表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/80

55 追及

「僕が今話せることはこのくらいかな。まだ話せないこともあるけど、それはまたおいおいね。」

それは私も同じことだ。

私が何故、聖女様を殺めないように避けているかなんて、言えない。

「クリス殿下の御心のままに。私はその時をお待ちしております。」


「アリスは、少し聞き分けが良すぎない?でも、そうしてくれると有難いよ。国が絡むことだし、不確定要素もあるからね。」

「承知しております。私に何かできることがありましたら、言ってください。」

「ほら、また~。じゃあ、僕のことはあらかた話したから、次はアリスのことを聞かせてもらおうかな。」

クリス殿下が、悪戯っぽい笑みを浮かべた。

・・・いやな予感がする。


「アリス、学園に入学してからずいぶん変わったじゃない。それはどうして?」

やはり、それを聞かれるのか。

ここで、『あやめ』がカミサマに導かれ、『アイリス』の体に入り込んだなどと言おうものなら、頭がおかしくなったと思われるに決まっている。

クリス殿下には、嘘をつきたくないけれど、今はまだ真実を話すわけにはいかない。

いつかは聞かれることだと思っていたので、事前に準備していた言い訳を話す。


「笑わないで聞いていただけますか?」

「もちろん。やっぱり、なにかきっかけがあったんだね。」

「実は、入学試験を終えた頃、体調を崩し、高熱で一週間寝込んだことがあったのです。その時に嫌な夢を見まして・・・。」

「嫌な夢?それってどんなもの?」

「今となっては恥ずかしい話ですが、エドウィン殿下に近づく女性に嫌がらせをしていたことは、クリス殿下もご存知ですね?」

クリス殿下は黙って頷く。

「あまりにも酷い振る舞いが過ぎて、私は処刑されたのです。断頭台にたち、自分の首が落とされる夢です。目を覚ました私は、とても怖くなりました。あのままの私だったらそうなるぞ、とカミサ・・・、いえ、女神様の忠告だと思いました。浅ましい話ですが、自分の命が惜しくなったのです。エドウィン殿下と共にいるからダメなのだと、ならば離れようと、そう思ったのです。」


「そんな夢を・・・。それは怖かっただろうね。」

「距離を置くようになって、経営学科を専攻して、私の世界はとても狭いことを知りました。以前の私は、エドウィン殿下が全てだったのです。久しぶりにお兄様にお会いして、それからクリス殿下にお会いして、今まで見てこなかったものを見るようになって・・・。今はこの決断をして良かったと心から思います。」


「アリス・・・そう言ってもらえると嬉しいよ。じゃあもう一つ教えて。君はいつも手袋をしているよね。領地以外にいるときにはずっと。それはどうして?」

「それは・・・」

王妃様には、『日焼け防止』ということにしていた。

私に興味のない王妃様だから、通用した言い訳だ。

ファッションの一部とか、ただ好きだからとかでは、クリス殿下にはきっと通用しない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