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【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


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27/80

27 策略

それから、大きな出来事も起きず、表面上は何事もなかったかのように時間は過ぎて行った。

殿下は相変わらず、セレーナ様と一緒に行動なさっている。

学園では、殿下の評判は二分されている。


ノワール侯爵家に良い感情を持っていない人は、肯定的な評判だ。

セレーナ様を害する者から身を挺して守っている・・・害する者とは、きっと私のことだろう。

もう一方は、婚約者がありながら、という否定的な評判。

まともな貴族なら、そう思うはず。


私が自由を手にするために、なにをすべきか考える。

父親は、次期国王に娘を嫁がせ、強力な権力を手に入れたい。

母親は、次期国王の正妃の母として、社交界に君臨したい。

殿下は、愛する人と結婚したいが、お父様の後ろ盾が必要。

聖女様でありながら、平民という身分もネックになるのかしら。


身分・・・そうか、すべてを解決する方法がある。


今日は、珍しく父親がタウンハウスにいる日。

この機会を逃す手はない。


「お父様、お話があるのですが。」

「なんだ、アイリス。」

「お父様、殿下との婚約を解消してほしいのです。」

「・・・なにを言うかと思えば、そんなことを。だめだ、認めん。」

「お父様も、もうご存じでしょう?殿下と聖女様のお話は。」


父親が鬼の形相で私を睨む。

私は宝石をギュッと握りしめ、父親に相対する。

「一つ、方法があります。」

「方法だと?」

「はい。殿下と聖女様が結ばれるためには、聖女様の身分がネックになるものと。」

「・・・それがどうした。」

「ならば、聖女様をノワール家の養女とすればよろしいのでは?そうなれば、殿下も愛する人と結ばれ、お父様、お母様の悲願も叶うのではないでしょうか。」


「・・・・・・それは・・・お前はそれでいいのか、アイリス。」

よし、乗った。

「私は、学園さえ卒業させていただければ、それでいいのです。」

「婚約破棄された令嬢となれば、次の嫁ぎ先は厳しいぞ。」

「学園を卒業したら、除籍でもなんでもしていただいて構いません。平民であれば、そんな必要もありませんでしょう?」

「それは、確かにそうだが・・・お前が平民でやっていけるわけないだろう?」

「卒業まで、あと2年ございます。2年もあれば市井の暮らしの準備をするのは充分かと。」


「しかし・・・」

かなり渋っているようだ。

『正妃の親』という権力欲しさに実の娘を追い出した、と言われるのが嫌なんだろう。

しかし、その権力を使えば、そんな陰口なんてどうとでもなるはず。


「お父様、仮に私が正妃となり、聖女様が側妃となった場合、どういう事態になるかは明らかです。ここで足踏みしていると、他家に後れをとりますよ。そうなってからでは遅いのです。それに・・・同じ家から正妃と側妃が出てしまったら、さすがにやりすぎですから避けたほうがよろしいかと。」


「それもそうだな。アイリス、お前の申し出を受けよう。本当にそれでいいのだな。」

「はい。私も努力はしましたが、聖女様のご威光には敵うはずもありません。申し訳ございませんでした。」


私が考えていることなど、他家ならすでに考えて動いているはず。

間に合ってくれることを祈るしかない。



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