わからないこと
ほんとに辛くて死にたい時は、全てがどうでもよくなる。コメディも音楽も、周りのみんなも意味を持たなくなる。クローゼットに掛けられたロープと死神だけが僕の意味になる。
でも、お気に入りの曲を見つけられたり、鏡の前の自分にちょっぴり自信がついた時なんかは、世界がちょっと軽くなる。ロープは小さく日向ぼっこしたままで、死神は後ろで優しく見守ってくれている。
あの子の涙を見た時は、あの子を世界から守りたいと思うようになる。とにかく包み込んでどうにかしたいと思う。大丈夫だって言って、そのまま一緒に触っていたくなる。
でも、自分の涙を見た時は、世界を終わらせてやりたいと思うようになる。誰も彼も世界から消えて、不完全な宇宙だけが自分の前にある。
満月や夜空の星に感激して、どうにかなってしまいそうな夜もある。
でも、早朝の太陽に顔をしかめて、アスファルトばかり見つめながら重たく歩く日もある。
よくわからないんだ。どうすればいいのか。
ただ、心地のいい「いま」が、手からすり抜けないように掴み続けようと、もがくだけなんだ。
掴み続けたい「いま」とずっと一緒にいれたらいいなって思いながら。
よくわからないんだ。