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サ終世界の歩き方  作者: 39カラットルビー
第三章 戦略シミュレーションゲームの歩きかた
28/46

公共マナーの守りかた

食事を堪能し腹ごなしに娯楽場と表記されたフロアへ向かう


「娯楽場は屋内と屋外の2種類あるんだな・・どっちにする?」

昇降機のボタンに指をかざし2人へ問う


「はい!はい!はーい!遊ぶって言ったら外っしょ!」

シャルが挙手する


なるほど・・出不精(インドア)の俺なら遊ぶ(イコール)ゲームだからな

外で遊ぶという発想がそもそも無い


「私はどちらでも・・」

イアも控えめにしているが目線が『屋外』のボタンの方へ向いている


外で皆と遊ぶか・・考えてみれば今までなかった体験だな


「おし、じゃあ屋外娯楽場ってのに行ってみるか!」

ボタンを押し、昇降機が肩にもたらす重力に身を任せる


『スッ』と昇降機の仕切りが開くと、()だった

眼前にはレジャーで賑わう人達と、広がる星空の大パノラマ


いや、おかしい。ここは旅館内だぞ・・?

目を凝らすとこのフロア、外壁以外の壁が無く、ぶち抜きになっている

その外壁も全面ガラス張りになっていて空を仰ぐことが出来る


中央に複数ある昇降機が一本の巨大な柱になっており、それ以外四方には柱が無い


(これ一本でフロアを支えているのか)


振り返り昇降機を見上げる、一応天井はあるが遥か遠くだ


原理は分からないが煌々とした明かりが灯っているため

陽が昇っていなくともフロア内は明るく

外に目を向ければ星空が広がっていて実に絶景だ


「これは確かに屋外だな・・」

「ね!すっごぉ~ッ!」

「ふあ~・・・」

3人揃って圧巻されてしまう


「ね!ね!どこいこっか!?」

「ん、どうすっかね」

このフロアは休みに籠りがちな俺でも流石にテンションが上がる


昇降機傍に鎮座するインフォメーションボードと書かれたデカめの案内板を

上からザーッと見ていくと


『スポーツエリア』『アトラクションエリア』『パークエリア』

『ビーチエリア』『ショップエリア』


「ひっろ・・・」

思わず声に出てしまう


どうやら各エリアに区分けされ、

それぞれのエリアに沿ったレジャーが楽しめるらしい


「どれどれ?スポーツエリアは球技を始めとした

様々なスポーツが体験出来ます・・

アトラクションエリアはテーマパークさながらの設備をご用意しております

パークエリアでは豊かな緑の中を散策し、

癒しと適度な運動を、大道芸などの催しも御座います・・・ねぇ」


読み上げ改めて規模に圧倒される


「ここは何でしょう?」

イアが指差したのは各エリアが重ねる場所に『リラクゼーションエリア』と、ある


「ええっと、なになに・・?リラクゼーションエリアでは

日頃の疲れを取って頂くため多様なサービスを提供しております

マッサージ、プール、バーで飲み物の提供も・・」

言い終わるや否や


「プール?」

「プールッ!」

イアとシャルが同時に反応する


「食後で激しいスポーツって気分でもないしプール行ってみるか?」

「はい!」

「うん!」


まぁ・・俺は泳げないんだけどね、足を適当にプールに()けて休憩するか


リラクゼーションエリアは中央付近にある為、大して時間を(よう)さず辿り着いた


「おぉ~・・・」

プールも結構、いやかなり広い


「あ、水着どうすんだろ」

ふと疑問が湧くが


「あっちで貸し出しと着替えが出来るみたいですよ!」

ちょこちょこと周囲を見て回っていたイアが建物を指差す


「お~いいねッ!じゃあ着替えて、そうだなぁ~・・

あッ!あの木で待ち合わせね!」


シャルが指差したのは・・ヤシの木か

見るとプールの周囲を囲うように植樹されている

エリア間の区分けと目隠しの役割を担っているのだろう


「わかった、じゃあ後でな」

「あ~い」

と、解散しようとすると


「は、はい!ダイスさん!・・・あの、私!頑張ります!」


何故かイアが妙に気合を入れている


(そんなに泳ぐのが好きなのか・・?)


