ホリーホックホーリー㉙
翌日、フェリーはまだ運航の見合わせを続けていたが、県警のヘリが何度もやって来て、山城と吉野を本島の病院に運び、大野を県警本部へと連行していった。
その際、所轄の警察署長自ら飛んで来たが、波間の屋敷の中に泥の一つ、枯れ草の一本も見当たらないと見ると、呆れたように目を細め、伯方を睨んだのが印象的だった。
「あードアを壊したのは謝りますよ。でも、家の中にいた誰も鍵を開けてくれなかったんですから、仕方ないですよね?」
伯方はシレッと言ってのけた。
小中学校の校庭から飛び立ったヘリを見送って波間の屋敷に戻った西崎は、屋敷の中で行われている警察の作業の邪魔にならないようにという配慮だろうか、岩場で傘を差し、佇んでいる太郎を見つけた。
そっと歩み寄る。
「結局、吉野さんの話を聞いても、太郎さんが知りたかった事は分からなかったですね。」
海を見ていた太郎は、近くに焦点を合わせようと、数回瞬きをして、ニコリと笑った。
「まあそうですね。でも、満足するべきだと思いますよ。犯人が分かったわけではないけど、これだけの騒ぎになったんです。もう俊葵君の事をとやかく言う人なんか誰もいないでしょう?」
そう言って太郎は、道路に集まった大勢の(島にしては、)野次馬にチラッと目を移した。
西崎も太郎の視線を追い、
まだ収まらない荒天をものともせず、物見遊山に励む島民に苦笑いを浮かべた。




