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第五話 体育館に声は響かない

試合の日がやってきた。


三年生と一緒に試合に出られるのも、これが最後だった。


中学の三年間なんて、あっという間だ。


私は先輩達が大好きだった。


みんな優しくて、だけどコートに立つと凄くかっこいい。


ずっと憧れだった。


そんな先輩達と一緒に同じコートに立てることが嬉しかった。


引退してほしくない。


まだ一緒にバレーがしたい。


そんなことを考えていた。


整列をして、コートに並ぶ。


試合開始の笛が鳴った。


緊張していた。


身体が少し強張っているのが自分でもわかった。


そんな私に気づいた先輩が、笑いながら声を掛けてくれる。


「楽しく、思いっきりやろう!」


その一言で、どれだけ救われただろう。


不思議なくらい身体の力が抜けた。


思いっきりやれた。


もっと私にトスをあげてほしい。


次も決める。

その次も。


だから、どんどん打たせてほしい。


今までの弱い自分じゃない。


前だけを見れた。


楽しかった。


試合が、こんなにも楽しいと思えたのは初めてだった。


そして私達は、一回戦、二回戦を勝ち進んだ。


だけど――。


三試合目。


気付けば点差は開いていた。


みんな焦っているのがわかった。


「落ち着いて行こう!」


誰かがそんな声を掛ける。


だけど――。


無情にも、最後の一本が床に落ちた。


負けた。


先輩達の引退が決まった。


涙を流す先輩達。


その姿を見た瞬間、私も涙が止まらなくなった。


終わったんだ。


もう、明日から先輩達は居ない。


体育館に、先輩達の声は響かない。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


この試合は、自分の中でも特に印象に残っている試合でした。


先輩達と一緒にコートに立てた嬉しさ。

試合の楽しさ。

そして終わってしまう寂しさ。


最後の一本が落ちた瞬間の空気は、今でも覚えています。


明日から体育館に先輩達の声が響かない。

そう思った時、とても寂しかったです。


続きも読んでいただけたら嬉しいです。

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