「う、うん・・じゃあ・・」

軽く手を上げ水着の貸し出しをして貰いに行く


建物の中に入り

係の人に「どうぞ」と通された陳列棚を見て圧巻された

目が痛くなるほどカラフルな水着がズラリである


(えぇ・・男物の水着でこんなに種類を取り揃えてるのか・・・)


ブーメランタイプや漫画などでよく見かける名称不明の全身型のしましま水着もある


適当に紺のハーフパンツタイプの水着を選び

さっさと待ち合わせ場所へ向かうが


「さすがに早かったよな・・」


男用の水着で多くの種類を用意しているのだから

女性用水着だったらもっと多種多様の水着が用意されているのだろう


きっと今頃は2人で賑やかに水着を選んでいるのだろう

(ま、ゆっくり待つか)


改めてプールに目を向けると大きく分けて2種類に分かれている

明かりが日差しの様に眩しく照らされている区画と

明かりを抑えバーが併設されたナイトプールの区画が存在している


(ナイトプール・・初めて来た・・ホントにプールの中が青く光ってる(ライティングされてる)のか・・

なんてイヤらしい雰囲気なんだ・・・)


歪んだ主観的感想に脳内を支配されながら

振り返り背後のヤシの木を見上げる


(本物・・だ)

触るとザリザリとした生の木の感触がする


「へぇ~」と物珍しく木を触っていると周りが何かザワついている


何事かと思い周囲を見ると、群衆と目が合う


(・・・え?俺か?木を触ってるのがそんなに不審だったか?

・・・それともやっぱり()()仮面?)


1つ咳払いをしヤシの木に寄り掛かり

何かありましたか?的な素振りで誤魔化す


周囲の人もそれ以上は何も言わず

それぞれ泳ぎや休憩に戻っていく


「いたいた!お~いッ!」

こちらに向かってくる聞き慣れた賑やかな声に顔を上げると


「ぅおッ!?」

思わず声を上げてしまう


何故なら


「どぉ?どぉ?良いでしょ?この水着~」

「ぁ、はは・・・あの、ぇと・・」


水着に着替えた2人の姿に驚いてしまった


「おぶっ!お、おめぇ何じゃその恰好・・・」


シャルの身を飾っているのは艶やかな赤が目にも眩く頼りなさげな紐と

面積が異様に少ない三角形の布地が申し訳程度に両胸とアレでアレな部分を隠し

そこからスラリと伸びた健康的な足を強調している


俗にいうマイクロビキニだ


「え~?よくなぁい?この水着」

シャルが肩紐をクイクイと持ち上げ水着を強調し

当然の反動で荒れた水面(みなも)よろしく肌色の豊かな丸餅がゆったりと波を打つ


「おゎ・・やめぇ・・」

動揺し、しどろもどろになってしまう

イアは?イアを見て落ち着かねば


シャルのバルンボルンを視界にいれぬよう目を伏せ

イアの居る方向へ視線を背けると


「ぁの・・どうで、すか・・?」

もじもじと顔を赤くしながら聞いてくるイア


清楚な白いワンピースタイプの水着が実に似合ってい、る・・?


(いや、よく見るとこの水着も何か・・・やけにテカテカしてるし

食い込みというか・・なんか・・少しキワどくないか?)


