翌日
続きです。
読んでくれたら嬉しいです。
「何してるの?」
スぺ子が顔を覗かせてきた。
「今日から学校だから、準備してるの。てか、どっから入ってきたんだよ」
始業式から父親の関係で休んでいた中学校が今日から登校となり、教科書やら体操着などの持ち物の準備をしていた。
「窓からうにゅ~んって入った」
さっき鍵を開けずにカーテンを閉めたのにいつの間にか部屋の中にスぺ子はいた。
「うにゅ~んってなんだよ、勝手に入んなよ」
「いいじゃんスぺ子とゆうくんの仲じゃないですか」
「知らないよ、そんな関係」
勇人はスペ子のふざけた話を一蹴し持ち物をまとめる。
「勇人ー、朝ごはんできたわよー」
一階から母親の声が聞こえて、勇人は自分の部屋を出て階段を降りる。
リビングに入るとパンが焼いてあり、香ばしい匂いが
した。
「早く食べちゃいなさい、今日から学校でしよ。お母さんもいつまでも休んでられないからね。」
無理矢理つくったような笑顔で勇人に話しかける。
「うん」
勇人はバターか塗られた食パンを食べながら小さく頷いた。
「ご馳走さま、もう時間だから行ってくる」
「気をつけて行くのよ、行ってらっしゃい」
勇人は部屋から持ってきた重たい学校指定のバックを背負って家を後にした。
スペ子が部屋で変なことしてないか心配であったが勇人は学校の方がもっと心配で不安を感じていた。
勇人がこれから通うのは市営の学校ではなく、私立の学校であるからだ。
「小学校の友達とはもう六年も一緒に遊んだんだ、だからな勇人、中学は新しい世界で過ごそうとは思わないか?」
そう父親が提案し、母親も考えに乗っかり反対する間もなく受験する事が決まってしまったのだ。
勇人も正直どちらでもよかったのだ、友達も多い方じゃなかったし、親友と言える存在もいなかった。
前の事を思い出しながら歩いているうちに学校に着いた。
小学生の時に合格者の説明会に来て以来である。
さすが私立と言わんばかりに校舎はほとんどがガラス張りでありとても綺麗だった。
勇人は不安な気持ちを抱きながら昇降口へと向かい持ってきた上履きに履き替えて、3階にある一年三組へと重たい足を運ばせた。
教室のドアの目の前まできたがなかなか開けられなかった。教室の中は賑やかな喧騒が外まで聞こえてくる。
今自分が入ったら一瞬で静まりかえるのではないかと思っていた。
勇人は怖くなってドアを開けるのをやめて帰ろうと振り向いた時だった。
「なんで入らないの?」
赤いゴムで長い黒髪を一本で縛っているポニーテールの女子がそこに立っていた。
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