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平等(1)


「なんてことはない。目だ、目そのものなんだ」

 だから一体なんなのよ〜!!

「この地形! 林に囲まれて、池があって、真ん中に島。目の様相そのままなんだ」

 あ! そうか!!

「だったらわたしたち、今まで探してた目の上で逃げ回ってたってこと?」

 なんかカッコ悪〜い。灯台なんとかってそのままじゃないの〜。

「いや、それも違うよ。そう思わせるための引っかけなんだ。

 過去にそれに引っかかって喰われた人がいる。まさかそんなこと思う人がいるなんて思いつきもしないだろうからね」

「じゃあ本当の目はどこにあるの?」

「世界中で目といえばほとんどが共通して上げてるシンボルがあるんだ……それは!」

 犬澤さんが助走をつけて飛び上がった。

 祠の真上。空に向けて……。


《ヴオオオオオオ………!!》


 鼓膜が破れそうな叫び声とともに、周囲の光景がフラッシュする。かろうじて開いた目に映る光景は足下や林の木々、絶壁の岩にいたるまですべて動物の死体に囲まれていた。

 美しい清流は血の流れに変わり、死体の中には人間のものもあった。恐ろしさで顔を伏せ、その光景を見ないように固く目を閉じる。


「あふら ひゃくれいとく こ〜は〜 しき!」

 不思議な歌が聞こえてくる。この声は……犬澤さん。

 頭を上げ、うっすらと目を開けると、『しき』のところでウメガイを上から下に降り下ろす動作と同時に、恐ろしい空間がビクッと反応した。

 それは死体に囲まれているというより、囲まれている風景が映しだされているみたい。

 あまり見たくないけど、少し落ち着いて周りを見渡すと……そうだわ。これは実物じゃない。

「やふら ちゃくえいもく こ〜は〜 しき!」

 今度は左から右に薙払う。さっきより強い反応。

「わふら きゃくていそく こ〜は〜 しき!」

 上から下。

「なふら にゃくへいよく こ〜は〜 しき!」

 左から右。

「たふら しゃくけいほく こ〜は〜 しき!」

「まふら りゃくせいのく こ〜は〜 しき!」

「さふら ゐゃくめいおく こ〜は〜 しき!」

「かふら みゃくねいろく こ〜は〜 しき!」

 上下左右を交互に繰り返しながら歌を唄い、そのたびに空間が苦しそうに反応している。

「ぬゑつ むをす〜ゆ〜る〜 うん!」

 最後の歌と同時に、ウメガイを真っ直ぐ正面に突き出すと、周りの光景が死体からこれまでわたしたちを襲っていた無数の口に変化して一斉に突き出し、物凄い断末魔の叫び声をあげる。

 その声にわたしはまた耳を塞いで顔を伏せた。


 悲鳴が消え去り頭を上げると、もとの清々しい自然の景色の中に、犬澤さんのウメガイを構えて仁王立ちする姿が目に入った。

「あとは……」

 祠の前まで歩いて行って、荷物から取り出した白い粉をパラパラ降りかけると、ゆっくり祠が崩れて行く。


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