両脇腹と腹部の布地がザックリ切り取られており臍が丸見え

足の付け根で大胆に切り上げられ()()に鋭利な角度に吊り上がった

流線型のラインが鼠径部に沿っている


「どうって、なんか・・その水着も・・」

「ダイスさんこういう水着とか衣装、お好きですよね?」

「え”ッ!?・・・」


図星だった


正直好きだった確かに好きだが、なんで知って・・

「あッ!」


まだこの世界に来る前に謎の人物とチャットした時

好きなスキン(衣装)の話をした記憶がある


そしてその謎の人物の正体は・・・


「気に・・入ってくれましたか?」

手を後ろで組み俺の感想を聴いてくるイアだ

イアのこの反応は俺の為に羞恥を堪え水着を選んでくれたのだろう


「ねねね!アタシは!?アタシは似合ってる~?」


シャルは、わからん、自身の好みで選んだ節があるな・・・

だが言わねば、いつまでもモジついてる場合ではない


「2人共、似合ってるよ。凄く可愛いっていうか・・

ありがとう、俺は好きだ」


我ながら気味の悪い感想が出たが


「えッ!?やっ!あ~はは・・ぅん、あ、あんがと」

「あ・・えへへ・・良かったです」


2人が安堵したように笑顔になる


照れくさいが伝えられて良かった

なけなしの度胸を振り絞った甲斐があった


内心ホッとしているとイアが身を寄せてきて


「お、おじさ~ん♡えと、頑張ってるじゃ~ん♡んと、ざ、ざ、うぅ・・」


突然何を言い出すんだこやつは

「ど、どうしたんだイア・・」

戸惑い聞くと


「うぅ・・こういうのも好きかと思って」

「こーゆーのって?」

「その・・ニヤニヤしながら挑発するような。え、エッチな」

「え~?マァジィ?ダイスってそんな()が好きなん~?」


誤解が広がっていく、あんまり誤解じゃないけど

多分さっきは雑魚と言おうとしたんだなアレは


しかし、ふと脳裏に疑問が渦巻く


確かに名も知らぬ人物とのチャットでは割かし突っ込んだ内容の話をしたが

それも衣装関連までのはず


「なんでそういうキャラが好きって知ってるんだ?

そこまで話した記憶がないんだが・・・」


「あっ!それはぁ~・・・ですね」


何気ない質問に対してやけに言い難そうに視線を泳がせるイア


視線で問い詰めると観念したかのように


「実はですね・・そのぅ・・ダイスさんのPCの履歴を・・・

ちょこちょこっと拝見?、しちゃってたりして・・えへへ」


「なっ!?なにぃ!?いつ!?どうやって!?ど!どこまで!?」


「ぷはっwダイスすっげぇ必死ぃ~」


けらけらとシャルに笑われるが気にしてはいられない

目が泳いでいるイアに先を促すと


「えと初めてマトモにお話ししてくれた人がどんな(かた)なのかと

どうしても知りたくなってほんの少しの間だけ・・」


「ほんの少し、か・・・まぁそれなら

でも、う~ん・・念のためどのくらい?」


「えとブラウザの閲覧履歴とサイトのブックマークに購入履歴

動画配信の視聴履歴とコメント履歴

あとは要領の大きなフォルダの中身を、です・・・」


指折り数えて己の大罪を列挙するイアの姿が次第にぼやけて見えてきた


(それって・・・ッ)


「ほっとんど全部じゃんかッ!!」


『ほんのちょっと』の基準がおかしい!

洗いざらい懇切丁寧に調べている


「そんなに!?その量はいくらなんでも流石に」


「データ媒体を読み取るのは一瞬で済むので」


話を盛っているという一縷の望みを吹き消すように

事も無げにサラリと告げるイアに思わず膝が折れる


くそぅ!やはり紙媒体にしておくべきだったッ!!


