<5.ロケットペンシル>
掲載日:2017/01/22
まだ使えた あのロケットペンシルは
私の憤怒がつまったせいで 壊れてしまった。
かわいい柄がはいった パステルカラーのそれは
モノクロのフィルターが かかった私には
酷く 無機質に見えて。
偶然、なんて酷い理由で
力の限り 握りしめて
あのロケットペンシルで
部屋の壁を 抉った。
心から 止め処なく叫ぶ 溶岩のような憤怒が
肉を裂き、皮膚を破り 体の外に溢れてしまう気がして
私は 私であるために 気が済むまで抉った。
ロケットペンシルを握る この手の平は
熱くて 痛かったんだろうけど
恐ろしいくらい そんなことは感じなくて
そこには 憤怒しかなくて
何に怒っているのか 分からない
何にも怒っていないのに イライラしている
それが どんどん自分に向いてきて
溶岩は 増えていく一方
気が済むまで抉ったら 一瞬 溶岩の『赤』の中から
深い『藍色』をした 涙の形のモノが見えた
はっとして 振り返ると
『ぐちゃぐちゃ』とした色の 「ワタシ」が
こちらを 見ている
その姿は まさに
先程 抉っていた 壁で
そのとき ようやく気付く
何を 傷つけていたのかを




