28 学園生活2年目
私の提案に乗った父親は、精力的に動いているようだが、吉報はまだ届かない。
時間だけが過ぎていき、私は2年生へと進級した。
進級試験の結果は、25位。
お兄様の言いつけ通りにはできなかったが、まあまあの成績ではないだろうか。
私はAクラスのままで、殿下とセレーネ様もSクラスのままである。
今年も会うことがなさそうで、ホッとしている。
お兄様にはこまめに手紙を書いている。
聖女様の養女の提案の件は、お兄様の意に反することでもあったので手紙でお詫びをした。
「仕方のない妹だ。」と返事が来た。
きっと、苦笑いしながら書かれたんだろうな、と微笑ましくなるようなお手紙だった。
殿下とセレーネ様の仲睦まじい姿を見ても、体が動かなくなることはなくなった。
それでも、まだ心臓の痛みは消えてくれない。
まだまだ、手袋は必要なようだ。
1年たっても、驚くほど状況は変わらない。
皆、私を遠巻きに見るだけで、話しかけてくることもない。
身分の壁もあるから、仕方のないことではある。
この環境にもすっかり慣れたため、もうなんとも思わないが、困ったことが一つだけある。
それは、情報が入ってこない、ということ。
学園の授業を真面目に受け、お昼時間と放課後には図書室にいるため、知識は増えていく。
しかし、生きている情報だけは書物では得られない。
それだけで、他の人より、一歩も二歩も後れを取っていると感じる。
いつものように一人で登校する。
殿下とセレーネ様の姿を見なくていいように、少し早めに。
今日は、私が2年生へと進級する日、そして入学式。
真新しい制服を着た人たちも登校してくる。
ふと目をやると、王家の馬車が止まっていた。
いつもとは違う馬車だ・・・あれは・・・。
その馬車から降りてきたのは・・・第二王子殿下であった。