「ぁわわ・・・すみません」


「え~?そんなにヤバいことなん?落ち込まないでよ~」


臓物の中身まで調べ尽くされた錯覚に陥り虚脱する俺に

各々謝罪と励ましをくれるが胸に空いた穴は埋まらない


「イアよ・・」

「は、はいッ!」

ゆらりと立ち上がりイアへと一歩、歩み寄り

身を固くするイアへすかさず手を伸ばし


「こ・い・つ・めぇ~!!」

そのまま無防備なイアの脇腹をくすぐる


「あきゃッ!?にゃ!にゃにしゅ・・あはははッ!」

「よくも俺の全てを覗きおったなぁ~罰じゃ!これは!」

「や~!はははっ!きゃうッ!ゆるッ!ゆるひてくだひゃい~!ぁお”ッ!?」

「っぷ!あははっ!イアちゃんすげー声でてるよ!」


3人で(やかま)しくじゃれ合う

そろそろ勘弁してやるかと、くすぐりの手を放そうとすると


「なぁに?なにぃ~?随分楽しそうだねェ~」

軽薄そうな男の声が聞こえた


「ん?」

「え?」

「は?」

突然の闖入者(ちんにゅうしゃ)に毒気を抜かれる


「いやいやぁ~!かんわいぃ()が2人も居るからついつい声かけちゃったよぉ」

男はニヤけた顔で近づいてくる。金髪の男、所謂(いわゆる)チャラ男だ

俺の事は眼中に無いようでイアとシャルに視線を向けている


「いや!マジで可愛いっスよホントホント!」

「あぁ~はいはいドーモ、アリガトネ」

「え?あ・・はい、ども・・」


男の可愛いラッシュに

2人は適当に相槌を打って流す


「君達このあと暇?よければさぁ~」


・・・そうか、ここはナイトプールだった

美少女2人がマイクロビキニにテッカテカ食い込み水着を着ていたら

こんな手合いが寄ってくるのは当然か・・・

しかしマジでこんな奴が棲息してるんだな・・


っと感心?している場合じゃない!

「おいアンタ、いきなりなんだ?」

踏み出し、イアとシャルに向かう男の視線を遮る


色々とキワい水着だし、あまりジロジロ見られるのは面白くない


と、思ったら2人共パレオを纏っていた

いつの間に・・・


すると金髪の男がつまらなそうに俺を見やり


「なんスかアンタ・・楽しく話してんの邪魔しねぇで欲しいんスけど」

「ずいぶん一方的な()()()だった様子だが?」

「ぅうわ!やっぱコエーなアンタ不審者バリバリの頭でぇ

()()()()()()()()ついてるだけあるわ」


・・・?、背中?なんのことだ?


「それさぁ・・なんとかした方が()くね?キッツイんスけど」


何を言ってるか分からないが嘘を言ってる様子は無い

背中に手を伸ばしてみると


ザラリとしたというかツルリとした

まるで瘡蓋(かさぶた)のような感触が伝わる


「これ、は・・・」

あの時、闘技場で背中を滅多打ちにされた傷・・・か?


