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サ終世界の歩き方  作者: 39カラットルビー
第一章 MMORPG ロストフロンティア・ヴァンガード
9/44

遭遇

翌朝、起床し寝ぼけ眼を擦り大欠伸をするイアと挨拶を交わす


長らく1人暮らしを続けていた自分には

この何気ない当たり前が妙に新鮮で嬉しかった


朝食を済ませ部屋から討伐に必要な物を見繕う


薬草を2人で折半して持ち俺は棍棒を手に宿を出る


「・・・・」


イアの表情はまだ沈んでいる、未だ俺を帰すか悩んでいるのだろうか


「バグを退治したらまた色々採取して稼いで身の回りの物を揃えようか?」


「え?・・・はい・・・」


突然の提案にイアは面食らった様子だ

俺は続ける


「やっぱり服かな、一着しか無いし着替えがあった方が良いよね」


「は、はい、私はパジャマが・・欲しいです」


「パジャマか、確かになぁ寝る時ゴワゴワするしな」


「はい!寝にくいです!」


「じゃあ俺は寝袋買って床で・・」


「だーめ!駄目です!お部屋ではベッド以外で寝ちゃダメです!」


「わかった、わかった。パジャマはどんなのがあるのかな

昨日の装備品屋には無かったし」


腕に纏わりついてくるイアに笑い交じりに言う


「え~?武具屋さんには無いですよ!可愛いものが良いです!」


談笑しながら歩き、町の門へ辿り着く


門を見て一瞬強張ったイアに


「ほら大丈夫だよ、手早く終わらせて買い物に行こう」


「・・・はいッ!」



町と(フィールド)を隔てる境界を踏み越える


眼前にはサァッ・・・と緑色の風景が広がる


この景色の中に住民を襲う猛獣よりも危険な存在が潜んでいる

そう思うと風に揺れる木々ですら酷く不気味に映った


鬱蒼とした森を分け入り、少し開けた場所へと出る


周囲を見回しても特に怪しいモノは見えない


「中々遭遇しないな、狙いをNPCに絞って襲っているのかな?」

丁度いい大きさの岩に腰掛けふぅと息を吐く


「・・・変ですね、近くに反応があるんですが・・」


イアは警戒を解かず周りに意識を巡らせている


釣られ自分ももう一回辺りにぐるりと視線を巡らす


すると




『 ーーーーーーーーー 』



視界の隅の一角だけがぼんやりと・・

蜃気楼のようにゆらゆらと景色が歪んでいる


じっと見つめると

耳鳴り・・・違うモスキート音の様な聴こえるか聴こえない程度の音が

頭に静かに響く


「イア・・・あそこ・・・」


見えない()()を刺激しないよう

小声でイアに呼びかけそっと指差す


「ッ!」

イアが息をのむ


どうやら()()が当たりで間違いないらしい


「アレに打撃は効くの?」

小声で問う


「はい、大輔さんの疑似体(アバター)で繰り出す攻撃なら効果はあります」


「そうか、よし」

立ち上がり背後にぶら下げていた棍棒を握りしめ


ジリジリと距離を詰める


もう少し、もう少し近づいたら一気に駆け寄って

靄の中心部に全力でコイツ(棍棒)を振り下ろす・・


刺激せぬよう摺り足で音を殺しゆっくりと近づく


そろそろだ、これくらいの距離なら・・・

足にグッ!と力を入れ踏み込み、駆け出そうとした矢先


「クゥォァアアアッ!」


左前方の背の高い藪から何者かが飛び出してきた

いや、あの姿には()()()()()()


初日にも遭遇した鼠人間(ワーラット)だ!


(・・・?)


なんだアイツ、目を逸らさず俺を睨み続けているが・・・ 


──まさか初日に遭遇した奴と同じ個体、()()()逃げた残りの一匹か!?


復讐をしに俺を探し回ってたのか


それにしても()りに()ってこのタイミングでか!?


こんな状況でモンスターと遭遇なんてっ、舌打ちしたい気持ちを抑え

(バグ)鼠人間(ワーラット)、両方を視界に収められるよう少し距離をとろうと半歩下がった時


『 ───────── 』


揺蕩っていた靄が凝縮し

捉えきれない素早さで鼠人間を(おお)った


「ギッ!?オアァッ!?」


視えない靄に覆われ困惑が混じった悲鳴を上げ両腕を振り回し抵抗している


あれがバグのNPCを襲う手段なのだろう


だがこれはチャンスだ!今なら鼠もバグも互いを潰し合っている

左手で太ももをパンッ!と叩き、動け!と発破をかける


「ッ!!」


バッと駆け出し棍棒を振り上げ靄と格闘している鼠人間に渾身の力を込め棍棒を振り下ろす


グッシャ!と叩き砕いた嫌な感触、だが確かな手応えだ

続けてもう一撃と棍棒を振り上げようとするも


「抜・・け・・ない!?」


グッと踏ん張っても鼠人間の右肩部に食い込んだ棍棒が微動だにしない


「駄目!!離れて!!」


「えっ!?」

イアの裂くような声に振り返り・・・

浮遊感と共に景色がひっくり返った

ここまでお読みくださった貴方に感謝を



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