文化祭 一日目!
もう、二度と龍に関わらないと誓ったのに・・・・・。
また、関わるようになってしまったんだ。
もうすぐ、文化祭があって楽しみにしていた・・・はずだったのに・・・。
私たち学校の桃原高校は、もうすぐ文化祭がある。
私は、ドキドキしていた。
というのは、悠馬と一緒に見て回る約束をついさっきしたからだ。
「なぁ~美結、もうすぐ文化祭じゃん。俺ら一緒に見て回ろうぜ。」
彼は、楽しげな顔をして私に言って来た。
「うん♪あっ、文化祭と言えば二日目のメインイベントだよね。」私は、テンションを上げて言った。
「メインイベント!?何それ?」と、不思議そうに私に問いかけて来た。
「知らないの!?メインイベントは、ステージに出たい男の子が立って、好きな女の子に告白するっていうイベントだよ。」私は、満面の笑みを、彼に向けた。
「へぇ~。何か楽しそうじゃん。」彼は、そう言うと怪しげな笑みを浮かべた。
さっきの悠馬の怪しげな笑みは、いったい何だったんだろう!?
深く考えれば考えるほど、ゾクっと怖くなってきた。
そんな文化祭まで、後一日と来たところで、急に心臓が脈を打って、速くなってきた。
私は、明日の文化祭が楽しみで、頭の中から離れなかった。
そして、文化祭当日が来て、私はウキウキ気分だった。さっきまでは・・・・・
それは、数分前のことだった。
「ごめん。美結、今日一緒に回れなくなっちまった・・・・。ほんと、ごめんな。」
彼は、申し訳なさそうに、謝っていた。
「そっかぁ~、じゃぁ一人で回っとくね。」そう、笑顔を向けたつもりだったけど、相当引きつっていたと思う・・・・。私は、仕方ないと、自分に言い聞かせて彼に、手を振り歩き出した。
正直、あんなに楽しみにしていたから、断られてちょっと、イライラしていた。
ふと、後ろを振り向くと龍がいて、私は無神経に彼へと近づいていた。
「佐伯くん、この前は、あんな酷い事言ってごめんなさい・・・・。」
何故か私は、彼に謝っていた。彼は、ビックリした表情で私を見ていた。
「あっ・・・うん。って!何で一人なわけ!?彼氏くんは?」
と、不思議そうな顔をして問いかけて来た。
「悠馬は、何か用事があるみたいで一緒に回れなくなったの・・・。」私は、哀しげな顔をして、下に視線を下ろした。
「そっかぁ~、じゃぁ・・・、俺と一緒に回らない?」彼は、照れた顔をして呟いた。
「いいの!?そうしてくれると、助かる~♪」なんて、呑気な事を言っていた。
私は、龍と二度と関わらないと誓ったはずだったのに・・・・、悠馬に一緒に回れないと言われた事に、ショックでイラついていた。一人で回るより、誰かを誘おうと思っていたら、無意識に龍を誘ってしまっていたんだ。
「ねぇ~、佐伯くんはメインイベントに出るの?」と、恐る恐る聞いてみた。
「う~ん・・・・・。好きな子いるし、一応は出るよ!」と、ニコっと笑った。
好きな子いたんだ・・・。って事は、私に告白したのは、からかいだったんだ。
あはは・・・、当たり前か!会ったばっかりなのに、好きになるわけないよね。それに、佐伯くんは、学年一だし、私の事なんてなんとも思ってないだろうしね・・・・。
「どうしたの?さっきから、テンション低いけど、彼氏と何かあった?」と、心配そうに言ってきた。
「うん・・・。悠馬と一緒に回れると思って、楽しみにしてたんだけど、急に出来なくなったなんて言われて、ショック受けてただけなんだけどね・・・。なんか、ごめんね・・・。」そう、深々と頭を下げて謝った。
「謝らなくていいよ!俺っ、美結ちゃんと回れて嬉しいし。」なんて、照れる彼を見てドキっとしてしまった、自分がいた。私は、気づきたくなかった気持ちに気づいてしまったんだ・・・・。
『佐伯 龍が好き!』ってことに・・・・。