第8話 「ゴブリンキング」
優に100匹を超えるゴブリンが囲むのは5メートルはあるゴブリンであった
そのゴブリンは人の足を頬張っていた
「やっぱり居たわね」
部屋の入口付近の岩に隠れるアイリスとカイン
「あぁ、しかもアイツ普通のロードよりも体格が大きい、あれはーー」
「ゴブリンキング」
ゴブリンキングは知能がありBランクの魔物である
駆け出しであるEランクの冒険者には到底討伐することは難しい
「どうする、ロードであればギリ勝てたかもしれないがキングは危ういぞ」
「そうね・・・」
撤退しギルドに報告すべきである
しかしその間にまた村に攻めてくる可能性は高い
キングが雄叫びをあげる
「タリナイ・・・」
呼吸を荒らげ、ゴブリン達に指示する
「俺達が邪魔したせいで孕ませる人間と食料としての人間が足りなかったらしいな」
「そうらしいわね」
「どうする」
「・・・殺るに決まってるわ」
「分かった、手下のゴブリンは俺が足止めする」
「ありがとう、私はキングを殺るわ」
***
「モット・・・モットダ・・・ニンゲンヲ!」
キングはもう一度雄叫びをあげると手下のゴブリン達も雄叫びをあげる
「ーー清水」
カインの一声により突如ゴブリン達に水が襲い掛かる
「ーー紫電」
カインが地面に着地すると同時に紫色の電流が地面に流れゴブリン達に伝わる
手下のゴブリン達は伝わってきた紫電に痺れ動く事が出来なくなった
しかしーー
「やはりキングは麻痺しないか」
キングは一瞬麻痺したがすぐに麻痺状態を解除する
「それだけでも十分よっ!」
カインの隣にアイリスが降り立ちキングに剣を向ける
するとキングは地面が揺れるような大きな雄叫びをあげる
「なんなの、一体っ」
部屋に繋がるいくつかの通り道から唸り声と共に大きな足音が近づいてくる
「・・・お仲間の登場らしい」
出てきたのは3メートルはあるゴブリン
「・・・ゴブリンロードね」
3匹のロードに1匹のキング
一瞬にして形勢逆転されてしまった