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墓標のラビリンス 天使ヵ悪魔ヵそれとも魔女ヵ  作者: 楽田佳
【エピローグ】

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50/50

第50話 あなたに愛を

これで終わりとなります。ありがとうございました。

良ければブクマや評価、お願いします。

またのお越しを。では

 勇者のいた時代。魔王を討伐した彼に待っていたのは、悲劇。

 帰ってみたら結婚を約束した女が他の男とできており、絶望のあまり毒を飲んで死のうとした。


 しかし超人的な肉体を持つ彼は、どんな毒を飲んでも死ぬことができず、こう思った。

 こんなことになるなら、良い気分のまま死なせて欲しかったと。


 自分の胸を刃物で貫いたなら、手っ取り早くも死ねたろう。


 しかし、あんな女の為に自分がここまでやる必要があるのかと踏み止まり、結局その後は憂さを晴らすかのように女遊びに興じまくって、老衰で死ぬまで長生きして、彼の末期の言葉、吐いた恨み言を聞き届ける形で、彼に力を貸していた天使達は次の宿主を決めた。


 自分達の力が毒として働き、長くは生きられない子に。

 結果それが裏目に出たりもしたが、彼らの使命も無事果たされて、今。


「今日は勇気を貰いに来たんだ。姉さんは笑うだろうけど、考えてたら寝るのにも苦労して、選ぶのも大変だった。ほんと馬鹿だよな、俺」


 大きな町を見下ろせる丘の上。

 そこに立てられた立派な墓に花を供える青年がいた。

 その話を知る者の一人であり、立ち上がって、その場をあとにする。


 これから久しぶりに友人達と会う予定だ。

 自分にそんなものができるとは、思ってもみなかった。


 早い内に両親を失い、ひねた性格に育ってしまい、残された唯一の肉親である姉を失ってからは、余計にひねて、誰も寄せつけなくなり、一人で生きていくつもりだったというのに。


 胸ポケットから取り出した花の付いた洒落た小箱を見て、しまいなおす。


 もうすぐ友人の一人が、ただの友人ではなくなるかもしれない。

 受け入れて貰えるか。心は込めたが。

 いつからこんな感情を抱くようになったかは、わからない。気付けばというやつだ。


 列車に乗って、長い旅が始まる。途中で寄った首都で二人の友人と合流。


「よう、ゴル。半年ぶりかぁ。久しぶりだな☆」

「会うたび思うが、おまえほんと別人になったな」

「それなのよ。ほんとどうしてこうなったって、いつも思うんだけど」

「いやいや、オレもこっちの世界に馴染みまくったってことだろ。いつまでも獣やってちゃ女が寄りつかないかんな」


「クソたらしになって……」

「ビーティが、オレをフリまくるからだろう!」

「ならオオカミに戻れ。ほら、言ってみなさい。おれ、わからない」

「……、オレ、ワカラナイ。オレ、ウルフ。ニンゲンのセカイ、ワカラナイ」


 揃って吹きだし、大きな笑い声を上げながら近況なんかを話しつつ、駅へ引き返して三人でニャムテーへ向かい、着く。


 前はここに誰かの張り紙があったが、今はもうない。

 ウィルが力の差を見せつけ大元を黙らせた。


 別便で来る予定で、ホテルに滞在し、到着を待って合流。馬車で次は隣町へ。


「小さい頃から知る私はひとしおの思いだね。ララも喜んでいるだろう。成功を祈っているよ」

「人のこと言う前に自分のこと考えろよ。お前の歳で結婚してない奴なんて珍しいだろ」


「そうだね。昔、ずっと一人だったら、私が大人になったら結婚してあげると言われた言葉を、まだ引きずっているのかもしれない。君が二人の女神から微笑みとキスを貰えたなら、私も考えよう」


「一人はあいつとして、もう一人は誰だよ」

「ゴル。お前わかんねぇかぁ。オレでもわかったぜ☆」

「勝利の女神でしょ。幸運を祈ってるわ。私の頑張り無駄にしないでよ」


 その隣町は入ってもどこにも立ち寄らず、真っすぐ通過して、目的地へ着く。

 馬車から降りると、ゴルは胸に手を置いた。

 緊張から痛みを訴えており、深呼吸を挟んで、歩き出す。


 何度か来たことはあるが、のどかで自然に溢れ、何度見ても良い町に思う。

 しかし今は、そんな風景を楽しんでいる余裕もない。

 進むほどに神経がすり減っていくようで、自分はこんなに緊張をする人間だったかと、自分自身驚くほどである。


 教会が見えた。横の孤児院もだ。おーい、と大きな声が飛んでくる。

 外に出ていたか、心の準備をしきる前に駆けてくる。

 

 傍まで来ると、久しぶりなこともあって皆と話しまくって、中々言う機会が来ないが、ついに訪れ前に立つ。


「その、話があるんだ」


 大きな垂れ目にこちらを映し、何だろうと小首を傾げる彼女に、胸ポケットから出した箱を見せ、開けた。


 白銀色の指輪が光る。


 驚いた表情をされ、そこから何を言ったかは、よく覚えていない。全部頭から飛んだ。

 真っ白になっており、かっこよくは言えなかったように思う。

 だからか、泣かれた。まずった、そう思った次の瞬間には、どこからか笑い掛けられ、勝負に勝ったのだから、世の中何が起こるかわからない。


 向けられる満面の笑みが、最高に女神だと思った。

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