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墓標のラビリンス 天使ヵ悪魔ヵそれとも魔女ヵ  作者: 楽田佳
☆最後のラビリンス編☆

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第48話 ゴルとララ。待ち受ける邪神

 ちょっといい、とレトリが割って入る。真剣な顔付きだ。


「これ聞くの忘れてて、大事なことなんだけど。この先に待ってるのは、みんなの知ってる子かもしれなくて。戦う覚悟はある?」

「どういう意味なのだ?」


 お前なぁ、とゴルの口から溜息もれた。


「ほんとにそれ重要なことだろ。俺もあいつに聞いてなんとなくは理解してたから、人のことは言えないが」

「ゴルくん、ほんとにごめん! 今思い出して」

「俺に謝んな。まあでも俺から話した方がわかりやすいか」


 彼の話したことは、子都の子達の心を大きく揺さぶった。

 死んだ仲間達は、ラビリンスの悪魔に魂を連れ去られており、敵として前に立ち塞がってくるかもしれない。と、わかりやすい言葉を使って言った。


「ただな、俺達の役目はそんな哀れな魂を解放してやることで、闇の中から連れ帰り、天へと昇らせてやることだ。相手が誰であれ、知り合いなら尚のこと、そうして救ってやらなきゃならない。何を見ても怖気づくな、武器をとって戦ってくれ。自分の命を守る為にも」


 ぽつり、ぽつりとではあるが、小さく返事が返ってきて、彼は身を翻す。


「いくぞ、俺達は勝つ。進め!」


 活を入れるように言って、先陣切って歩き、皆を先導していく。

 闇が急に晴れ、大部屋が目に入った瞬間、力を感じた。一斉に光を上げて変身する。


 しかし誰も、そこから動けずにいた。


 中には真っ黒な姿に変わった大勢の子供達がおり、玩具や遊具で遊び、駆け回ったりもしていたが、一人が足を止め、こちらを見つめて光を上げると、向こうも一斉に変身しだす。


「嘘だろ。ほんとにそんなことって――――」


 誰かが声を震わせて言った。


「ヴェイグ……」

「あいつ、絶対コンラットだ。あんなふざけた格好のデブ、見間違うかよ。ピクシーの羽なんか、背中につけてんなって……」


 見知った相手を見つけ、名を呼ぶ子達もおり、先頭の彼の顔にも激しい怒りが浮く。

 脚の駆動音が鳴って、三人は止めようとしたが、間に合わず、一人突っ込んでいった。


「ちょっと、バカ!」

「ゴル!」

「ゴルくん、待って!」


 上がった三人の声は耳に届いておらず、レーザー撃ちまくって、前に立つ障害物共を排除していき、途中から光の剣に切り替えて、斬って斬って、斬りまくってそのまま敵陣深くまで切り込んでいく。――足を止めた。


