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【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


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21/80

21 特別授業

翌日、お兄様の執務室に呼ばれる。

「リズ、レポートを読ませてもらった。よくできていたよ・・・でも80点だな。」

「えっ・・・なにか間違ったことでも書いてましたか?」

「違う、その逆だ。出来すぎなんだよ。」

出来すぎで点数が低いってどういうこと?

「これから王都に帰るリズのために、私が特別講師をしてやろう。まずは、レポートを返すよ。」

返されたレポートを見ると、要所要所に赤いペンで修正されていた箇所があった。


「その課題についてだが、どういう目的があると思う?」

「目的、ですか?領地を運営するにあたって、必要となる能力を養うためではないのですか?」

「それもあるが・・・一番の目的は、主要な貴族のパワーバランスを調査するためだ。」

「えっ・・・?」

「経営学科を専攻する者は、たいてい商人か後継者。当然真面目に取り組むし、その分、レポートにはかなりの信憑性が出る。リズのレポートのようにね。」

「ということは・・・逆に言えば弱みを握られることに繋がるのですね。」

「そういうことだ。いち貴族に力を持たせては危険だからね。提出されたレポートはすべて王室のしかるべき部署で検閲されるんだよ。」


知らなかった・・・。

まさか、学園がそういう場になっていたとは・・・。


「だから、中央に知られて困るところは、少し手を入れさせてもらったよ。ごめんね。」

「そんな目的があったとは気付かず・・・申し訳ありませんでした、お兄様。」

「気付く者はほとんどいない。それより、一番先に私に見せてくれてありがとう。感謝するよ。」

お兄様が優しく微笑んだ。


「リズ、経営学科を専攻して、わかったことがあるね?」

「・・・はい。この王国が一枚岩ではないということですね。」

「そのとおり。さすがは私の妹だ。」

お兄様に褒められると、嬉しくなる。


「第一王子の後ろ盾には我がノワール家がいる。第二王子の後ろ盾はどこの家かわかるかい?」

「いえ、そこまでは・・・」

「リズもまだまだ勉強不足だね。側妃の出自は、東のイシュタル家なんだよ。」

「それは・・・次期後継者の座を巡って、侯爵家が対立する、ということですか?」

「そう。南のサリオン家と西のウィンダム家は、今のところ沈黙を貫いているが・・・情勢次第ではどちらに転ぶかわからないね。」


聖女様を殺めないようにと、そればかり考えていた私だった。

その裏側では、貴族を巻き込んだ後継者争いが繰り広げられていたなんて、思いもしなかった。

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