表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
墓標のラビリンス 天使ヵ悪魔ヵそれとも魔女ヵ  作者: 楽田佳
⭐︎六つ目のラビリンス編⭐︎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/50

第37話 元の世界へお帰り

 カシムナの方に同症状は出ておらず、前に立つ。


「ではお任せを。いきますよ、ウィッグカール伯! 僕の後ろをしっかりついてきてください!」


 気迫見せ、戻り始めはするが、モンスターの脅威は今外よりも中。

 覆う瘴気が天幕のような働きをし、差し込む光を和らげ、活発に動く。


 雷が地を駆けた。


「雷光の一突き」


 その一発で大きなサソリを砕き割り、すぐに現れた大グモもビーティの騎兵が即座に砕き割る。


「ハン、中に入っちゃえば敵じゃないのよ。分を弁えなさい、下郎」

「すごー。ビーティすごー……」

「お、お前それ、今は連発できんのか……」


「ふふん、言ったでしょ。今は次元が違うって。こんなのもう必殺技でもなんでもなく、ただの並技よ」


「ビーティ、本当にすごく強くなってるんだな。オレも負けてられないな」

「わたしも!」

「あんたはいいでしょ。あんたは」


 変身したレトリの姿に圧倒され、見惚れてしまい、こんなに張り切っているところがある。

 まさに聖女。純潔や高潔を表す白の衣装で身を包み、背からは天使の羽を生やす。


 呼び出したステッキも神々しい輝きを放って、負けたと思った。もっとも自慢なもので。


 自らにこれこそ相応しいと思い、名乗った名は何だ。

 その事実は許容できるものではなく、首を横に向け、ツンとした態度も取ってしまう。


「フン、いくわよ」

「うん。なんか怒ってる?」

「怒ってない」


「レトリ。気にするな。ビーティはくやしがってるんだ。レトリがすごく綺麗だったから」


「うるさい! ズケっと言うな!」

「もやもやも言ったらわかりあえる。なかよしに戻れる」

「こいつは――」

「あはは、あんまりいい言い方じゃないけど、嬉しいかな。わたしもビーティのことすごく綺麗って思ってて、こんな綺麗な髪に生まれてたらなって、羨ましかったから」


「こ、これからもそう思わせてやるわよ! もういいでしょ。私もちょっと意地張ってたわ」

「アホかよ。ここは敵地のど真ん中だぞ。どうだっていいだろうにそんなこと」


「ゴルくんにはわからない」

「そうよ。あんたは一生かかってもわからないんだから黙ってなさい」

「……、ウルフ。俺は正論を言ったと思うんだが」

「いまのはゴルが悪い。あやまっておいたほうがいい」

「なんでだよ。意味がわからねぇ」


 出てくる敵は全てビーティが仕留め、ラビリンスの上に足を乗せる。

 光が上がって、男二人も変身。


「おぉ、二人も結構変わってる!」

「お前ほどじゃないがな」

「いまのオレは、ゴブリンの全部の力を出せる」


 ゴルの方は今までなかったヘッドパーツが増え、ウルフはというと頭の上に付いた面がわかりやすく変化しており、長い角を生やして恐ろしい形相を見せる。

 

