温泉2
「おまえ様……悪いが、温泉には行けん」
平定も終わり、第4夫人も増えたので親睦を深めるために俺はまた温泉に行くことを提案した。
しかし、みんなが嬉しそうに準備をしようと立ち上がろうとしたとき、ルシフルエントからそう切り出された。
「どうしたの?」
「体調でも悪いんですかぁ?」
「一緒に行きたいっすよ!久しぶりに姉御の背中を流したいっす!!」
夫人達はルシフルエントを心配する。
「何かあった?」
こんなことは初めてなので俺も心配する。
「うむ……どうも、なあ……子供がおるようじゃ」
衝撃の瞬間だった。
「えーー!!」
「ホントですかぁ!!」
「マジっすか!!めでたいっす!」
口々に喜び、手を取り合い祝福する夫人達。
俺はビックリして腰を抜かしそうだった。
「まだ、朧気ながらしか感じられんが……確かに鼓動を感じる。たしか、温泉などは行ってはいかんのじゃろう?じゃからやめとく」
顔を少し赤くしながら恥ずかしそうに言う。
「そうですぅ!せめて半年は安静にするべきですからぁ、今日はゆっくりしてください!!」
「そうそう……トツキトウカだっけ?安静にしなきゃ!でもいいな~」
羨ましそうに言うココ。
「おまえ様が頑張ればすぐにもできるじゃろう……のう?おまえ様」
ニヤニヤしながら言うルシフルエント。
「さっすが姉御。洞窟であんな激しいスーモーウやってただけあるっす!!そうすればできるっすか?」
リリーが爆弾発言をいう。
俺はリリーを掴み、廊下に連れて行き、耳打ちする。
「……見てたの?」
「お腹空いてて、ウロウロしてたら物音がしたんで……ホントにドッタンバッタン大騒ぎだったすね?」
あっけらかんと答えるリリー。
『……あの気配はこいつか』
俺は恥ずかしくなって顔が火照った。
結局、ルシフルエントは居残りで、ココとアルシュタインとリリーとホウデガーで行くことになった。
温泉に浸かる、5人。
もちろん水着を着用してだ。
『いつもながらいい湯加減で疲れが取れる』
俺は背伸びをした。
アルシュタインやココや俺はゆっくり浸かって疲れを癒す。
広い温泉なのでリリーは泳いでいた。
ホウデガーはなぜか神妙な顔つきで温泉に浸かっている。
「どうしたの?」
俺はホウデガーの様子が気になり声をかける。
「いえ……私はメラダーと仲が良くなかったので」
小さく呟く。
そういえば、ミレに断りを入れるときも獣魔族たちが警戒していた気がする。
「まあ、昔は昔だから……今後仲良くしてくれればいいよ?部族長もミレに変わったし。頑張って」
俺はにこやかにそう言った。
「はい!!ありがとうございます!」
ホウデガーは立ち上がり手を握ってくる。
『……近い』
立ち上がったせいで、目の前にはホウデガーのキラキラした笑顔と、意外と出ている胸などの各部が見える。
色白で身長が低いホウデガーだったが、アルシュタインまでとはいかないが、意外と出るところは出ていてスタイルがいい。
ウェーブがかかった青い髪も妖艶で、色白の肌がその雰囲気をさらに高める。
元々整った顔立ちで美人の部類に入る魔族なので正直まっすぐ見ることはできない。
そんな魔族がプルプルと各部を震わせ、キラキラした笑顔で目の前で手を握ってくるのだ。
色んな意味で顔が火照ってくる。
「はは……どういたしまして」
俺は思わず苦笑いをした。
「あーーー!いまホウデガーで欲情したでしょ!?」
ココは目ざとく食いついてきた。
「え!?」
思わずホウデガーが頬を染めて胸元を隠し、離れて温泉に浸かる。
「してないしてない!!」
俺は全身を使って否定する。
「怪しいっすね~。姉御がいなくなったから本能爆発っすか?」
いつの間にか近くにいるリリーがニヤニヤした顔で言う。
