表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/80

33 二回目の夏

「アイリス先輩は、長期休暇はなにをしてるの?」

いつものように図書室で読書をしていると、隣にクリスティン殿下が座った。

クリスティン殿下は、あれからちょくちょくやってきては、こうして私に話しかけてくる。


「昨年の長期休暇は、課題のために領地に帰っておりました。」

「あ~、あれね・・・。なんかさー、面倒くさそうだよね~。だるいなあ。」

クリスティン殿下は、私と同じ経営学科を専攻されたらしい。


「それで、聖女のお披露目には出なかったってわけね。なるほどね~。で、今年は?」

「そうですね・・・まだ決めておりませんが、また領地に帰ることになると思います。」

「アイリス先輩にはお兄さんがいるんだっけ?」

「ええ。父の代わりに領地の管理をしております。」


クリスティン殿下は、なにを探っているのだろうか。

調べればすぐにわかることを、慎重に答えていく。


「アイリス先輩、先日のことなんだけどね。なるべく早めにお願いね。」

「・・・かしこまりました。少しお時間をいただけますか。」

「僕はいつまでも待ってられるけどね~。アイリス先輩のためにも早い方がいいと思うよ。父上が正式に後継者を指名するまでにはね。」

「・・・それはいつ頃でしょうか。」

「僕の予想だと、最終学年になる年かな。こっちもいろいろと根回しがあるからね。今年中だと嬉しいな。」

「今年のうちに、ですね。かしこまりました。」


「ねぇ、アイリス先輩、もう一つお願いがあるんだけど・・・」

「なんでございましょう。」

「あのさ・・・試験勉強、付き合ってくれない?もうすぐ中間試験じゃない。全然勉強してなくて、ちょっとヤバイんだよね。」

「え・・・ふ、ふふっ。」

予想していなかった言葉に、思わず笑ってしまった。

そういえば、初めて学生らしい会話をしたような気がする。


「ああ、笑わなくてもいいじゃない!ひどいなあ。」

「大変失礼いたしました。私でわかることなら・・・ふふふっ。」

不貞腐れてそっぽを向いたクリスティン殿下を、可愛らしいと思ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