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俺からの提案

続編ですよろしくおねがいします

眩い閃光が消え去り、視界が開けると二人は魔法陣の中心に居た。


視線を前へ移す…………。


視界の中には数人ボロ姿の者が居るが、その外観からして女性と判別できる。


にしても妙な雰囲気を拭えない、ここは宮殿の特別な部屋だと記憶している。

眼前に見えている者達は、女官や神官或は、巫女の類にはとても感じない。

あの様に、頭から爪先迄、ぼろのローブ姿の者が気安く入れる場所でない筈。



ロゼは無言で陣から降りていき、静まり返っていた部屋には、彼女の履くヒールの音だけが、コツコツと響き渡り、階下へおりた彼女は、ボロを纏まとった一人へ近付き、声を掛けた。


「無事に、戻ったわ……」

「お帰りなさいませ!」

「後は宜しくね、お願いよ任せたから……」

「心得ています!」


会話の声に、聞き覚えが在る気がするが、フードでこもりハッキリしない。

二言程度、女と会話した後に、ロゼは先に一人で部屋を退出して行く。

俺は、彼女が残すヒールの音をすぐさま追い駆けるため、歩を進める。


「まだ……出てはいけません」


声の主は、俺の腕を掴み足をとめさせ、ロゼに続き扉を抜けるのを止めた。

フードで、顔を確認出来ないけど何処かで聞いた声なのは、間違いない。

足を留められた俺は、腕を掴む女に視線を移し尋ねた。


「ロゼはどこへ行ったか、知ってる?」

「はい」


女は、俺の肩口辺りに頭が在り、顔を確認するには深く覗き込むしかない。

デリカシーの無い奴なら、平気で顔を覗き込み確かめるのだろう。

流石に俺には無理。だがせめて、ロゼの行き先位は知っておきたい。


「彼女に話が有るから、教えて貰えないかなぁ?」

「今は、言えません。すいません……ユ」

「ん……」


女は、謝罪の次に言葉を続けかけて、途切った。

俺がそれに気が付いて、彼女に再度確認しようと顔を寄せると、身を縮める。


「!」


女の身の縮め方、背丈……、途切った言葉の……『ユ』、何者か推測が出来た。

正体が知れると、ここは彼女に合わせる方が、無難と察し、それに付き合う。


「これを着てください」


差し出した両手には、女達が着用している物と同じ、ローブと直に分かった。

彼女から受け取ると、何も疑わずに服の上からローブを着込んで行く。


「次は……、如何するんだ?、マリ……」


俺が遂、口にしてしまった『マリ』、その瞬間一度だけ身体をビク付かせた。


 ぷっ 

 くすくすくす……


周囲の者達の、小さい笑い声が聞こえる……。

しまったと……、俺は後頭部へ掌を当てる。


「もぅぅ、いみ無いじゃない……馬鹿っ」

そのローブの下で、小さくブツブツ言ったのが聞こえた。


「では、付いてきて下さい」

「うん」


その女を先頭に、他の者も続いて扉を抜けて行く。


廊下へ出る、右手に人影か見え顔を向けると、ロゼも立っている。

一瞬だけこちらへ顔を向け、再び背を向け立去っていく。


追い駆けようとしたら、女マリネにまたも腕を捕まれて止められた。

彼女に顔を向けると、小さく首を振り行くなと促され。


もう一度、ロゼに顔を向け後姿のみを、傍観する。

その後は、ロゼと顔を合わせるまで、暫し時間を要する事に成る。



この後、彼女達に連れられた先で姿を曝したマリネと、堂々と抱き合い再会を喜ぶ。彼女から事情を聞かされ、事の真相が明らかに成ると、ロゼが俺に何も言わず去った理由も、納得した。事情は確かに納得したが、湧き上がる怒りで打ち震えた。


「ガリア帝国?……、属領にされたあ?、どうしてそんな事に?」


マリネの肩を両手で掴み、俺は彼女肩を揺らし問い詰める。


「端的に話しますと……、騙されたんです!」

「騙された?、どこの誰に?」

「それは……


マリネから語られた話は…………。

城の復興が完成を間近にした時に、突然ガリア帝国の使者が現れた。

使者は、一つの書付を持って、この国へとやって来ていた。


書付には、期日迄に一定の支払いが出来ない場合、皇王は退位し国を明け渡す事。そう書かれた書面には、皇王が自ら書面に目を通した証拠、直筆のサインが記されており。それは、皇王も直筆と認めた為、その書面通りの要求を、彼らは付き付けて来た。


一定の金額とは、復興の約半分に当り到底支払える能力は無く、皇王は退位させられ皇后と供に、何処かへと連れ去れてしまう。更に彼等は、ロゼに皇帝との婚儀を提案し、もし断るなら皇王達の身の安全は保障しないと脅され、彼女はその提案を呑むしかなかった。


マリネの話は、それで終った。

実際には、裏切り者の存在が見える、そうでないとこの企ては成就しない。

しかしマリネは、その話を今は持ち出さなかった。

そいつを捕まえ、締め上げても何も変わりはしないからだ。




もし……、この場所で真相を知っていたら、間違い無く騒動を起こしていた。

こんな場所で大暴れすれば、大惨事に成っていた事だけは、間違いない。


改めて、俺の居ない間にこの国で起きた事に嘆く。

そして……、犠牲者となった者達の冥福を心から祈った。



最後に、マリネからある計画を持ち掛けられた……。

その計画の前に、俺からもひとつ提案を彼女に伝える。


「マリネ……、ロゼを取り返すぞっ!」

「ちょっ、正気ですかっ、ユキヒト様っ」


マリネは、俺の提案に立ち上がり仰天していた。


「ああ、そんな奴にロゼを盗られて堪るか、気に入らないっ!」


それは或る意味、心躍らせる内容に、俺は顔が綻ほころぶのを抑えれない。





ありがとうございました

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