第4話 「初めての依頼」
アイリスは登録を終えカインと共にギルドボードの前で依頼を一瞥する
「どの依頼にしましょうかね」
「まぁ、普通なら薬草採取とかの依頼なんだろうけど・・・」
「これにしましょう!」
アイリスは1枚の依頼書を手に取りカインに見せる
「ゴブリン討伐の依頼か」
「そうよ、討伐依頼数は10匹。ランクはDで少し危険かもしれないけど」
「アイリスの腕なら大丈夫だな」
「あら、過大評価されて嬉しいわね」
「ちゃんとした評価だよ、ギーラとアダグとの動き、それとさっき握手しただろ?その時手に豆があったのを感じた」
アイリスは目を丸くして少し驚いた様子だった
「きっと血のにじむような努力をしたんだね」
「まぁね、剣に関しては少し自信があるわ」
アイリスは自分の腕を軽く叩き拳を見せた
「貴方も剣を使うんでしょう?」
カインの腰に装備された2本の剣を見て言う
「まぁね、アイリスの剣には及ばないけど」
「何故、2つも装備しているの?」
「あぁ、予備さ、壊れた時剣がないと困るだろ?」
「なるほどね」
「それで依頼の場所はどこ?」
カインは依頼書を覗き込むようにして見る
「グレース領のコラム村の森よ」
「結構近いね」
グレース領はオラトリア国の南に位置する
そしてギルドもオラトリア国の南の方に位置していた
「それじゃあ必要な物を揃えて行きましょうか」
カインは頷き2人は受付カウンターの方に向かった
***
太陽が真上に輝き時刻は正午を迎えていた
「もう少しね」
カインとアイリスは腰にウエストポーチと剣を装備しコラム村の近くまで歩いてきた
「この調子だと夕方には帰れるかな」
「そうね、上手く成功するといいのだけれど」
すると突然女性の悲鳴が響き渡る
「コラム村の方よ!」
アイリスは地面を蹴りコラム村の方へ向かう
カインもそれに続き向かった
***
一人の女性が肩から血を流し家の前に倒れる
「い、いや、!!」
女性の目の前には爪の長いゴブリンが立っていた
ヨダレを垂らしながらゴブリンは女性に襲い掛かる
しかし次の瞬間
「大丈夫かしら?」
目を開けると先程のゴブリンは倒れ首が無く剣がゴブリンの魔核を貫き灰となっていく
剣の先には青紫色の石が突き刺さっている
そして目の前には燃えるように紅い髪をなびかせる少女が手を差し伸べていた