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【完結】もしも聖女を死なせたら ~聖女を殺した私の未来~  作者: カイ


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13 アクオス学園

学園生活が本格的に始まった。

この学園は3年制。

18歳になる年に卒業し、同時に成人となる。

卒業パーティーがそのまま、成人のデビュタントの会場となる。

成人を迎えると、たいていの貴族の女性は結婚をする。


この王国では、貴族である女性が職を得ることは珍しい。

中には、騎士や文官を目指す人もいるが、ほんの一握りである。


アイリスは婚約破棄を恐れて、聖女様を亡き者にしたが、私はそんな気はもちろんない。

未来の私の運命がかかっているからだ。

すでに、兄が継ぐことが決まっているノワール家は、私がいなくても安泰だ。

私が未来の王妃にならないことで、権力が弱まったとしても、潰れることはない。

潰れるのは、父親と母親のメンツだけだ。

そんなもの、私にとってはどうでもいい。


この学園では、一般の授業の他に専攻の授業がある。

淑女学科、経営学科、騎士学科、マイナーなところでは植物学科などがある。

貴族の女性は、淑女学科を専攻し、夫となる人を支えるための知識を学ぶ人が多い。

花嫁修業のようなものだ。


私は、学園を卒業した後は、市井に降りてどこかで働くことを考えている。

もともと、日本では平民のような暮らしをしていたし、ある程度自分でなんとかできる。

カミサマだって、家出をしてもいいし、自由にしていいって言っていた。

なにも貴族にこだわることはない。


では、何故ここにとどまっているのか。

一番は、学生生活を最後まで送って、卒業式を経験したいからだ。

そして、この学園を卒業したという事実には箔がつく。

卒業するとしないとでは、職を得るときにかなりの差がつく。

特待生になれるような優秀な成績ではないため、卒業するまでは貴族でいる必要があるのだ。


というわけで、花嫁修業をする必要のない私は、経営学科を専攻した。

ちなみに、エドウィン殿下は騎士学科、聖女様・・・セレーネさんは淑女学科を専攻されたようだった。

二人と鉢合わせになる機会は少ないようで、正直ホッとしている。


学園の勉強に関しては、日本でいうところの中学生レベルだろうか。

アイリスの成績から、どれだけレベルが高いのかと戦々恐々としていたが、教科書の内容を見て拍子抜けしてしまった。

これなら、Aクラスでも充分ついていける。

カミサマは、きっとこのために私のこれまでの知識や経験を残してくれたに違いない。


学年が上がる際、進級試験があり、成績順でクラスの入れ替えがあるらしいが、Sクラスにはならないように気を付けなければ、と思っている。


過去のアイリスの所業もあって、Aクラスで友人になってくれそうな人はいない。

みな、遠巻きに私のことをヒソヒソと噂している。

どうせなら、直接言ってくれればいいのに・・・。

私は常に一人だ。


そして、今日もギュッと宝石を握り、無表情を装う。


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