「この頭の機械は便利だな。バイザーの部分に敵の数が映し出されてる。入り口の奥、夥しい量だ。今までのラビリンスとは違う感じがあるな」

「一階はどこも同じって感じだったのに。さすがは最難関。気を引き締めないと」


「全部私のナイトでサクっと倒してあげるわよ。いくら群れていようと所詮は雑魚」


 特に気にかけず、一人行ってしまう彼女に三人から待ったが入るが、足を止める様子もなく、仕方なく追いかければ、そいつらも動き出す。


 奥から姿を現わしたのは、大きな甲虫の群れであり、床や壁、全てを覆う黒波となって押し寄せ、皆さっと顔を青くして、後退る。いいや、後ろに駆け出し、外にとび出した。


「キモイキモイキモイ! ムリムリムリィ!」


 入り口の所で波は止まりはしたが、みっちり詰まって塞がれ、中に入れなくなった。全員固まる。


「初っ端から物量攻めでくるか。いやもうそれよりキモ過ぎだろ。俺はコガネムシとか嫌いなんだよ、姉さんは好きだったが」

「コガネムシ? キッチンに出てくるアレに見えるけど」

「やめろ!」

「凄い鳥肌立ったじゃない! あんたのせいよ!」

「見たまま言っただけなのに……、ん?」


「スカラベという虫だ。ゴブリンが教えてくれた。うんこを転がすそうだ」

「なんでうんこを転がすんだよ! 何転がしてんだ!」

「汚らわしすぎ。アレよりヤバイやつじゃない。絶対私の人形を触れさせたくない。SAN値減るわぁ」


「スカラベって、とっても神聖な生き物なんだって」

「何が!? どこらが!?」


「よく見て」

「見れるかぁ! 見たくないわこんなの!」

「黒いけど、真っ黒ってわけじゃないよね。人の魂から変わったモンスターじゃない。この子達はまだ生きてる。なるべく命は奪いたくないよね」


「じゃあどうすんだよ。それに今更って感じもするぞ」

「それはそう。でも、わたしがそうしたいって思ったから」


 今救ってあげる、天使の愛で、とそう呟き、レトリが祈りを捧げるポーズを取ると、光が降る。

 その光に照らされたスカラベの大群は身を小さくしていき、元の姿に戻ってラビリンスの中から出てくる。


「あなた達はこの地を生きる全ての生き物にとって大切な存在。それは神様から与えられたとても大事な使命で、いなくなったら困るもんね。ほらお行き」


 わさぁ、と一斉に出てきたことで、彼女以外はその場から逃げてはいたが。

 見送り、全部いなくなったことで入り口も開く。戻ってきた三人と改めて中へ。


「も、もうあんなのいないでしょうね。いたら私帰るから。絶対帰る」

「気持ちはわかるが無理だろ。もうあんな群れはいなさそうだぞ。でもどいつも群れてはいるな。他のとこみたく一匹一匹いるって感じじゃない」


「ビーティ、もう先にいかないんだな?」

「ぶっ殺すぞお前」

「あはは……、口悪過ぎ」


槍と弩(トラバリ)の縮小版でいくか。全員文句はないな」

「私は後ろね。ないない。どうぞどうぞ。もう張り切る気力も失せたわよ」


 変わったモンスターはもう出てくることはなかったが、ここのモンスターは他と違い、こちらと同じように徒党を組んで行く手を阻む。


「げぎゃぎゃあ!」

「ぎゃあ! ぎゃあ!」

「ぎゃあらぁ!」


 無言で連射されたレーザーで纏めて葬りはしたが、異質さは感じ、歩みも慎重となり、いつもの何倍も時間を掛けて一階を突破。


「ほう、ここはちゃんとあるようだな」

「要らないけど」

「お金稼げないもんね」

「たくさんいるな。楽しそうだ」


 階段を上がった先で目にしたのは、華やかなパーティ会場。

 立食形式のもので、真っ黒な人影達が談笑にでも興じるようにグラス片手に向かい合い、警戒しながら四人は中へ。


 敵意を向けてくる感じはない。が、何か怪物でも潜んでいるような気配をゴルとウルフは機敏に感じ取り、その警戒の色をより強くした。視線を配る。


「警戒を怠るなよ。やばいのがいる」

「ゴル。ゴブリンも気を付けろって言ってる」

「アホかよ。ここは敵地のど真ん中なんだぞーっと」


「俺の言ったこと言って茶化すな! お前も気を張ってろ」

「張ってるわよ。何当たり前のこと言ってんのって、言ってんの」

「ならいい」


「はいはい! こっちから仕掛けて倒していって、炙り出しちゃうっていうのは?」

「……、妙案だな。ついさっき慈悲を見せていた聖女の言葉とも思えんがな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