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【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


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60/80

60 これからのこと

クリス殿下が、真剣な眼差しで私を見つめている。

その表情から、嘘や冗談で言っているのではないとわかる。

私は、先ほどのクリス殿下のお言葉を繋ぎ合わせ、必死に頭を回転させていた。

「私が・・・卒業試験を?私も飛び級で卒業するということですか?」

「そう、そして結婚するんだよ、僕と。」

クリス殿下が、ニッコリと笑う。


「お、お待ちくださいませ。私はAクラスで、成績も・・・」

「アリス、今さら僕に隠し事?アリスは本来ならSクラスの実力があるでしょう?ほら、中間試験の時に教えてもらった勉強、あれ、実は3年の問題なんだよ。なんのためらいもなくスラスラ解いたくせに、なにを言ってるのかな?」

あ・・・あの時。

1年生の学習内容が変わったのかな、と思っていたのに、まさか一つ上の学年の問題だったの?


「・・・クリス殿下、私を試されましたね?」

「そこはまあ・・・ごめんね。まさか解けるなんて思ってみなかったからさ、ちょっとした悪戯のつもりだったんだよね。」

「もう・・・クリス殿下は、いつもそうやって・・・」

「ああ、ごめんごめん。怒ったアリスも可愛いけどさ、機嫌直してこっち向いてよ。ね?」

「次に私を試すようなことをしたら、お兄様に言いつけて、しばらく口をききませんわ。」

「ええっ、それは困る!もうしない、絶対、しないから!!」

クリス殿下が、両手を上げ、『降参』のポーズをした。


しかし、もう一つ疑問が残る。

結婚・・・と仰っていたけれど、クリス殿下は成人に達する年齢ではないのでは?

「あの、もうひとつのことですが・・・」

「結婚のこと?・・・ああ、そうか。年齢のことだね。僕は第一王子だと言ったね。」

私は黙って頷く。

「僕はアリスや第一王子の一つ上、本来なら今年学園を卒業する年齢。だからね、年齢のことに関しては心配しなくていいんだよ、アリス。」


「えっ・・・私より年上だったのですか?」

「そうだよ。1年までは離れていないけど、生まれ月の関係でね。学年は一つ上。」

「そうだったのですね・・・。」

「表向きは第一王子の一つ下ということになっているから・・・結婚式をあげるのは随分先になってしまうことを許してほしい。そして、社交界でアリスがイシュタル姓を名乗れないことも。」

「そんな・・・私は大丈夫です。クリス殿下のお気遣いだけで充分です。」


「・・・アリス、その『殿下』っていうのも、そろそろナシだよ。卒業したらもう殿下じゃないからね。だから、クリスと呼ぶこと。慣れておかないといけないから、今からそう呼びなさい。」

「そ、そんな急に言われましても!」

「はい、練習。僕を呼んでみて?」

「・・・・・・ク、クリス・・・様。」

クリス様が、くすっと笑った。


「仕方ないなあ、今はそれで我慢しようかな。それよりアリス?」

「なんでございましょう。」

「アリスは共通科目は大丈夫だと思うけど、専攻学科の試験は大丈夫なのかな?」

「それは・・・なんとも・・・。」


「それじゃあ、王都に戻ったら集中的に勉強しようね。その前に!明日作るスコーンは、僕が一番最初に食べるから・・・いいね?」

「は、はい・・・」


クリス様のアルカイックスマイルは、やっぱり何度見ても恐ろしい。

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