断たれた補給線
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「そう言った訳で、航空戦力は貴重なのよ」
「そしてその機体が今、静岡空港からこちらに向かって来ている最中と言う事です」
「それで地上を薙ぎ払うのか」
……あのナパーム弾で。
もっともここまで焼け野原になったら、もう変わらんか。
ドリンクアーロンの爆発で、周囲の建物はほぼ吹き飛んでいる。
ここが残っているのは、最初に聞いていたが防衛拠点として造られているからなんだろうな。
ただまだ終わっていない。これからも続々と来るって訳だ。
「因みに武器弾薬も投下してもらう予定よ」
「パラシュートでか? ここを外しらたらどうするんだよ」
「彼らを舐めすぎ。たとえ台風の中でも、ちゃんと1メートル以内の範囲に降下させるわよ」
まあその後でまた飛んでいきそうだが……。
とにかく支援も補充もあるなら大丈夫だな。
そう言いつつも不安が全くぬぐえない。
まだ現れていないんだ。前回と違い、アラルゴスの群れが。
だから休憩という名の待機をしていても、俺の緊張は全くほぐれない。むしろ増すばかりだ。
そんな時、来栖たち全員が立ち上がった。今まで俺たちが来た方向、久能海岸を睨みつけて。
「やられた」
「どういう事だ?」
「CKー2が落とされました。敵は――アラルゴスです」
「それはまた……」
最悪だな。偶然? 多分それは無い。
連中が賢い事なんてもう分かっていたが、完全にこちらの作戦を読み切っている。
もし援護と補給が無ければ、俺たちは間違いなくここまでだ。
少なくとも、今まで聞いた話では高円寺はかなりの猛者。来栖に至っては別格の存在だ。あの3年が喧嘩を避けた程に。
それをここで失うのか? 人類にとって大きな損失だ。
いや、そんな事じゃない。人類なんてこの際どうでも良い。俺自身が、彼女らを失う事に耐えられるかどうかだ。
……無理だな。
言うか、最初に死ぬのは多分俺だぞ。
そしてアレに対処できるのも俺だけだ。
だけどどうする? 下に降りたらさすがに死ぬ。
しかも扉を開けたままになるから、ここも大騒動だ。
もどかしすぎてどうにかなりそうだ。
追い詰められた兵士なんかも、こんな気持ちだったのだろうか?
とにかく銃を握る。今はこれしか出来る事はない……畜生。
「来い! 佐々森勇誠」
いきなりの大声にハッとなり我に帰る。
今なにを弱気になっていたんだ。
声がしたのは下。しかし今は!?
全速で走って屋上から下を見る。
そこには、ビーンの山があった。どうやら何かに群がっているようだ。
だけど、俺にはそれが何なのかすぐに分かった。
「借りるぞ!」
「行けるの?」
「愚問だ」
借りたのは予備武器として壁にかけてあったショットガン4丁。
一般的には使われない弾倉式。これを選んだのは短期決戦になるからだ。
そんなに長期戦になったらどうにもならない。
迷わず3階から飛び降りた。
5点着地なんてやっている余裕はない。ショットガンを連射しながらビーンの山に連射する。
着地と同時に6発目を撃ち切って銃は捨てる。残り3丁。
しかし本当に柔らかいし脆いな。まるで大きな水風船の上に着地した感覚だ。
だけどそれだけに、足に損傷は無い。痛みもない。
すぐに生き残っていたビーンがこちらを向くが、長すぎる手が邪魔して逆に攻撃できない。
遠くの奴は、味方が邪魔でやはり同じ。
そこに両手で撃ちまくり、弾切れと同時に捨てる。
同時に走り出す車。ドライバーは勿論サンダース教官だ。
追ってくるビーンに残りの弾を撃ち込んで、おまけで手りゅう弾も投げる。
爆発音とともに飛び散る白い肉と体液。
これで後ろは大丈夫だ。
前のビーンは武装トラックがバンバン轢いていく。なかなかに頑丈だ。しかしこれもつのかね。
まあいい、とにかく手を動かそう。トラックの荷台にあった自動小銃で前や周囲のビーンを一掃する。
そういや全部回収したはずだったが、またどこかで補給して来たのか。
さすがは教官。名前ネタと運転手だけの人間じゃなかったんだな。
屋上からの支援の攻撃もあり道が開く。
ありがとうみんな。必ず援護の道を開けてくるよ。
あと外さない事は分かっているが、高円寺の対戦車ライフルがこっちに当たったら死ぬね。
「そら行くぞー!」
「ああ、分かっているよ」
行きは多弾頭ロケット弾もナパーム弾もあった。
だけど今回はそうはいかない。
一直線に続く海岸がオレンジ色に光り出す。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
大型のサブマシンガンを撃ちまくる。弾がなっくなったら捨てる。
更に自動小銃、グレネード、ロケットランチャー。積んである火器は何でも使う。
しかし来た時に比べて数は減っているとはいえ、まだまだ派手に出てくるもんだ。
連中はいったいどこから出てくるだって巣なんだけどな。
なんて事は知っているんだよ。
いったいどこから来て、なぜこんな風に現れるのだろう。
分かっている巣の状態から宇宙から来たという説が有力だそうだが、うん、どうでも良いな。
そんな事より、耳に微かに聞こえた羽音。
今更確認する必要は無い。
まだ三保半島を出てから3キロメートル程。
来る途中で戦った場所まではまだ5キロメートルはある。
「教官、来るぞ!」
「全てを君に委ねよう、佐々森勇誠」
アクセルがベタ踏みされ、最高速になる。
これで脅威になるビーンたちは前から出てくる奴だけだ。
そんな中、ビーンたちに紛れていたアラルゴスたちが一斉に姿を現した。
潜んでいたら置いてきぼりにという事もあるが、そもそも、もう潜んでいる必要も無いって事だろう。
連中にとっては、こんなトラックなんて止まっているようなもの。
殆どホバリングしているような動きで平行移動しながら囲んでくる。
完全に、こちらを獲物と定めた動きだ。






