少し不思議な話
「俺さ、最近妙に怖いんだよね」
「怖いってなにが?」
「この世界が自分の想像なんじゃないのかって思うんだ」
「あー俺もガキの頃そんな想像したもんだよ。でもなんで急にそんなこと思うようになったのさ」
「なんだか毎日が同じことの繰り返しなんだ、朝起きて会社に行って帰って寝る。この繰り返しなんだ」
「安心しな、大体の人がそんなものだから」
「違うんだ!なんだか25歳の事故にあった時からずっと同じなんだ。なんだかこう、一度経験したことをつなぎ合わせているような、自分の想像の範疇を現実が超えてこないんだ」
「なにも心配のない人生なんて羨ましいじゃないか」
「そんなもんかなー」
「そうさ、それに俺とお前が山登りに来たことだって今日が初めてだろう」
「あぁ、でもこの風景と俺は見たことがあるんだ」
「馬鹿なこと言うなよ、ただのデジャヴだろ」
「じゃあ、あそこの木の裏を見てきてよカブトムシがいるはずだからさ」
「なんだよカブトムシなんていなかったぞ」
「そうか、じゃあ本当にデジャヴだったのかな」
「そうだよ、お前は昔から思い込みの激しいやつだからな、小学生の時だって死んだらどうなるんだろうとか言ってただろ」
「あはは、そうだっけ、、、」
「ああ、そうさ」
そう言って彼は先を急いでいった
先に行く彼の背中を見ながら彼は何者なんだろうと思った。
僕は彼と出会ったことを覚えていない、彼の名前すら知らない
どうでしたか?
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