「姉さん」


 大斧構えた女の子が前におり、躍りかかってくる。

 脚部パージ、の言葉で両足の機械だけ除け、バックステップ踏んで、重く鋭い一撃を躱す。


 直後に周りにいた女の子達に連携攻撃を仕掛けられ、軽くいなして、一人ずつ斬っていった。


「悪いな。ちょっと二人にさせてくれ。あとで花は添えてやるから」


 昔、と言っても数年前だが。もっと彼女達はやれるように思っていたが、手応えは感じられず。

 魂を囚われ弱くなったか、あるいは自分が楽に倒せるくらい強くなってしまったのか。


 それからも続いた姉の猛攻も、容易く捌くことができた。

 もう言葉は届かないと知りつつも、傍により、声をかけるのを止められない。


 姉さん、見てくれよと。

 俺、両足動かせるようになったんだよと。

 凄いだろ、と。


 斧を振り回して豪快に風を薙ぎ、こちらを見る姿が愛おしくて堪らない。

 自然と涙がもれ、一発わざと盾で受け、吹っ飛ぶ。


「弱くなったな。ほんとに弱くなったよ、姉さんは。俺を殺せもしないのか」


 地面についた膝を持ち上げ、立って、駆けてきた姉を斬った。

 すれ違うように横を抜けていき、倒れ込む姿を身の向きを変えて見届ける。


「帰ろうぜ。ウィルも待ってる」


 溶け、消えていく最中に声がした気がした。

 私が弱くなったんじゃないよ。ゴルくんが強くなったんだよと。


 慟哭を上げ、しばしの間、呆然と突っ立っていると、後ろからぼそぼそ言う声が聞こえ、振り返る。

 三人がおり、びくっとするように身を震わせ、ただ見てくる。


「いくか。ふざけた真似をしてくれた邪神をぶっ殺しに。これは魂の解放じゃない。ただの復讐だがな」


 血の涙でも流すかのような、壮絶な顔を今の彼はしており、三人はこくこく頷く。


 町長の絶え間ない指示が飛び、古都の子達も必死に戦っている様子で、どこか悲壮感もあるが、結束は強く、崩れる気配もなく、この場は任せ、四人は先へ向かう。


 扉の形に切り取られた場所があり、その奥には摩訶不思議な空間が広がる。

 踏み入れれば、星々浮く夜空の上に足を置いた感じで、周りには様々な動植物、モンスター、人まで浮いて、辺りを漂う。


「薄気味悪い場所つくりやがって。ここで世界の創造でもしてたか」

「その、当たらずとも遠からず、みたいだよ。ゴルくん、平気?」

「……、気を使わせて悪いな。普通に話してくれていい」


「はぁ、普段ならからかう言葉の一つでも出るとこだけど、今は流石に無理。ローズル、ぶっ倒しましょう」

「ああ」

「オレも力になる。か、勝とう」

「ああ、勝つぞ」


 重たい空気が流れ、普段の調子ではいけそうもないが、それでも足は進め続け、段々と周りに浮く物の量が増えていき、着く。


 大きな神殿が前に浮いており、扉がある。前に立つと、開いた。

 中に入ると同時、上から光が降って、降りてくる。


 ――遊ぼうか。もう飽きちゃってるけど、遊ぼうか。


 内に響いたのは、子供の声で、見た目も子供だ。

 ただ身を瘴気に包み、ただ前にいるだけで畏怖し、傅きたくなるような圧迫感も出す。


 光の剣が伸び、抜かれた。

 直後に駆け出し、ビーティが慌てて糸を振ってナイトを彼の横につけさせる。


「やっぱりこうなるか! あんた達は左右に別れて挟み込みなさい!」


 代わりに二人に指示も出し、四人でローズルを囲い込む。


 撃ちまくられたレーザーが全弾すり抜け、後ろの壁に穴をあけた。そのあと放たれた雷光の一突きも抜けて空振りし、粉みじんにするように振られまくった光の剣も全て抜け、ただ空気を裂いて終わる。


 口からもれた笑い声と、嘲笑うかのような言葉が四人の内に響く。


 ――フフ、何をしたいのかな。キミ達の使う力は、ボクが与えたものだよ。


「ゴルくん後ろにとんで!」


 今から何かするように、ローズルが片腕持ち上げており、彼女の言葉に彼が反応して従うと、集中なしのノータイムで天使の炎が放たれる。


 しかしローズルが、蝋燭の火でも吹き消すようにふっと息を吹きかけると、発火前の光の状態で消えた。


 ――ボクは神。天使は神の使いに過ぎない。無駄。だからもうバイバイ。


 つまんなかったよ、と最後に付け加えられて、でこぴんでもするように前に構えた指をローズルが弾くと、全員吹っ飛ぶ。


 戦車にでも跳ね飛ばされたような衝撃に襲われており、意識を手放さなかったのはレトリだけだ。

 立つが、よろめきもし、


 ――へぇ、少し驚いたよ。キミあいつみたく神に近い肉を持ってるんだ。面白くなってきた。力を取り戻したボクにどこまで通用するか、見てあげる。


 立て続けに三発放たれ、壁に深くめり込んで流石に意識を落とすが、とどめの一撃として放たれた最後の一発だけは、交代した彼女が掻き消した。


「いったいわねぇ……。久しぶりだっていうのに、随分な挨拶してくれるじゃない。ローズル」


 口から血を垂らしながらも不敵な笑みを作り、壁から抜け出て、代わりに相対したのは、クリフォトだ。同じ技を返す。さらに返され、相殺が起きた。


 ――キミこそ、急にやってくるなんて。どうしてそんなところにいるんだい。わからないや。


「私の心を壊してくれたお礼をしようと思って。くたばれ、死ね」


 放ち、放たれした衝撃波が幾度もぶつかり合う。しかし決着はつかず、やがては止む。


 ――アハハ、楽しかったね。次は何して遊ぶ?


「一人で遊んでなさいよ。ずっと一人ぼっちのローズル。誰にも相手にされず、永遠にここで一人、孤独に。ふっ、あはは、アッハハハハハハ」


 嘲笑が響き渡ると同時、今までとは桁違いの威力の衝撃波が放たれ、身をばらばらに引き裂くような真空刃まで飛ぶが、同じ技で無効化され、また神経を逆撫でするような言葉が口にされる。


「無駄。意味ないから。もしかして図星突かれて怒っちゃったぁ? 大体あなたが私をこんな風に壊したんじゃない。あなたも私くらい壊れてみたら」


 孤独を奏でる、夜の帳と唱えられ、次の瞬間ローズルに異変が生じる。

 イヤだ、コワイと喚き出す。

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