」


遅いんだよ…ばか…


私は走っていた。井上のいる昇降口に向かって…


『何でか問いつめたら、美菜が告白して付き合うことになったら嫌だからって…

 聞いてどうすんの?って聞くとあいつ、その人に美菜を振ってもらうよう

 頼みに行くって……今までも他の人に聞いて何度も美菜の好きな人に頼み込んでた

 みたい…美菜を振ってくれって……。意味分かんないよあいつ…ばかじゃない?』


バカバカバカバカ


あんたが私をふったんじゃん…今更なんなの?

あぁでも…涙が出そう……


「井上!!!」


下駄箱の前にしゃがみ込んでた井上は私に気付いて目を見開いた。

「な…なんでここに??」

「あんた…2年前に私のこと振ったくせに……邪魔しないでよ!」

「真那美のヤツ言ったのか………ごめん!!」

井上は頭を深く下げた。

なんなの?意味分かんない…

「でも…」

「?」

「俺お前のこと振ってないから…」


……何いってんの…??


「振ってない?井上私にゴメンって…」

「あれは!後輩に第二ボタン下さいって先に言われてたから、

 第二ボタンはあげれないって意味…その後お前勘違いしてたみたいで

 なんか告白の返事できなかったし……あの後から結構たってんのに好きだなんて

 言えなかったんだよ…」

「な…何それ……で、でもだからって…私は振られるたんびに悲しかったんだよ…」

「ゴメン…」

「でも、本当は振られて良かったんだと思う…」

「え?」

「私だって…ずっと井上のこと、好きだったけど…

 しつこくして、嫌われるの……やだったから

 忘れようって思って…無理矢理好きな人作って…でも、やっぱ井上が…」


「美菜……」


「何?」


「好きだ!!俺と付き合ってくれ!!!」


学校中に響き渡る井上のでっかい声に、私は目が飛び出しそうだった。

でも、嬉しかった……すごく、遠回りしちゃったけど…


「はい…」

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