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それはまたのお楽しみです

「ありがとう! 美鈴ちゃん!」


 事務所から玖珠薇さんを連れ出すと、私の胸元でわんわんと泣き始めた。


 私は安心させるように、よしよしと玖珠薇さんの頭を撫でてあげた。


「皆にもお礼言わなきゃダメよ」


「うん! 周佐と美夜受と十戸武と……ナントカ君! ありがとう!」


 玖珠薇さんが深々と頭を下げると、小碓君が苦笑いした。


「小碓だけど……まぁ良いか」


「下僕武の名前は如何でも良いんだけど少しは反省しなさいよね」


 周佐さんの下僕って小碓君の事なのね……。


「うん。御免周佐……あたし、アンタの事嫉妬していてさ……」


「嫉妬? 私に?」


 周佐さんが首を傾げた。


「どんなに練習してもアンタには敵わないじゃん? だから、どうせ無駄かと思って楽な方へ逃げちゃったんだよね……」


「玖珠薇さん、コイツは存在自体がチートみたいなものだから気にしなくて良いよ。ボディビルダーだってゴリラの腕力には敵わないんだから」


「成程! ナントカ君善い事言うね! 確かにそう思えば気が楽になるかも!」


「善い事の訳ないでしょ!」


 周佐さんが二人の頭を同時に小突くと、美夜受さんと十戸武さんは笑い出した。


「ところでさぁ……美鈴ちゃん。あたしを見捨てないでくれてありがとうね」


「教師として当然の事をしたまでだから気にしないで」


「そんな事無い。あのデカイのやっつけている美鈴ちゃん、とっても格好良かったよ?」


「いや……あれは周佐さんに助けてもらったしね。それに皆の力が無かったら、玖珠薇さんを助けられなかった」


「そうかもだけれど……私、美鈴ちゃんが好きになっちゃった!」


 え? 今何て言った?


 聞き直そうとすると、その口を玖珠薇さんのしっとりとした唇が塞いだ。



 数日後。


 私達がカチコミをかけた事務所がガサ入れされた事が報道されました。


 小碓君が私にだけ話してくれたけれど、彼の友達が防犯カメラを盗聴して、玖珠薇さんに契約を迫る動画をアップして警察に通報したらしいです。


 別件でも麻薬取引など様々な犯行現場の動画をアップしたらしく、警察も重い腰を上げたみたいで、玖珠薇さんが今後危険な目に遭う事もなさそうで良かったです。


 この件以来、心を入れ替えた玖珠薇さんは後に型で全日本選手権で優勝する程の実力者に成長しました。


 この後、私や小碓君達は如何なったかって?


 それはまたのお楽しみです!

「ヤンキー女子高生といじめられっ子の俺が心中。そして生まれ変わる?」第4章に続きます。宜しければそちらもご覧ください!

https://ncode.syosetu.com/n4903gd/

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