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【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


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30/80

30 甘言

「あははっ。アイリス先輩、警戒してるね~。心配しなくても取って食いやしないよ。僕はね、これでもアイリス先輩のこと気に入っているんだよ?」

「殿下、お戯れはおやめください。」

「僕はいつでも本気だよ。僕に気に入られちゃった哀れなアイリス先輩に、一つとっておきの情報を教えてあげるよ。お近づきの印に。」

「情報・・・ですか?」

「そう。アイリス先輩もわかってるようだから言うけど、兄上の想い人はあの聖女。どうにかして聖女を正妃に迎えたいみたいだね。」

そんなわかりきったこと、情報でもなんでもない。


「でね、アイリス先輩のことは側妃にするんだって。養女の件がなかなか進まないのもそのためだね。」

「・・・な・・・」

クリスティン殿下は、なにを、どこまで知っているんだ。

婚約者を入れ替えないのは、身分が問題ではなかったということ?


「ねぇ、アイリス先輩、側妃なんて嫌だよね。」

そんなの、嫌に決まっている。

王室に取り込まれたら、領地に帰ることもできないし、自由を奪われてしまう。


なにも言えなくなった私を見て、クリスティン殿下がニヤッと笑う。

「一つ解決法があるよ。兄上なんてやめてさ、僕と結婚しない?」

「・・・なに・・・を・・・。殿下、お戯れがすぎます!」


「そう?いい提案だと思うんだけどな~。僕はね、後継者になんてなりたくないんだよ。」

「え?」

「一部のバカ貴族がさ、母上を煽るもんだから巻き込まれてるだけなの。まったく親のせいで困っちゃうよね。アイリス先輩だってそうでしょう?」

「そ、それは・・・。」


「ねぇ、アイリス先輩、僕には夢があるんだよ。」

クリスティン殿下が、遠くを見ながら話し続ける。

「夢、ですか?」

「うん。いろんな国を見てみたいっていう夢。まあ、こんな家に産まれちゃったからさ、自分の身分を考えると外交官がいいかなって。ほら、将来は王弟になるわけだし、交渉もしやすくなるでしょう?」

「・・・それは素敵な夢でございますね。」


クリスティン殿下は、この国の外に目を向けられているのか。

それは・・・権力争いの先を見ている、まるで、為政者の姿ではないだろうか。


「外交官になるには、条件があるんだけど、知ってる?」

「条件、ですか?」

「そう、条件。外交官になるには既婚者じゃないとだめなんだよ。」

そんな条件があるとは知らなかった。


「それは・・・知りませんでした。不勉強で申し訳ございません。」

「知らない人がほとんだから気にしないで。でね、僕はいずれ王弟という立場になるわけだし、そこらの貴族の女性じゃダメなわけ。その点、アイリス先輩はさ、王妃教育もちょっとは受けてるし、条件ピッタリなんだよね。」


確かに・・・サボってはいたけど、少しだけなら知識はあるし、王妃様のマナー教育は受けていたから、恥ずかしくない程度のマナーのはず。


「アイリス先輩もさ、こんな狭い国を飛び出して、いろんな世界を見たくない?僕となら楽しいと思うよ?」


クリスティン殿下のその言葉に、心を動かされる私がいた。

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