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僕が田舎暮らしをはじめた理由。

作者: 七瀬
掲載日:2021/08/15






【僕が田舎暮らしをはじめた理由。】




・・・そういうと? ほとんどの人達は、“都会に疲れたの?”

という答えが返って来る。

もしくは、“自給自足に目覚めたのか?”という答えも多かった。

僕の答えは、どちらでもない!




僕は、会ってみたいんだ。

田舎で空き家を買い取り一人で住むと? その家には妖怪が出るらしい。

妖怪はその家の守り神、いろんな妖怪がいるらしいんだ。

僕の友達も、随分前から田舎で一人暮らしをはじめて、その家の妖怪

に会う事ができた。

彼の家の妖怪は、“ぷっくりボンチ”という妖怪だ。

凄くいい妖怪で、いつも彼の傍にいて幸せを運んでくれるいい妖怪。

彼以外の人には見えないらしい。

僕も彼の田舎暮らしの家に一度行かせてもらった事があるが、、、。

まったく、僕には見えなかった。

彼がぷっくりボンチの言った事を聞くと? 田舎の家なら何処の家にも

妖怪が住み着いている。

どの妖怪も、いい妖怪らしく【幸運を運んでくれる】とのこと。

でも? たまにいけずな妖怪もいるから注意するように言われた。

僕も妖怪と一緒に住んでみたい。

僕は子供の頃から、“妖怪図鑑”の本を何冊も持っていて妖怪に会える

事が夢だった。

いつか? 大人になったら、一度でいいから妖怪に会いたいと思って

いたけど? 大人になると現実を見るのか、そんなモノは世界の何処

にも居なんだと思うようになる。





・・・でも? 僕がずっと夢見ていた事が現実にあるんだと思うと

僕は居ても立っても居られず、仕事を辞めて田舎暮らしをはじめる

為に行動に移した。

僕も会ってみたいんだ! そして、一緒に暮らしたい。

僕の希望は? “タスパマス”という妖怪。

子供の時から、ずっと好きな妖怪だ。

彼は大きな体だが、心優しい妖怪なんだよ。

人を脅かす事がへたっぴで、少しおっちょこちょいな妖怪。

僕は、この妖怪と住める事を夢見て田舎町に引っ越してきたんだ。






先ずは、かなり離れた隣り近所のおじいちゃん、おばあちゃんに

挨拶に行く。



『ごめんください、隣に引っ越してきた松本と言います。』

『あらあら? お隣に引っ越してきたの? まあ、なんでこんな

田舎に引っ越してきて~ここにはコンビニもないよ』

『いいんです! 僕が好きで引っ越してきたので。』

『あらあら? おじいさん、この子が隣に引っ越してきた、

名前なんだっけねぇ~』

『松本です! 松本深冷です。』

『変わった名前だねぇ~ 深ちゃんでいいじゃないの~』

『じゃあー深! 爺ちゃんがここの住民皆に深を会わせてやるよ』

『えぇ!? いいんですか?』

『これからも、なかよーしてほしいからなぁ~』

『はい!』




僕はお隣のおじいちゃんの軽トラックの助手席に乗って。

ここに住んでる人達の家、一軒家一軒家に挨拶に行く事が出来た。



『今日から、この村でお世話になる松本深冷です、よろしくお願いします。』

『あら? 若い男の子がこんな、なんにもない町に引っ越してきたの?』

『い、いやいや? 僕はもう32歳で若くないですよ。』

『この町では、物凄く若い男の子よ! 平均年齢85歳よ! この町で一番

若い男性で60歳の勘十郎さんだけなのよ! 嬉しいわねぇ~』

『・・・男の子? まあ、僕も嬉しいです。』

『また、後で野菜でも持っていくわ!』

『ありがとうございます。』

 



・・・隣のおじいちゃんのおかげで。

僕は今日中に、この町の人達全員に、挨拶しに行ける事が出来た。



『おじいちゃんありがとう。おじいちゃんのおかげで、この町の

皆さんに挨拶できたよ。』

『いやいや、ワシも嬉しいんだ! 隣の家は、20年前からおらん

からな~誰かに棲んでほしかっただ。』

『・・・20年前から住んでないんですか?』

『あぁ、高齢の婆さんが一人で住んでたんだが、ボケてもうてな!

それで、家族のもんが病院に入れるために連れていってもうた。』

『そうなんですか、』

『あの家には、確か“タスパマス”という妖怪が守り神として居る

という話を隣に住んでた婆さんが言ってたな。』

『それは、本当ですか?』

『どうした!? そんなに興奮して!』

『僕、タスパマスが守り神で居る家に住みたかったんです。』

『・・・モノ好きだな。』

『夢だったんですよ、妖怪と一緒に住むのが!』

『それで、この町に引っ越してきたのか。』

『はい!』

『まあ、タスパマスはええ妖怪だから、心配いらんだろうが、』

『えぇ、そうですよね!』

『ひょっとしたら? 違う妖怪が居るかもしれんな~』

『・・・えぇ!? どういう事ですか?』

『家の守り神になる妖怪は、人間がその家に住んでいる間だけ

幸せを運んでくれるんだが、20年もあの家は空き家で、その間

妖怪があの家にとどまっているとは思えんのだ。』

『じゃあ、違う妖怪がいるかもしれないって事ですか?』

『まあ、悪さをせん妖怪ならいいんじゃがな。』

『・・・・・・』






隣のおじいちゃんの話だと? 空き家になるとそこに居た妖怪は

違う場所に行ってしまうとの事だった。

確かに、20年も誰も住んでないんじゃあり得る話だと思う。

でも、僕はほんの少しの期待を持ちながら空き家のあの家に帰る

ことにした。

家の中は、ボロボロで明日から少しずつ一人でリホームをして

いくつもりだ。

今日は、物凄く疲れたし布団を引いてぐっすりと寝よう。

そこに、僕が待ちわびていたタスパマスが現れる。



『えぇ!? タスパマスか?』

『あぁ、タスパマスだ! 君が今日からここに引っ越してきた住人か?』

『そうだよ、よろしくな。』

『こちらこそ。』




僕は、この家の守り神がタスパマスと分かり安心してまた眠ってしまう。






・・・ただ、僕は見落としていた事があった。

それは、僕が見たタスパマスには“しっぽ”があった事を。

もっともっと先で、気づく事になるとは?




最後までお読みいただきありがとうございます。

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