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5、曖昧な証言

名木山竜星なぎやまりゅうせいサイド☆


初キスを受けた。

何がといえば四葉に初キスを受けたのだ。

本当に何も出来ず。

ただ茫然と四葉を見るしか無かった。

四葉はあっけらかんと笑みを浮かべていたが心臓がマヒしそうだ。


「...」

「...」


俺は砂糖水にしか感じなかったジュースを飲み終えてからそのまま四葉を見る。

四葉は顔を俺に合わせようとしない。

それだけ怒っているのか?

だとすれば無料だからって無理をし過ぎたな。


「四葉」

「...は、はい」

「無理をし過ぎだぞお前」

「...は、はい」

「...好きでもない相手にキスとかキツかろお前」

「...本当にそう思っています?」


その言葉に俺は「は?」となる。

それから四葉を見る。

四葉は「な、なーんて」と冗談な感じを見せた。

しかしその耳は真っ赤だ。


「...じょ、冗談です。全てが」

「...そ、そうか?」

「そうです。せ、先輩を好きだなんてありえないです。は、はい」

「...ならそれはそれでいかんだろ...」


好きという時に取っておかないと。

俺はそう考えながら四葉を見る。

それを察した様に四葉は早足で去って行く。

それからこっちを見てきた。

何というかあっという間に本屋に着いてしまった。


「...先輩は今日はどういう本を見るんですか?」

「...ああ。俺か...俺は久々にラノベでも見るかな」

「オススメのライトノベルってあるんですか?」

「俺がお勧めするのは...恋愛系かな」

「先輩それ系好きですね」


まあエッセイとかなろう系も読むけどな。

だけど俺が好きなのはラブコメかな。

何故なら平和だからだ。

誰も死んだりしないしな一応。


「先輩の家にもあるんですか?ラノベ」

「あるっちゃあるな。...少なくとも100冊ぐらいは」

「そうなんですね。...そうなんだ...」

「待て。何を考えている」

「...私、先輩の家に行こうかな」

「...は?」

「あ、そういう意味じゃないですからね!!!!?ただライトノベルを貸してほしいです!自らで買うには高いので!!!!!」


早口でまくし立てる四葉。

それから目を回す。

俺は「お、おう」と返事をしながら四葉を見る。


そして四葉は「じゃ、じゃあ面白いライトノベルを探しましょ」と去って行く。

その姿を見ながら歩いていると「あれ?」と声がした。

そんな声音に俺は目線が鋭くなった。


「お前」

「何をしているの?」

「凜花。お前と会うとは思わなかったよ」

「参考書を買いにこの場所に来たんだけどまさか貴方が居るとはね」

「...」


俺は溜息を吐きながら「じゃあな」と言う。

それから踵を返して去ろうとした時。

「待って待って。彼女にそれは無いでしょ」と声がした。

いやあのな。


「すまないがお前をこれから先も彼女とは認識は出来ない」

「え?...それはどういう意味」

「お前は他の男とキスしたんじゃないのか」

「...ああ。成程ね」

「...成程って何だ」

「...色々あるんだよ私にも」


色々って何だよ。

俺は「?」を浮かべる。

俺は数秒考えてから「俺はお前とは付き合えないからお前とは別れる」と言った。

すると「待って」と声がした。


「お前の様な浮ついている奴は将来がない」

「...そうだけど...」

「俺の後輩の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。お前には」

「...後輩?」

「俺の後輩な。...名前は」

「八乙女四葉です」


背後からそう声がした。

それから超絶不愉快そうな顔をした四葉が出て来る。

そして「お話は聞きました」と言葉を発する。


「ただの上辺の言い訳です。もう二度と私の先輩に近付かないで下さい」

「...」

「私達は2人で歩みますから」

「後輩さんもしかして貴方は竜星とキスをしたの?それって私達が先に付き合っている中でって事だよね?泥棒じゃない?」

「...あくまで頬にキスされただけだよ。チークキスというか」

「...」


凜花は「そう」と言いながら目を逸らす。

それから凜花は「どうすればまた付き合える?」と言う。

俺は盛大に溜息を吐いた。

四葉もまさかの言葉に呆れている。


「お前の様な身勝手なアホとはもう話したくない」

「私は貴方には反省してほしいです」

「...」


そして俺達は踵を返してそのままその場を後にする。

それから凜花の視線が無くなるまで歩いた。

そうしてから四葉を見る。

四葉は唇を噛んでいた。


それから何分か経った後にこの様なメッセージが来た。


(私は何もしてない)と。

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