「からかうなって!!」
俺は思わず叫んだ。
何とか疑惑も晴れたが、なんだがホウデガーが頬を染めたままこちらを睨んでくる。
『はぁ~……なんだか、疲れる』
俺は苦笑いしかできなかった。
リリーが近づいてくる。
「旦那!!そういえば私はどうっすか?」
何だか含意が広すぎてよくわからない質問だ。
「どうって?何のこと」
「私の体の事っす!!」
ニヤニヤと笑い、そう言うといきなり立ち上がった。
俺はビックリして手で顔を覆い隠す。
なんとリリーはいつの間にか水着を脱いで全裸になっていた。
指の間から見えるリリーは、ルシフルエントのような綺麗な褐色の肌が健康的で美しい。
全体的に筋肉で程よく肉付きあったが、胸はまだあまり成長していなかった。
しかし、勝気な顔と相まって健康的な少女という感じがした。
お尻の当たりから生える尻尾を除くと、若いときのルシフルエントを見ているようで少し変な気分だった。
しかし、全裸は全裸。
公衆の面前で凝視するわけにはいかなかった。
「な!!ななな!なんで全裸なんだよ!!」
「尻尾穴が無くて半ケツ状態だったっすから気持ち悪かったっす。ついでに上もいらないから取ったっす!!」
あっけらかんと答えるリリー。
「取るなよーーー!」
俺は思わず逃げる。
「どうせ、そのうち見るっす!!関係ないっす!!」
何故かリリーは追いかけてくる。
「あーーー!褐色肌はやっぱり抜け駆けするーー!!というかなんで全裸なのーー!!」
ココも見つけて追いかけてくる。
「はわわぁ~!リリーさ~ん!これを着けてくださーい!」
アルシュタインもリリーの水着を持ち、追いかけてくる。
「……」
ホウデガーは相変わらず俺を睨んでいた。
『ああ……やっぱりこういう展開なのね』
俺は逃げながら溜息をついた。
ギルムアハラントに戻る。
『やっぱり疲れた……なんで、こうなるんだろう?』
食事などを済ませ、寝るために居室に戻る。
『あれで、親睦は深まるんだろうか?』
疑問だった。
最初はいい感じなのになぜか後半はグダグダだ。
どうしてこうなるのかまるで見当がつかない。
「はぁ~」
俺は溜息をついて、居室のドアを開けた。
ベッドには来訪者が一人。
アルシュタインだった。
「あれ?アルだけなの?」
「はい!ルフェちゃんもおめでたなのでぇ、ああいう爛れた行為は慎もうと思いましてぇ」
頬を染めてモジモジしながら言う。
『……たしかに』
俺も少し恥ずかしくなって顔が火照ってくる。
「それにぃ、子供が産まれるとぉ、夜中とかも忙しくなるので、夜はローテーションで回した方がいいと思うんですぅ……アスラムル宗主国などの重婚が一般的な国々では、そのような形だと聞いてますぅ」
「そうなんだ……何処でも同じような事を考える人はいるんだなぁ」
俺は妙なところで合理的な先人の知恵に感謝し、受け入れることにした。
「で!ルフェちゃんも交えてみんなで決めて、今日は私なんですぅ!!『アルはまだ一対一で相手してもろうてなかろう?』て言われてぇ……そういえば、そうだなぁって思いましたぁ!!」
顔を真っ赤にして嬉しそうに語る。
「そういえば……そうか」
俺は思い出した。
『最初はルシフルエントに邪魔されて、2回目以降は爛れた感じだったからなぁ』
考えてみれば見るほど可哀そうに思えてきた。
「よろしくお願いしますぅ」
顔を真っ赤にしながらアルシュタインは深々と頭を下げる。
「こ!こちら……こそ」
変な感じだった。
『なんだか急に人が減ると……恥ずかしいなぁ』
俺は緊張して鼓動が早くなった。
『しかし……子供か、さらに頑張らなきゃなぁ』
両親のいない俺には未知の領域だったが、気合を入れなおし頑張ることを決意した。




