ただひとつの、真実とは
初投稿です
美ホラー(微ホラー?)目指しました
愛されたい女の子と女神様のお話です
あなたはどちらの世界で生きたいですか
1
「お前、最低だな」
お父さんからそう言われたとき
私には味方がいないんだって
ここに私を必要とする人なんていないんだって
分かった。
―――――――――――――――
今日、テストが返された。
100点満点で、早く見せたくて、ランドセルをガタゴトいわせて走って帰った。
お父さんは小説家なので、
私が小学校から帰るといつも家にいる。
「ただいま………!」
……………声、小さかったかな。
聞こえてないみたいだ。
「お父さん、ただいま!!」
「……うるさいなぁ、聞こえてるよ。」
…なら、返事、してほしかった なぁ。
「ごめん、なさい………あっ」
「あ"?」
「あのね、今日ね……」
「! 彩!!」
彩は、私の妹の名前だ。
と言っても、本当の兄弟じゃなくて、父の再婚相手の子供、らしい。
その彩が、幼稚園から帰ってきたんだ。
玄関の鍵がガチャって鳴って、
おかあさんと彩のはしゃいだ笑い声が、家に流れてきた。
「彩!ママ!おかえり!」
父は、さっきまでの不機嫌そうな顔を嘘のようにパッと照らして、
平然と私の横を
すり抜けていった。
パパー、と彩がお父さんに抱きつく。
小さい頃の私が出来なかったことを、平然とやってのける彩。
………いいんだ。
お父さん大好きだから、
もう【あの時】みたいになって欲しくないから。
一人で泣いてるお父さんより、
家族と笑ってるお父さんの方が、
私だって好きだ。
うん、幸せなんだ。
たとえその【家族】の中に
私がいないとしても。
「あ、詩乃ちゃんいたんだ。」
新しいお母さんは、私のことが嫌いだ。
「早く自分の部屋に行ったら?」
当然だ。
自分が選んだ男性と、自分の子供がいて、
私だけが他人なんだから。
「いいわね、部屋があって。
ねぇ〜!彩ちゃんは、ないもんねぇ〜〜っ」
私は自分の部屋をもらった代わりに
「…ほら、早く行きなさい!」
孤独でいなきゃいけないみたいだ。
「……うん。」
一人になった部屋で、閉めたドアにもたれかかる。
(お父さん、嬉しそうだったな。)
(今日は四時間授業だったから、私のほうが帰るの早かったんだな。)
(いつも、あんな感じなのかな。
あんなふうに、嬉しそうに駆け寄って……)
(……私も、言われたいなあ。)
(詩乃!って…)
想像してみたら、
予想以上に嬉しくて、
くすぐったくて、
自分の体をぎゅーーーっと抱きしめた。
同時に、
ポタッ
こんなこと、お父さんにしてもらえるはずないって、
分かってたのに、
思い知らされたみたいで
「うぅっ……うっ…グス、
うぁ、うぁぁああぁぁ………」
涙が、止まらなかった。
この物語の主人公じゃなくてよかった