第2話「冒険者ギルド」
そこは多くの強者が集う場所
酒と汗の匂いが入り交じり
すれ違う人皆剣や盾、杖を装備している
「すみません、ギルド登録をしたいのですが」
1人の黒髪黒目少年が受付嬢に声をかける
「あ、はい、え、えっと、冒険者ギルド登録でお間違えないでしょうか?」
「はい」
少年は目を細めて笑った
冒険者は過酷な職業である
受付嬢の目にはどうしても少年の身体つきから過酷な仕事に耐えることが出来ないように見える
「わ、分かりました」
受付嬢は少し戸惑いつつも書類を用意した
「それでは、お名前と年齢を教えてください」
「カイン・オベールです、年齢はーーー」
カインはは息詰まった
「お姉さん、俺何歳に見えます?」
なんだ?新手のナンパか?
「ええっと、15歳くらいに見えます」
「じゃあ、15歳で」
じ、じゃあ!?なんなの、この子!
「か、かしこまりました。それではカイン・オベール、15歳でお間違いないでしょか?」
「はい、お間違いないです」
「それでは当ギルドの説明をさせて頂きます。まず冒険者とは簡単に言えば何でも屋です。猫探しや留守番、薬草採取や魔物の討伐まで幅広いジャンルで仕事をする職業です。一番多いのが魔物の討伐ですので基本的には魔物と戦い稼ぐ職業と捉えてもらっても構いません。そして、冒険者ギルドとはその様々な依頼の仲介役となる機関です。依頼が来たらその依頼のランクから報酬金額まで設定しそれをあそこにある依頼ボードに提示します。冒険者の方はあそこから自分に合った依頼書を取り、受付の方まで持ってきてください。そうすることで依頼を受ける事が出来ます」
受付嬢は入口付近にある大きな木製の板を指さした
「そして冒険者にはランクが存在し、そのランクに応じた依頼しか受けることが出来ません。例えばDランク冒険者であればCランクまでの依頼しか受けることが出来ません。ちなみに冒険者ランクはEランク、Dランク、Cランク、Bらんく、Aランク、Sランク、SSランクまであり、依頼のランクにはA+ランク、S+ランク、SS+ランクが存在します。つまりAランク冒険者はA+ランク、Sランク冒険者はS+ランクの依頼までとなります。さらに依頼には常時依頼、臨時依頼、緊急依頼、指名依頼があります。常時依頼は常に受けることの出来る依頼です。例えば、ポーションの材料となる薬草採取や懸賞首の依頼です。臨時依頼はいきなり魔物が増えたなどによる増援を要請するための依頼です。緊急依頼は国や騎士団による緊急の要請のようなものです。指名依頼は特定の誰かを指名して依頼するものです。万が一受けた依頼を達成を達成できなかった場合報酬の3分の1の金額をお支払い頂きます」
「はい」
カインは目を細めて笑う
「他にご質問等はありますか?」
「大丈夫です」
「それではこちらが冒険者カードとなります。依頼を受ける時に受付の方にお見せ下さい」
カインは受付嬢からカードを受け取った
カードの右上にはEの文字他には名前、年齢、以来達成率の欄が設けられてあった
「それではギルドカードの発行及び当ギルドの説明はこれで以上となります。身体に気をつけて冒険者ライフをお過ごし下さい」
「はい、ありがとうございました」
カインは軽く頭を下げ、もう一度目を細めて笑った
「っ、い、いえっ」
受付嬢は頬を赤くして頭を下げた
「おい、あんちゃんよぉ」
「ギルドに登録するのはいいが色目使ってアイシャちゃんを遊んじゃいけねーよぉな」
カインが立ち去ろうと後ろを振り返ると大柄の髭を生やした男とスキンヘッドの男がカインを睨みつけていた
「ギーラさん、アダグさんギルドでの揉め事はやめてくださいっ」
先程の受付嬢がカウンターに身を乗り出して言った
「揉め事じゃねぇよ、アイシャちゃん」
「ただの注意喚起さ、何も喧嘩をするわけじゃねえ」
身を乗り出したアイシャの身体を卑猥な目つきで眺めて答える
アイシャは口をつむぎ身体をしまった
「また始まったよ、ギーラとアダグの新人いじめ。全くあの新人もかわいそうだな」
「顔が少しいいからって、調子に乗った罰だ」
周りに座っている他の冒険者はクスクスと笑い誰も助けようとはしなかった
「おい、なんか言ったらどうなんだ?あんちゃん」
ギーラはカインの肩を掴み強く握る
「・・るな・・が」
「あ?聞こえねぇよ」
カインの前髪をギーラが指で払う
「触るな、下衆が」
カインの黒く染った目がギーラの目を貫く
「うぐっ、こ、このっ」
「っなんだと、てめぇ!」
アダグはカインの胸元を掴み拳を振るう
「やめろっ!」
アダグの拳はカインの顔に当たる寸前で止まり、アダグの首筋には剣が添えられていた
「だ、誰だ!てめぇ」
アダグの頬に冷や汗が滴る
「私はアイリス・フーベルト」
海の様に蒼い目を突きつけ燃える様な紅い髪をなびかせる一人の少女が立っていた