身体を一新した時にてっきり消えたもんだと思っていた


「そのお身体は・・・元のアバターも併せて全てを組み込んだ姿と聞きました」

背に庇っていたイアが重く口を開く


イアは蒲生との戦いの最中あの空間の主と話したと言っていたが

その時に俺の身体の事も伝え聞いたようだ


「だから傷跡が残っている事も有り得る事だったのに

ごめんなさい・・もっと早くお伝えすべきでした・・」

俯くイアに向き合い


「なんだそうだったのか、大丈夫大丈夫

むしろ自分と同じ姿のアバターが勝手に処分されてなくて良かったよ」

気にするなとイアに声をかけると


「ほらほらそんなグッシャグシャな背中見せびらかしてっから

その子怖がってっじゃないっスか」

チャラ男が割り込んでくる


だが


言われ気付く、コイツに指摘されるのは(しゃく)だが

確かに、さっき待っていた時に感じた周囲の視線のは

何も仮面にだけ向いていたのではなくこの傷にもだったのか

だとしたら・・・


「アンタと一緒に居たらぁその娘達も変な目で見られるじゃないっスか

考え足りな」

『ガサッッ!!』


「ん?」

傷をどうしたものかと思考に気を取られている隙に

振り返ると金髪が消えていた

「あれ?どこ行った?」


「あんかね~言いたいだけ言ってどっか行ったよ、走って

あんなヤツ気にする事無いよ、ね?」


いつの間にか隣に立っていたシャルが気遣うようにこちらを見ていた


「えぇ?そっか・・ま、居なくなったんならいいか

俺ちょっと背中見てくるよ、更衣室に鏡があったから」

背中の傷がどれ程か確認しておきたい

あまり酷いようなら何か羽織ってくるか・・・


「え~?別に気にしなくてもいいよぉ」

「ま、ちょっと確認するだけだよ、すぐ戻るから

あ、アイツが戻ってきたら大きな声で呼んでくれ、何とかするから」

「はい・・分かりました」


心配そうな2人を待たせ更衣室へと向かう



           ──────────────


「行っちゃった・・」


ホントに気にしなくてもいいのに・・・


「じゃあせっかくだし()を押しとこーかなっと」


湿ったプールの床をてちてちと歩きプールサイドに植えられている

観葉植物の茂みに手を突っ込み()()を掴んで引き摺り出す


「ゔぁッ!?あ、あ?俺、何が・・・?痛ッ!!」


金髪の男の髪を鷲掴みにして持ち上げる


「お前さ、なに言ってくれてるわけ?」


「え?イテっ!?ちょッは、はなして・・」


「聞いてんだろ、いきなり出てきて、なに言ってんだっての」


自分でも引くくらい低い声が出た


「あの人の傷がなんだよ、オメーになんの(かかわ)りがあんだよ」


ダイスの為にってイアちゃんに教えて貰った水着を

やらしい目で見てくんのは我慢した、すぐに用意してたパレオ巻いたし

でも()()は無理、思い出すのもムカつく


「やっ!だって、あんなキモイ傷貼り付けてこんなトコくんなって・・ゲゥッ!?」


また何か言ったから鳩尾に膝を入れる

咳き込んでうるっさいけど、さっきよりはマシだ


ムカつく、ムカつく・・・


それに、痛い・・・


()()に傷をアタシ達が怖がるだの言われた時

ダイスは、言葉に詰まってた


痛い・・・


そんな訳無いのに・・・

怖がるなんて・・嫌がるなんてする訳ないのに・・・


一緒にいるアタシ達も変な目で見られるって言われた瞬間

肩を落として考え込んでた


痛い・・・


仮面に隠れた心痛の顔


その表情(かお)を想像しただけで胸が痛い・・・

堪えられずにコレを茂みに殴り飛ばした


「ゲホッ!な、なんなんだよ、いい加減・・ッテェ!」


「いい加減にして下さいね」


見ると隣に無表情のイアちゃんが立っていた


「私がダイスさんを怖がる?事実無根な言葉を吐かないで下さい迷惑です」

言いながらイアちゃんが金髪の(すね)を何度も蹴り上げている


(いや、こっわ・・・)


優しくてポヤポヤしててやきもち焼きな

可愛い表情が今は固まり、(まばた)きもしないで男を睨み上げている


「不愉快です、せっかくの楽しい雰囲気が台無しです

視界から消えてくれませんか?」


目が笑ってないとかゆー(言う)けど違う・・・

無表情だけど全身から拒絶とか憎しみとかのオーラを出しまくってる


「ねぇイアちゃん、アタシおかしいと思う?

さっきね?ダイスがしょんぼりした表情(かお)を確かに視たの」

仮面で見えない筈なのにねと言う前に

「いいえ、私もはっきりと視ました

だから、おかしい事なんてありませんよ」

真っ直ぐこちらに告げる瞳に


「うん、そだね・・じゃあ最後に一発だけおもっきし殴って終わりにしよっか」

イアちゃんのガチギレオーラで逆に冷静になっちゃった


「はい、そろそろダイスさんもお戻りになるでしょうし

こんな事にこれ以上時間を使いたくないです」


「なッなんだよ!お前ら・・ちっと可愛いと思ったらよぉ

あの男の間ではブリっ子キメてんのかよ!

こんなとこアイツが見たら失望(しつぼー)すんべ!」


こいつ・・・ッ!マジでムカつく

顔面を思いっきり殴りつけてやろうとした瞬間 ─────


その時


「俺がなんだって?」


後ろから聞き慣れた声が聞こえた

ここまでお読みくださった貴方に感謝を



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